R100RS、オイル漏れ修理と始動不良の点検。

以前に当店オリヂナルのETC用アンテナステイをお買い上げいただいたお客様、たまたまお近くにお住まいとのことで、今回はプッシュロッドチューブからのオイル漏れの修理をご依頼いただきました。有り難うございますッ!

で、ご来店をお待ちしていたところ、出発直前にセルモーターが回らなくなり、エンヂンが始動できなくなってしまったとのご連絡。結局、当店のトランスポーターで引き上げることになりました。近いことが幸い?しましたが、お客様にとっては嬉しくないトラブルですね。

おっ、アンテナステイもキレイに収まってます。ウレスィ~!

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さて、エンヂンが始動できなくなった原因を探りますか。

 

~数分後~

フューズの接触不良も疑わしかったんですが、原因はバッテリーの+ターミナルの接触不良でした。わずかなナットの緩みでも、セルモーターを回せなくなることがあるんです。端子の接触面をキレイに磨いてしっかり締め付けたら、ちゃんとセルモーターは回るようになりました。

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が、今度はセルモーターが空回りしてクランキングしてくれません・・・。どうも、ソレノイドスウィッチが上手く働いていないようで、アーマチュアコイルが虚しく回っているだけのよう。クランキングできないと火花も飛ばないので、タコメーターも動きません。

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(動画でご覧いただけます。)

てことで、お客様に了解を得て、セルモーターを修理することになりました。

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といっても、在庫しているマグネット剥離対策済みのハウジングに交換したO/H済みのValeo製セルモーターに取り替えるだけなんですが。

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ササッと交換したところ、無事にクランキングしてボボンッとエンヂンも掛かりましたッ!
これで、ようやくプッシュロッドチューブからのオイル漏れ修理に取り掛かれます。せっかくオイル漏れが直っても、エンヂンが掛からないようじゃ始動後の確認もできませんからね。

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ついでに、シートのヒンジ部が緩くなって外れやすかったので、紛失しているクリップの取り付けと同時に

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シートを開いたまま固定するためのブッシュも追加することになりました。

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シート表皮の一部に剥がれもあったので、エンヂンの修理の合間に接着しておきます。

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と、予定外の作業が続きましたが、いよいよプッシュロッドチューブのオイル漏れの修理です。

まずはオイル漏れの状況を確認、洗浄から。お客様が気にされるだけあって、けっこう潤いの強いオイル漏れですね。

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トランスミッション側からのオイル漏れはまだ気にするほどではなさそうですが、

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プッシュロッドチューブから漏れたオイルがオイルパン後方まで伝ってます。オイル消費も、一般に許される1リットル/1,000kmよりも激しいそうなので、けっこうな漏れだったのかもしれません。

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クランクケースとタイミングチェーンカヴァー、オイルフィルターカヴァーの合わせ面からも滲みがありそうなんで、洗浄後、オイルパンと併せてボルトを増し締めしておくことにします。

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オイル漏れの状況も確認したので、シリンダーとピストンを取り外します。

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プッシュロッドチューブのオイルシールが硬くなって変形してます。こりゃ、漏れるわけですね。それに、チューブ自体にも少しずつ漏れたオイルがこんもり堆積してますので、こういう場合はステインレス製のチューブに交換することをオススメしています。

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ステインレス製チューブに交換する際は、チューブを抜く前に元のチューブの挿入具合を良く確認しておきます。

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ステインレス製チューブは同じ深さまで挿入できないこともありますが、なるべく近い深さまで挿入するための目安になりますので。

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また、チューブにあるリング部の位置も確認しておきます。
ステインレス製チューブのリングは圧入されているだけで移動できるので、ズレている場合は元のチューブに合わせます。

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ピストンの状態は良好なものの、カチカチのカーボンがピストントップにたっぷりこびり付いていたので

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シリンダーとともに、頑張ってピカピカにしましたッ!チューブも打ち換えて、眩しいッスね~。

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27,000kmの走行距離なんで、シリンダーのクロスハッチもまだまだクッキリ残ってますし、ピストンとのクリアランスもOKでした。ピストンリングも問題なしで、一安心です。

エンヂン側もキレイに洗浄し、カム山とタペットの接触面も点検します。

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左右ともに異常なしッ!

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オイルフィルターカヴァーの周りなんかもキレイにしておいたので、エンヂン始動後のオイル滲みも見つけやすいですね。どうか、滲ませんようにー。

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フロントカヴァーとトップカヴァーも外しているので、ついでに洗浄しておきました。

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んで、シリンダーとピストンを仮組みしておいて

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シリンダーヘッドも洗浄と点検を行います。

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燃焼室とヴァルヴにもカチカチのカーボンが溜まってますので、

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それなりにオイルを燃やしながら走ってたのかもしれません。オイル消費が激しい理由も理解できますね。

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ただ、まさか右シリンダーヘッドのインテイク側のヴァルヴとヴァルヴガイドに、こんなにガタつきがあるなんてッ!やめて~!

