西方(岐阜)から、始動不能ナリ。

ちょっと前にフロントフォークをO/HさせていただいたR100Tにお乗りのお客様から、今回は始動不能の修理のご依頼をいただきました。それも、岐阜から横浜まで車輌を持ちこんでッ!どうかしているッ!でも、有り難いことですッ!

というのも、O/Hしたフロントフォークをお送りしたあとも整備のご相談やちょっとしたやり取りをメールでさせていただいていたんですが、ようやくすべての作業が終わり、いざエンヂンを始動しようとしたところ「電源が入らないッ!何も点かないッ!」という謎の事態に。もちろん、さらにメールで厚いサポートをさせていただいたんですが、

「パトラッシュ、僕はもう疲れたよ」

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と、すっかり作業を続ける気力を喪失されてしまい、遠路はるばる軽トラに積み込んで、アサイチでご来店くださいました。ホントにキター!

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で、モギーの厚いサポートメールで最後にお伝えした箇所から点検したところ、あっさりメーターのインヂケーターが点灯ッ!セルモーターも回ったッ!

原因は、R100RS、始動困難ナリ。(その4)でも点検したスターターリレイへの接続部の接触不良でした。なんか、こうなりそうな予感があって「もう一度!最後にッ!」とお伝えしたんですが

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「黙れパトラッシュ、僕はもう疲れたんだ」

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の一点張り。ズコー。(しかし、この判断が結果オーライに!)

とはいえ、お客様のほうでかなりの時間を掛けて他の箇所を確認してくださっていたので、こちらはそれ以外のトコロだけを疑えば良かっただけでして、だからこそこの結果に繋がったんですが。アハハ。(メールでのやり取りで、お客様の苦闘ぶりは十分理解しております。)

てことで、接触不良を修理します。錆びた端子をキレイにし、ちょっとカシメてやろうとペンチでキュッとしたところ

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ガーン。割れました。

250タイプの平型端子は山ほど在庫していますが、このツメ付きは在庫していないため、慌ててバイク用品店へ走って調達してきました。フゥ、焦るー。

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おかげでより確実に接続できるようになりましたが、ちゃんと在庫しとかないとダメですね。近々、注文します。

もちろん、イグニッションキーをONにすれば、この通り。ヤッタネ!

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ついでに、遊んでいたメインハーネスをしっかりフレームに固定し

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キレイにまとめておきました。

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追加でご依頼の劣化して固くなったフューエルホースも交換し、

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さて、エンヂンを掛けようかなと思ったら

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ガーン。なぜか掛からない・・・。

お客様はバイクを預けたあと、しばらく所用で席を外されていたので、急いで点検します。

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ポイントの接点がデコボコで、コンデンサーもアヤシイ感じだったので交換しました。

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こっちがデコで

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こっちがボコです。

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が、あらためて火花を確認すると、今度は片側のスパークプラグにしか火花が飛んでいないッ!

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お客様がお戻りになられたので一緒に点検すると、これはただイグニッションコイルの配線が間違っていただけでした。メインハーネスを固定したときにコイルを脱着したんですが、そのときに気付かずにスミマセンでした。(↓このとき)

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さらに、お客様から「プラグコードとスパークプラグも換えましょう!」とのお言葉がありましたので交換します。外したコードはカチカチに固くなっていて、プラグのターミナルとの接続もユルユルでしたので、交換して正解でしたね。

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これでようやくエンヂン始動となるかと思いきや、BOSCH製セルモーターのソレノイドスウィッチが壊れていたり(使用予定のない在庫のBOSCH製セルモーターに交換しました)

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灯火類を点検したらヘッドライトが点灯せず、調べたところヘッドライトリレイが壊れていたりしましたが(たまたま、数日前に入荷したばかりの新品がありました)

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エンヂンが掛かってみれば、ちょっと驚くぐらい状態が良いッ!良いッ!

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ポイントとコンデンサー、プラグコードにスパークプラグも交換したせいもあるかもしれませんが、キャブレターはO/Hをオススメしたい感じなのに、点火時期はビタッと安定していて、なんだかとっても穏やかなアイドリングです。エンヂンからは気になる異音もまったくなく、ほんと、良いエンヂンだと思います!バンザイ!

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あとは実際に試乗して、車体周りの確認をしていただければと思います。これなら文句なく車検に通るんじゃないでしょうかッ!

