またまた遠方のお客様から「始動性がイマイチで、アイドリングも不安定、右キャブレターからはオーヴァーフローが・・・」とのお問い合わせがあり、メールで数回のやり取りをさせていただいたんですが、症状はあまり改善されなかったようで・・・キャブレターのO/Hをご依頼くださいましたッ!有り難いことですッ!ウォー!仕事が少しずつッ!増えているッ!のではないかッ!
などとハシャいでる場合じゃありせんでした。さっそく届いたキャブレターを確認します。
こちらのお客様の車輌は初期のショーホウィールベースのR75/5、しかもサイドカー仕様になっているそうで、走行距離は60,000km越えとのこと。片側のペイントは剥がれていますが、型番は揃っています。資料からもR75/5用で間違いないようです。
20年ほど納屋で眠っていた車輌とお聞きしましたが
1971年製ということを考えれば相応の雰囲気で
とても良い状態だと思います。
といっても、トップカヴァーのマイナスネジの頭が傷んでいて、緩めるのにかなり気を遣いました。現在もこのネジは純正部品が出るものの、残念ながらプラスネジに変わっています。この雰囲気のキャブレターにピカピカのネジは似合いそうにないので、無事に緩んでホッとしました。ネジの頭をナメたりしたら・・・。いやー、おっかなかったー。
鬼門のネジも外れたので、バラバラに分解します。
中の状態もすごくキレイですね。やはり、保管状態が良かったんでしょうか。
スターターヴァルヴの中もこんなにキレイですし。
ただ、O-リングはパイロットスクリューのモノを除き
どれもカチカチになっていましたので、これだとO-リング本来のシール性はまったく期待できないですね。本格的なO/Hは今回が初めてなのかもしれません。
バタフライシャフトなんて、こなにクルクル回っちゃいました。
てことで、いつものようにジャブジャブ洗浄してピカピカにします。内部の通路はしっかり通っていましたし、錆はありますが汚れはキレイに落ちましたので、良い状態に戻る予感がするッ!
真鍮部品もキレイに磨いておきました。もちろん、ジェット類の通りも確認済み。問題ありませんでした。
O-リングとガスケットを交換し、しっかり組み立てます。フロートの高さもビシッと調整しました。
んで、スロットルとスターター周りもキッチリ組み付けます。
そのスターターヴァルヴ、洗浄中に穴の通りを確認していて気付きましたが、やっぱり右側キャブレターのヴァルヴの穴が1箇所開いていませんでした。この4つ穴のタイプはもう部品では出ないと思いますし、スターター機能にもそれほど影響しませんから、そのまま再使用しています。逆に、こういう不良はちょっとレアな気もしますので。
ダイアフラムは少しヤレた感じですが、伸びも破れもありませんでしたので再使用しました。
マイナスネジの頭も軽く修正し、しっかり締め付ければ
できました。
良いんじゃないでしょうかッ!
と、今回は発送するその前に、オーバーフローの症状をお聞きしていましたのでテストしておきます。
ガーン、数分で滲みが出てるー。
右だけじゃなく、左もアヤシイ!オ~ゥ、ノー!
新品(下)と比べると、確かにニードルヴァルヴの先端に少し当たりが付いてはいるものの、この程度なら大丈夫だと思ったんですが・・・、ダメでした。この金属製のヴァルヴはちょっと繊細すぎる気がします。先端がゴムのタイプであれば、多少の段付きがあっても漏れたりしないんですけどね。
で、ニードルヴァルヴを交換して再度テストしたところ、10分以上放置しても漏れも滲みもありません!これなら発送できるッ!バンザイ!
これにて、作業終~了~。
ということで、この度はキャブレターのO/Hのご依頼、有り難うございましたッ!R75/5は古い車輌ですが、しっかりと整備されていれば以降の2V-OHVにも劣らない走りを見せてくれると思いますので、是非、他の部分も丁寧に点検&整備されて、快調なR75/5を存分にお楽しみください。かなり遠方ではありますが、また何かありましたら遠慮なくご相談いただければと思います。良いご報告をお待ちしておりますッ!