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こちらは、一番ガタつきのなかった左シリンダーヘッドのインテイク側です。
残り2箇所もそんなに酷くなかったので、本来ならそのまま組んでもまあ大丈夫かなという感じなんですが、右側インテイクのガタつきは許容範囲を大きく超えてます。このままだと、せっかくココまでバラして組み上げても、オイル下がりによるオイル消費は激しさを増すだけで、時期をあらためて作業するとなると、また同じ工賃をいただかなくてはなりません・・・。

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ということで、またまたお客様に了解を得て、ヴァルヴガイドを打ち換えさせていただくことになりました。なんだか予想外の作業が増えてしまい、申し訳ありません・・・。

幸い、ヴァルヴのステムに異常な磨耗がなかったので、ビシッとキレイに洗浄して内燃機加工屋さんに届けました。これでヴァルヴも交換なんてことになっていたら・・・、くわばらくわばら。

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2週間ほどでシリンダーヘッドが仕上がる予定ですので、それまでの間は外した部品と車体を保護して、作業待ちです。仕上がり次第、キッチリ組み上げますので、もうしばらくお待ちください。

 

(続く)

 

プッシュロッドチューブのオイル漏れや、シリンダーヘッドの点検とO/Hも、ご相談くださいッ!

長期不動のR80、ステムベアリングの調整。

ちょっと前に仕入れた長期不動のR80、無事に登録も終え、販売に向け慣らしと試乗を進めています。

何度か試乗を繰り返していますが、やっぱり少しハンドリングが軽い感じがします。ハンドルが振れるほどではないものの、もう少しヌルッとしててグッという感じが欲しいトコロ。

てことで、ステムベアリングを調整します。
ハンドルを外してステムナットにアクセスできるようにして

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ステムベアリングのアジャスターナットをフックレンチで締め込んで、プリロードを調整します。
数値でプリロードを決めているわけではないので勘頼りになってしまうのですが、軽すぎず重すぎず、実際に走ってハンドルに振れが出ないようにします。

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で、トルクレンチでステムナットをしっかり締めて

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元に戻します。

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これで試乗してみて、良い感じになっていれば良いんですが。
もちろん、ダメなら納得できるまで繰り返します・・・。

2V-OHVのBMWで良くあるハンドルの振れの原因は、ほぼ間違いなくステムベアリングにあります。ベアリングの状態に問題がなく、プリロードの調整がきちんとされていれば、ハンドルの振れはまず起こりません。
ハンドルの振れが気になる方は、一度、ステムベアリングを点検することをオススメします。

 

(続く)

 

ハンドルの振れや、ステムベアリングの交換または調整も、ご相談くださいッ!

当店取り扱いのオイルについて。

当店では、エンヂンオイル、トランスミッションオイルともにKendall®(ケンドル)を在庫、使用しています。選んだ理由は割愛しますが、コスト的にもお客様にあまり負担にならないオイルの中では十分な性状を保有していると考えます。

2V-OHVのような大排気量の空冷エンヂンの場合、エンヂンオイルに掛かる熱的負担はやはり大きく、走行距離によらず年2回の交換をオススメしています。具体的には、熱的に厳しい暑い夏を乗り越えた後と、冷間時と始動時で温度差の激しい冬の終わりが交換時期の目安です。
また、現在のインジェクション仕様の車輌ではそれほど気にする必要はありませんが、キャブレター仕様の場合、どうしてもガソリンによるエンヂンオイルの希釈も問題になってきます。
オイル管理の重要性は今更述べるまでもないことですが、安価なだけのオイルで頻繁に交換するよりも、信頼できるオイルを使うほうが長い目で見るとエンヂンには良いと思います。

まだKendall®をお使いになったことない方、是非、一度お試しください。

エンヂンオイル

・GT-1® High Performance Engine Oil with Liquid Titanium®
SAE 20W-50 ¥1,000/リットル(税抜)

http://www.kendall.jp/products/engine/gt1-2.html#entry2

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基本的にオールシーズンでのご使用をオススメします。特に指定のない限り、春から夏、秋にかけて気温が高い時期にはこちらの粘度20W-50のオイルにて交換致します。

・GT-1® High Performance Engine Oil with Liquid Titanium®
SAE 10W-40 ¥1,000/リットル(税抜)

http://www.kendall.jp/products/engine/gt1-2.html#entry1

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冬季の気温が低く、エンヂンの始動が少し重いと感じられるお客様には、こちらの粘度10W-40のオイルをオススメしています。冬が終わり、春になる頃に粘度20W-50のオイルへ交換していただければと思います。