朝から作業を始め、気付けば夕方まで掛かってしまいましたが、結果的には遠くからお越しいただいただけの対応ができたかなと思います。もしメールでのやり取りを続けていたとしても、あのときのお客様のお疲れの様子を思うと、ココまでの追加作業をお一人で行うことはオススメできなかったかもしれません。喜んで作業させていただきましたが、本音を言えば「遠くから来てもらってちゃんと直せなかったら、コレ、かなりマズくね?」と内心すんごくドキドキしていましたので、その日の内に納車でき、こちらもお客様と同じくらい嬉しく、またホッとしました。前日までのプレッシャー、ハンパなかったです。

 

「しつこいぞパトラッシュ、僕はもう疲れたと言っているッ」

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というお客様自らのご希望とはいえ、かなり距離のあった当店をご利用いただき、本当に有り難うございましたッ!作業の合間にも色々とお話しでき、とても楽しく点検&修理を進めることができました。今度はツーリングがてら、是非、遊びにいらしてください。さらに仕上がったR100Tでのご来店、お待ちしておりますッ!

 

などと、「お客様のために、イッツ・モギーモータース」みたいに書いてますが、車輌の積み込みのお手伝いはしない、冷徹なモギー。(撮影に夢中)

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遠方からの車輌の持ち込みにも対応致します。ご相談くださいッ!

ズッ客。

ある晴れた金曜日、またしても頼んだ記憶がない荷物が届きました。あなたならどうしますか?

(1)とりあえず開梱し、しれっと懐に入れる
(2)送り状をよく確認し、本当に自分宛ての荷物かどうか電話する
(3)お客様からのモノだと知っていたが、期待ハズレで逆ギレする

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) e -J -⊥・・・?なんだコレ?読めねぇわ!(逆ギレ)

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なーんて、T-fal®(ティファール)の電気ポットですね。あざーす!

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これで、お湯が飲めるッ!ウゥリィィィ!

uuurrrryyy
ジョジョの奇妙な冒険より

 

最近、グッと寒くなってまいりまして、断熱材のない壁でできた当店も、「ココ、外より寒くね?」と言われそうなほど、すっかり冷えてまいりました。
ちょくちょくご来店くださるR65にお乗りのお客様も、「あ~、モギーモータースでも温かいコーヒーとか出したらどうスカ?」とおっしゃっていたんですが、「バカ言うな!まだレモンスカッシュも、オランジーナもキンキンに冷えているんだぞ!」と一喝したところ、ウェルカムドリンクの発注にも電卓を叩くモギーを不憫に思ったのか、クリスマスプレゼントとして注文してくれたそうです。マジか・・・。

実は、先日遊びに来てくれた兄にも同じコトを言われ、そろそろネスカフェのアンバサダーへの申し込みを検討していたところだったので、コーヒーメーカーと電気ポットが一つずつ存在することにならずに済みましたが、こういうのは勘弁してください。涙で前が見えなくて、仕事になりませんから。てことで、今日はもう帰ります。(不可抗力)

オレゎ……ネスカフェのドルチェグストが欲しかった……
でも……けっこう高くって…
でも……あきらめるのょくなぃって……
オレゎ……ぉもって……がんばった……
でも……お客様が…勝手に……
注文しちゃって……ゴメン……ドルチェグストが……
でも……お客様とオレゎ……ズッ客と店主だょ……!!

って、応用利きにくいわ、このテンプレ!

 

ということで、最近のモギーモータース、ちょっとカフェっぽくなってまいりましたので、お気軽にご利用ください。(すごく雑)

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熱いお湯とステッィクコーヒーを用意して、お客様のご来店をお待ちしておりますッ!(セルフサーヴィス)

 

R100RS、始動困難ナリ。(その5)

たまたま当店ブログをご覧になり、整備の相談のご連絡をいただいていたお客様の始動困難なR100RS、モギー刑事の活躍によりなんとか修理も終えて納車したんですが、すぐに症状が再発してしまいました。トホホ・・・。

モギー刑事  「え?えっ?減給処分?ちょっ、家族がいるんです!」

先日ご来店くださった際にも簡単に点検&調整&部品交換させていただいたんですが、「納車以来、始動性はすこぶる良くなってるだけど、まだなんか吹け上がりが悪くって、これは気持ち良くないッ!」と、症状はあまり変わらなかったご様子。結局、もう一度お預かりすることになりました。何度も足を運ばせてしまい、本当に申し訳ありません・・・。

モギー刑事  「課長、もう一度、オレに現場へ行かせてくださいッ!」

ということで、またしても点火系の点検からスタートです。先日の点検で点火時期が少しズレていたので、ポイントも再点検します。

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ガーン。やはり少し狭くなってました。新品のポイントに交換したんで、ヒールの初期馴染みなんでしょうか。ビシッと再調整します。

前回は新しいからとそのままにしたコンデンサーも、今回はしっかり点検します。おっし、問題なし!

