何を言っているのか。

い…いや…

体験したというよりは まったく理解を 超えていたのだが………

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「集めた部品から1台のバイクを仕上げるつもりでいたら いつのまにか 出来上がった1台のバイクが目の前にあった」

な… 何を言っているのか わからねーと思うが

おれも 何をされたのか わからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…

催眠術だとか超スピードだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ……

グググ
ジョジョの奇妙な冒険より

てことで、急遽、R65(2本サス)にお乗りのお客様からR100RSの整備のご依頼をいただきました。

DSC_1103

元々、集めた部品から1台仕上げるというお話は聞いていたんですが、まさかその前に1台購入されるとはッ!

確かに、これからの季節にはR100RSは最高の乗り物ですからね、分かります。
分かりますが、分かりますがッ、分かりますがッー!

DSC_1107

で、車輌の状態ですが、とりあえず車検を通しただけという感じらしいです。走行距離は47,600km。前オーナーによれば「幾つかの不具合は事前に分かっているので、そこだけ直せば安心して走れるようになる」とのことだそう。今後の計画もあり、お客様は「なるべく低予算で!オナシャス!」とおっしゃっていますから、応えないわけにはいきません。
触ってみないと分かりませんが、なんとかしましょう。やってやるッ!

てことで、さっそくエンヂンを始動してみますが、スロットルケーブルに遊びがまったくなく、タコメーターの回転の上がり方、下がり方がなんかオカシイ。アイドリングも1,500rpm以上になってます。

左側キャブレターのケーブルのアジャスターを見ると、完全に締め込まれているのにまだ遊びがないッ!

DSC_1092

通常、右側のアジャスターくらいの余裕があるハズなので、このくらいの遊びが作れないとなると

DSC_1102

スロットルのギアの噛み合いがズレてますよね、やっぱり。

DSC_1080

正しくは、こうです。

DSC_1087

チェーンの付いたギアとスロットル側のギアの合わせマーク(|)が一致してるのが分かるでしょうか。おそらく、カヴァーを閉じるときにギアがズレてしまったんだと思いますが、歯が一つズレただけでもケーブルの遊びに大きく影響しますので、注意が必要です。(経験者談)
この車輌のケーブルはパンパンに張っていましたから、アイドリング時でもスロットルがちょっと開いたままになってしまい、結果、回転数が高くなっていたんだと思います。

簡易的にキャブレターの同調を取って調整し、さあ、これで試乗に行けるかと思いきや、いざ走り出してみると、今度は上手く前に進みません。R100RS本来のトルクがまったくなく、まるで片肺になったときのようなパワー感。店を出て30mも行かないトコロでUターン、すぐに店に戻り点検します。

左右のシリンダーがしっかり熱くなっていますので、片肺じゃありません。こういうときは、点火時期が狂ってたりするもんなんですが

DSC_1160

点検してみると、ビシッと安定してました。回転数を上げると、最大進角のFマークまでしっかり進角もしています。となれば、次に疑うのはキャブレターです。

DSC_1176

ビンゴッ!片側のキャブレターのメインジェットが完全に塞がっているッ!

DSC_1123

とりあえず、キレイにして目詰まりを直しました。

DSC_1134

スロージェットも、やはり片側がゴミで塞がり気味だったので

DSC_1189

キレイに穴が通るようにします。

DSC_1218

エンヂンを始動してみると、明らかに力強く回転が上昇しているッ!

DSC_1107
(動画でご覧いただけます。)

チャーヂランプが薄っすら点いたままになっているのが気になりますが、回転を上げたときの充電電圧は13V後半でしたので、とりあえずはOKということにしておきます。
それよりも、ひょっとすると前オーナーが言っていたという不具合箇所の一つ、クラッチ板の滑りというのはこのトルクのなさのことだったのかもしれません。正直、あんなトルクでクラッチ板を滑らせることはできませんから。だとすると、心配事が一つ消えたことになります。バンザイ!

ついでに、クラッチレヴァーの遊びもほとんどなかったので
(アジャスターは目一杯まで締めこまれています。)

DSC_1112

リリースアーム側のボルトを調整し、適度な遊びを作りました。

DSC_1119

さあ、これでもう一度試乗にッ!と思ったんですが、近所を少し走っただけで怖くて帰ってきてしまいました。とにかく、40~50km/hでハンドルがブルブル震えるッ!

今までにも何台かハンドルの振れは経験してきましたが、コレほどのブレは初めてです。40km/h付近から常にブルブル震えていて、いつ大きく振られるかと思うと怖くて走っていられません。お客様は自走でご来店くださったんですが、何もなくて本当に良かったと思うくらいです。

ただ、「低予算をご希望の割りに、けっこう大物やん・・・」と思わせたクラッチ板の滑りはなさそうなので、その分、ステムベアリングの整備やキャブレターから出てきた水とゴミへの対処、

DSC_1143

本来、この位置で止まるはずのガソリンが

DSC_1169

この位置じゃないと止まらないフューエルコックの交換等、別の作業に予算を当てられると思います。

DSC_1164

不安なく、しっかり乗り出せるように整備するとなると、当然それなりのコストがもう少し掛かってしまいますが、短い試乗ではあったものの車輌の状態はマズマズだと感じましたので(ハンドリングは論外でしたが)、良い買い物だったんじゃないかと思います。

ご友人とシェアされる車輌とのことですので、お二人が存分に楽しめるよう、予算に応じた整備をビシッとさせていただきます。ご安心&お任せくださいッ!

 

(続く)

 

「個人売買で中古車を買ったけど、コレってどうなのよ?」と愛車の状態に疑心暗鬼な方、試乗による点検とダメ出しも、承っておりますッ!