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てことで、ポイントを元に戻し、点火時期を調整します。おっし、しっかり仕事しているッ!

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(動画でご覧いただけます。)

お客様が使用しているダイナコイルも問題なく、当店在庫の新品と交換しても変化がありませんでしたので、となると・・・やっぱりキャブレターしかありません。

モギー刑事  「ウッ!片側が上がりっぱなしにッ!」

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ピストンヴァルヴとトップカヴァーの摺動部に、なぜかガムっぽい汚れが???

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モギー刑事  「アレだけ聞き込み(洗浄)したハズなのに、一体ドコから?」

などと言い訳もソコソコに、しっかり洗浄し直して、キャブレターを元に戻します。さあ、どうなのよ!

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(動画でご覧いただけます。)

ガーン。まったく良くならないー。

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~翌日~

色々と試してみましたが、どうやらキャブレターボディ内部の通路に根本的な問題がありそうだと判断。結局、たまたま在庫していたキャブレターをO/Hし、セッティングを変更して取り付けることにしました。さあ、どうなのよ!

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(動画でご覧いただけます。)

直っているッ!試乗した感じも良いッ!

バァーン!

 

ひょっとしたら、前回O/Hしたときの洗浄が中途半端だったせいで、溶けた異物がまた内部の通路を徐々に塞いでしまったのかもしれません。後日、あらめて分解&洗浄し直して確認してみますので、それまでの間はこちらのキャブレターをご使用ください。もし分解&洗浄し直しても不具合が出る場合は・・・

モギー刑事  「課長、ちょっと相談したいことがあります。」

あらためて相談させてください。宜しくお願い致します。

 

ついでに、やはり再発してしまったメーターのインヂケーターがときどき点かなくなるという不具合も、今回、キッチリ修理します。前回の捜査でメーターに繋がるコネクターまでは調べが終わっていますので、残すはメーター側のフィルム基板です。

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(動画でご覧いただけます。)

ココですね、やっぱり。はっきり断線はしていないようなんですが、抵抗値を測ってみるとちょっと大きな値を示します。試しに在庫のメーターに付け替えると、症状がまったく現れません。

この部品はもう新品がメーカーから出ませんので、中古のメーターから取り出すしかないんですよね。マイッタ。

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事  「よし、ココは俺に任せろ。」
新米刑事   「先輩!(やだ、カコイイ・・・)」

ってことで、交換して動作確認します。バッチリ!ですね。ちょっと長めに試乗もしてみましたが、症状は確認できませんでした。

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事  「フゥ、あとはまた請求書、じゃなくて報告書を書くだけ、か。」

 

というわけで、長々とお付き合いいただきましたが、これでようやくご依頼の作業はすべてクリアできたと思います。度々足を運ばせてしまい申し訳ありませんでしたが、今度こそ、この冬を存分にR100RSの無敵のフルカウルで楽しんじゃってください。有り難うございましたッ!

 

こうして事件はようやく解決。しかし、まだこの世の中には不届きなヤツ(不調車輌)がいるッ!すぐに次の事件(お仕事)が(を)待っている、モギー刑事なのであった・・・。

新米刑事   「先輩、ドコまで行くんスカ!」
モギー刑事  「コンビニ!」

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(完)

 

一度は「直ったかな?」と思った症状が再発しても、責任持って対応させていただきます。いただきますッ!

 

オマケ

それにしても、再塗装とお聞きしましたが、赤鼻仕様のカラーリングはカッコイイですね!

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北方(埼玉)から、R100RS便り。

先週のことですが、2ヶ月ほど前にトランスミッション単体でのO/Hをご依頼くださった「当初は外装を再塗装してエンヂンをキレイに磨き、フレームも錆びたトコロを塗り直して乗り出すつもりが、手を付け始めたら車輌がバラバラになっていたッ!」というお客様、R100RSが仕上がったとのことで、ツーリングがてらご友人と突然のご来店ッ!ウレシィッ!

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トランスミッションのO/H後も、ステムベアリングの交換とフロントフォークのO/Hのご依頼をいただきましたが、発送後にフォークオイルが漏れるというモギーの大失態にもかかわらず、こうしてご報告に来てくださるとは・・・、有り難いことですッ!

それにしても、タンクの色だけ違うのが気になりますが、それもそのハズ。こちらの塗装はお客様自身の手によるものでして、「とりあえず年内に走らせたかったから、タンクは来年!アハハ!」とのこと。元はこのシルヴァーのカラーリングだったそうですが、純正部品の見本から純正色のクラシカル・ブラックを調色してもらったそうです。このカラーリングは何台も見たことがありますが、お聞きするまではホンモノの純正色だと疑いませんでした。いやいや、かなりの腕前やん・・・。

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しかも、「エンヂンガードは要らないから」と、サイドカウルの穴まで埋めるこの仕事ッ!

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O/Hさせていただいたトランスミッションも、キレイに塗装されているッ!マジかッ!

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アカン、このお人もザ・バイクバカや・・・。(良い意味で)

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ついでに、ちょっと同調を点検させていただいたり、一部増し締めさせていただいたりしましたが、シリンダーヘッドもO/Hされたそうなので、かなり調子良さそうでした。もちろん、トランスミッションもクルクル軽~く回ってました。中は見えませんが。オホホ。
(後日、シフト操作も「スコスコ入ります!」とのご報告がありました。バンザイ!)

で、一緒にご来店されたご友人は筋金入りのカワサキ乗りでして、長く所有されているというこちらの車輌も「見る人が見れば、ウォッ!てなるバイクだよ。」とのこと。2V-OHVのBMW以外のバイクにはまったく疎いモギーですが、各部に奢られている部品がちょっとスペシャルな雰囲気を醸し出していることは分かりました。なんでも、その当時にリリースされた部品を使用して、丁寧にZ1000RのS1仕様にカスタムされているとか。
ちなみに、こちらの塗装もお客様の手によるものだそう。ズコー。

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が、ご友人の面白いお話をお伺いするにつれ、その価値がトンデモないことになっているッ!ことを知りました。価格高騰が噂されるカワサキZシリーズの中でも、ダントツみたいです。ギャー!

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アカン、ココにもザ・バイクバカや・・・。(もちろん良い意味で)

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ということで、作業のご報告と楽しいお話、有り難うございましたッ!タンクの塗装が終わりましたら、またツーリングのついでにもお立ち寄りください。ご来店、楽しみにしておりますッ!

 

ほとんど仕上げたけどタンクの塗装が後回しの方、BMW以外のバイクにお乗りの方、遠慮なくご来店くださいッ!

R65、オイル噴出の修理。

R65(2本サス)にお乗りの、モギーが足を向けて寝れない&当店のステマ担当のお客様、今度はトラブルでのご来店です。嫌な予感がします・・・。

先日のご相談でお話はお聞きしていましたが、何やら最近、エンヂン始動時に後付けのオイルフィルターからオイルが噴き出してしまうことがあるそうです。噴き出すのは決まって始動時で、そんなときはO-リングもプリッとハミ出てしまい、辺り一面にオイルの海が広がるとのこと。なるほど。つまり、バイクを降りて、「帆を上げろー!船を出せー!」ってことですね?

はてさて、どうなりますか。

こちらのお客様がお使いになっているのは、Motoren-ISRAEL製のオイルパン用スペーサーです。オイル量を1リットル多くすることができ、油温も10~15°低く抑えることができるそう。フィルター交換も容易で、ブン回して走る方にはもってこいの製品なのですが・・・

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すでに3回もオイルを噴いてしまったことで、「ちょっと心が折れかけてます。トホホ。」とのご様子。直らなければ元に戻すことも考えたそうですが、このオイルパン用スペーサーを取り付けるときに「オイルフィルターを挿入するキャニスターを破壊して抜いているッ!後戻りはできないッ!」んだそうです。アチャー。

とりあえず、O-リングがハミ出してしまうとのことなので、「フィルターに付いているモノが弱いのカモ?」と考え、現物から寸法を採り

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耐油、耐熱、耐圧性に優れたO-リング(左)を手配して取り付けてみます。さあ、どうなのよ!

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アレアレ?ココはマレーシア?アレはマーライオンかしら?

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って、思いっ切り噴いているッ!

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~二日後~

作業場のお掃除も終わり、少し気持ちも落ち着いたので、あらためてオイルが噴いた原因を考えてみます。

お客様が使用しているフィルターのサイズは68mmで、コレはMotoren-ISRAELの指定サイズ通りです。ただ、同時に推奨している適合フィルターの品番は「WL7169」または「MANN W712/52」で、このフィルターを調べるとサイズは74mm相当となっています。

モギー刑事  「ひょっとして、サイズが小さいのか・・・?」

フィルター取り付け部を確認すると、確かに74mmのフィルターでないとO-リングがしっかり接触しないようです。

モギー刑事  「まさか、そんなコトだったのか!」

ということで、ワンサイズ大きなフィルター(左)を手配して取り付けてみます。さあ、どうなのよ!

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アレアレ、ココはイタリア?アレはナヴォーナ広場の噴水かしら?

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って、また思いっ切り噴いているッ!

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~二日後~

作業場のお掃除も終わり、少し気持ちも落ち着いたので、あらためてオイルが噴いた原因を考えてみます。(2回目)

オイルが噴出したフィルターをよく見ると、ハウジング自体が歪んでいるッ!のが分かります。この歪みのせいでできた隙間からO-リングがプリッとハミ出てしまい、オイルが噴出するようです。いつもお世話になっているモノタロウ・ブランドを悪く言うつもりはありませんが、完全に油圧に負けて変形してますので

モギー刑事  「ペロッ。このブツは・・・粗悪品だ!」

というモギー刑事の怒りもごもっともです。

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(動画でご覧いただけます。)

確かに、エンヂンが冷え切った状態からの始動時は油圧が高くなります。これは、まだオイルが固い(熱が入っていない)からで、数分の暖機運転で徐々に油圧は下がります。冬場はさらに冷えてオイルは固くなっていますが、それでも、調べてみるとオイルフィルターの耐圧性は工業規格で「1,500kPaに耐えること」となっていますし、2V-OHVエンヂンのオイルポンプの作動圧力はおよそ600kPaですから、どう考えてもフィルターから漏れたり、ましてやフィルター自体を変形させることはないハズなんですが・・・。
(現在の車で使用されている0W-30のような粘度の低いオイルなら、モノタロウ・ブランドのフィルターでも問題はないみたいです。事実、このお客様も夏場は大丈夫でしたし、モノタロウのユーザーの満足度もけっこう高いですし。)

てことで、またオイルフィルターを注文し、オイルも20W-50から10W-40へ変更することにしました。

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耐圧を謳うBOSCH製、しかもメイド・イン・ジャパン!当然、新品なので歪みもなくクルクル回ります。

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(動画でご覧いただけます。)

指定通り、O-リングが接触してから3/4回転締め込んだ状態で、ほぼクリアランスなしのこの状態ッ!コイツは期待できるッ!

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2回のオイル噴出ですっかりビビってますが、あえてキンキンに冷えた深夜に始動テストを行います。さあ、どうなのよ!(もうどうにでもなれ)

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バッチリです!暖機もソコソコに回転をブォンブォン!上げても、まったく噴き出す気配も、漏れる気配もありません。バンザイ!

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後日分かったことですが、お客様からの情報によるとMotoren-ISRAELでもこのトラブルは認識していたようで、現在販売されている新型のオイルパン用スペーサーにはリリーフヴァルヴが追加されているとのこと。そりゃないぜー。

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ちなみに、コレがお客様がお使いの旧型のモノです。

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単品でリリーフヴァルヴの提供もあるそうですが、価格は€75.00だそうです。現在(2015/12/11)のレートで約¥10,000ですから、ちょっとお高いですね。しかも、そもそもMotoren-ISRAELの設計ミスだと思うんですが、シレっと「元々エンヂンに内蔵されているリリーフヴァルヴが適切な油圧で作動しないからO-リングがハミ出る」みたいな説明をしていますので、旧型のユーザーには優しくない対応になってます。
もし同型のオイルパン用スペーサーをお使いの方がいましたら、オイルフィルターの選択には十分ご注意ください。それと、冬場は始動後の暖機運転を少しのんびり行っていただき、心配ならオイルの粘度も下げておくことをオススメします。

と、ただのフィルター交換のつもりが時間ばかりが掛かる結果になってしまい、また、フィルターが赤くなってちょっとハズカシイ感じになってしまいましたが、これで安心していつものようにブン回せると思います。この度も当店をご利用いただき、有り難うございましたッ!

後付けのオイルフィルターからピューとオイルが噴き出しちゃう方、ご相談くださいッ!

北方(福島)から、キャブレターO/H。

またまた遠方の方から、キャブレターのO/Hのご依頼です。有り難いことですッ!

こちらのお客様、R100のサイドカー仕様にお乗りだそうで、基本的にはそれほど調子は悪くないそうなんですが、エンヂンを始動してしばらく走行したあとに回転数が少し高めになることがあるようで、ご相談のメールをいただきました。で、ちょうどこれから冬になり数ヶ月乗れなくなるということで、メールでのやり取りからキャブレターのO/Hをされることに!ウホッ!

仕事だワッショイ!仕事だワッショイ!

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と、テンションも上がってまいりましたので、さっそく届いた荷物を開梱します。

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パッと見、そんなに汚れもありませんし

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お客様の「走ってなんぼ」の言葉通り、よく乗られている車輌のキャブレターみたいです。

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バタフライも、右側も

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左側もしっかり閉じてますね。

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てことで、分解して点検します。

フロートチャンバー内にちょっとゴミが溜まってました。大きく見えるゴミも、小さなゴミが固まってできた破片のようです。オーヴァーフローを気にされてはいませんでしたので、おそらく長年の使用で少しずつ溜まったモノが、乗られない時期に固まって大きくなっていったのではないでしょうか。そんなに心配はなさそうですが、ガソリンタンク内を軽~く洗浄してみても良いかもしれません。

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キャブレター側も、中はかなりキレイでしたが

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メインジェットホルダーの奥にけっこうな量の異物が溜まってました。

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この穴の空いたアトマイザーと呼ばれる部品は、メインジェットを通ってニードルジェットとジェットニードルの隙間から吸い出されるガソリンに空気を混ぜて混合気を作り、その名の通り霧吹きのように働きますので、ココが異物で詰まり気味だったとすると、スロットルを大きく開けたときのメイン系の混合気がちょっと濃くなっていたと思います。

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推測ですが、キャブレターに導入されるブローバイガスとエアフィルターを通過してしまう小さなゴミが少しずつ溜まり、こんなふうになってしまうのではないかと。程度の差はあっても、長くO/Hされていないキャブレターでしたらこんな感じになっていますので、気になる方は点検してみてはいかがでしょうか。

ピストンヴァルヴやスターターなんかも汚れてはいますが、不動車のようなガンコな汚れじゃありません。これなら簡単に落ちそうです。やっぱり、よく乗られてる車輌は状態が良いですね。

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というわけで、バラバラに分解しましたので、ビシッと洗浄します。

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できました。

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真鍮部品もピカピカです。ジェット類の穴の通りも確認しています。

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メインジェットホルダーの奥もキレイになりました!

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これならOKですね。

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O-リングとガスケットを交換し、正しく組み立てます。油面調整もバッチリです。

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バタフライもビシッと閉じました。ヤッタネ!

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ピストンヴァルヴもダイアフラムの位置に注意して取り付けます。スコスコ動くことを確認ッ!

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ちなみに、こちらのキャブレター、トップカヴァーなんかを固定するネジがポジドライヴになってました。高年式の車輌によく見る気がしますが、ポジドライヴのネジにはポジドライヴ用のドライヴァーを使用したいですね。トルクの掛かり具合が全然違いますから。お持ちでない方、工具屋さんへゴー!ですよ。

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イイんじゃないでしょうかッ!

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そして、当店オリヂナルのスターターノブもご希望とのことッ!なんとも!ウレシイッ!

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ということで、ご相談のあった「エンヂンを始動してしばらく走行したあとに回転数が少し高めになる」という原因になりそうなスロー系の詰まり等は見受けられませんでしたが、今回、内部をキレイに洗浄したことで改善するかもしれません。あとは実際に取り付けて試乗していただき、症状が再発するかどうか確認していただければと思います。

この度は当店をご利用いただき、また色々とお気遣いまでしていただき、有り難うございましたッ!取り付け後のご報告、楽しみにしておりますッ!

つか、またしてもR65にお乗りのお客様が一枚噛んでいたようで、もう言葉になりません・・・。もし、ネット上で「自分はよく知りませんけど」みたいに装いながら当店のブログへ誘導したり、さりげなく「モギーモータースさんスカ?悪くないんじゃないでスカね。」みたいに話題をネジ込んでくる人がいたら、それは当店のステマ担当のお客様かもしれません。ご注意ください。(良い意味で)

遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/Hを承っております。ご連絡くださいッ!

西方(兵庫)から、シリンダーヘッドO/H。

またまた遠方の方から、今回はシリンダーヘッドのO/Hをメインに幾つかの作業のご依頼です。有り難いことですッ!

こちらのお客様、R65(2本サス)の後期型にお乗りだそうで、入手したときから「何かがオカシイッ!」とご自身で整備を進めていたそうですが、当店のブログを見て「ん?なんかちゃんとやってそうだし、いっちょ頼んでみるかッ!」とご連絡くださいました。何度かのメールのやり取りの末、ご自身でできる作業は進められたものの、やはりキッチリ直したいとのことで、部品をお送りいただくことになりました。

大物がキター!フィッシュ・オーン!

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つか、ブログの宣伝効果、侮れませんなぁ。ククク。

てことで、さっそく釣果、じゃなくて届いた荷物を確認します。

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オッ!マンボウかな?

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って、シリンダーヘッド、シリンダー、ピストン、それとプッシュロッドですね。

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燃焼室の状態はそれなりにカーボンの堆積がありますが

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走行距離の多い車輌ならどれもこんなもんですね。

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ヴァルヴも汚れてはいますが、ステムに嫌な傷も磨耗もありませんので、これなら再使用できます。ヴァルヴガイドのガタも気になったのは1箇所だけでした。

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EX側のヴァルヴシートはカーボンを噛みやすいので荒れてても無理はないんですが、

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気になるのは、IN側の吹き抜けたような跡ですね。ちゃんと閉じ切ってなかったんでしょうか。

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反対側も同じような感じですが

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状態は悪くありませんので、ヴァルヴフェイス研磨とシートカットで十分回復できそうです。

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シリンダーもクロスハッチがしっかり残ってますので

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これならピストンリングの交換だけで大丈夫そうですね。

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ただ、プッシュロッドのこの傷は気になりますね・・・。

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ということで、内燃機加工屋さんへ出すため、シリンダーヘッドとヴァルヴを洗浄します。

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ココまでキレイにするだけでも、けっこう大変です。

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おっし、準備OK。

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で、シリンダーヘッドをO/Hに出す前に、プッシュロッドの傷を確認しておきます。

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傷の位置を見ると、どうやらプッシュロッドチューブの下端で擦れたみたいです。

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プッシュロッド中央の傷は、シリンダーヘッドとシリンダーの接合部辺りにあります。

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プッシュロッドが通る穴を覗いてみても

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キレイに通っています。

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おそらく、過去に分解した際にガスケットの表裏を間違えて組んでしまい、そのときに傷が付いたんでしょう。正しく組んだガスケットに比べ

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裏返して組んだガスケットの場合、穴が小さくなるのが分かると思います。

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ガスケットは紙製で柔らかいのでプッシュロッド中央部にはあまり深い傷は付かなかったようですが、ガスケットのせいでストレスが掛かって曲がったロッドがプッシュロッドチューブの下端に接触したため、プッシュロッド下部には幅広な傷ができたんじゃないでしょうか。プッシュロッドは回転しながら上下に動きますから、ヴァルヴのリフト量を考えると納得です。
おそらく嫌な音がしてすぐに組み直したんだと思いますが、どうせならプッシュロッドも交換しておいて欲しかったですね。だって、まさか廃盤になってるとは・・・。

といったところで、シリンダーヘッドが内燃機加工屋さんから戻るまで、しばらく作業は中断になります。戻るまでの間にシリンダーとピストンの洗浄&点検も進めるつもりですが、少しバタバタしておりますので、作業再開までもうしばらくお待ちください。

 

(続く)

 

遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/Hを承っております。ご相談くださいッ!