トランスミッションオイル

・NS-MP Hypoid Gear Lubricant
SAE 75W-90 ¥1,000/リットル(税抜)

http://www.kendall.jp/products/gear/gear.html#entry1

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トランスミッション、ドライヴシャフト(パラレヴァーを除く)、ファイナルドライヴには、こちらの粘度75W-90のオイルにて交換致します。

オイル交換工賃

各部¥1000(税抜)にて作業させていただきます。当店使用のKndall®だけでなく、お持ち込みのオイルでも交換致しますので、お気軽にご相談ください。また、オイル交換時に必要なガスケットも十分に在庫していますので、ガスケットのみのご注文も承っております。

・ガスケット(18×22) ¥100/個(税抜)
純正品番:0711 9963 300
エンヂンのドレインボルト、トランスミッションのフィラーボルト、ファイナルドライヴのフィラーボルト(パラレヴァーを除く)用の18×22サイズになります。

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・ガスケット(14×18) ¥100/個(税抜)
純正品番:0711 9963 200
トランスミッションのドレインボルト、ファイナルドライヴのドレインボルト、ファイナルドライヴのフィラーボルト(パラレヴァー)用の14×18サイズになります。

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・ガスケット(12×15.5) ¥140/個(税抜)
純正品番:0711 9963 130
ドライヴシャフトのフィラー&ドレインボルト用の12×15.5サイズになります。

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・ガスケット(8×11.5) ¥140/個(税抜)
純正品番:0711 9963 041
モノサスと2本サス後期で使用されているファイナルドライヴ(写真下)のオイルレヴェルホールのボルト用の8×11.5サイズになります。

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・ガスケットセット(2本サス) ¥780/セット(税抜)
2本サス用のセットになります。

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・ガスケットセット(モノサス) ¥920/セット(税抜)
モノサスおよび2本サス後期用のセットになります。

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・ガスケットセット(パラレヴァー) ¥500/セット(税抜)
パラレヴァー用のセットになります。

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オイルフィルター交換工賃

オイルフィルターの交換も承っております。交換工賃は、イグゾウストパイプを外す必要のある2本サスのオイルクーラー付きの場合¥3,000(税抜)、それ以外の場合は¥1,500(税抜)になります。

・オイルフィルター(OX36) ¥1,900/個(税抜)
純正品番:1142 1337 575
オイルクーラー付き(写真下)のエンヂン用です。

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・オイルフィルター(OX37) ¥1,900/個(税抜)
純正品番:1142 1337 570
オイルクーラーなし(写真下)のエンヂン用です。

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・オイルフィルターO-リング ¥500/個(税抜)
純正品番:1142 1264 160
オイルフィルターカヴァーのO-リングです。

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・オイルフィルタースペーサー ¥220/個(税抜)
純正品番:1142 1336 895
オイルフィルターO-リングの密着性を高めるためのスペーサーです。車輌により、1枚または2枚使用します。

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・オイルフィルターガスケット ¥100/個(税抜)
純正品番:1142 1338 600
オイルフィルターカヴァーの紙製ガスケットです。主にモノサス以降の車輌では使用しません。

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オイルの通信販売

ご希望のお客様には、オイルの通信販売にも対応致します。使いきりに便利なボトル(0.946リットル)と、頻繁にオイル交換を行うお客様向けのペール缶(18.9リットル)の2種類になります。個人営業のため十分な在庫を確保することができませんので、ご注文いただいてから取り寄せになる場合もありますが、ご了承ください。ご購入金額に応じて、送料を割り引きしてご提供致します。

・GT-1® High Performance Engine Oil with Liquid Titanium®
SAE 20W-50 ¥1,980/ボトル(税込)

http://www.mydokini.co.jp/kendall/20w50.html

・GT-1® High Performance Engine Oil with Liquid Titanium®
SAE 20W-50 ¥19,000/缶(税込)
http://www.mydokini.co.jp/kendall/20w50p.html

・GT-1® High Performance Engine Oil with Liquid Titanium®
SAE 10W-40 ¥1,980/ボトル(税込)

http://www.mydokini.co.jp/kendall/10w40.html

・GT-1® High Performance Engine Oil with Liquid Titanium®
SAE 10W-40 ¥18,400/缶(税込)
http://www.mydokini.co.jp/kendall/10w40p.html

・NS-MP Hypoid Gear Lubricant
SAE 75W-90 ¥18,900/缶(税込)
http://www.mydokini.co.jp/kendall/75w90.html

※NS-MP Hypoid Gear Lubricant SAE 75W-90にはボトルの設定がありません。

オイル交換後の廃油の処分

お近くでしたら、お客様ご自身でオイル交換された後の廃油の処理も無料で引き受けますので、遠慮なくご相談ください。

 

注意!オイルの価格は代理店の価格改定により、予告なく変更になる場合があります。ご了承ください。

長期不動のR80、ウィンカースウィッチの修理とスターターノブの取り付け。

ちょっと前に仕入れた長期不動のR80、無事に登録も終え、販売に向け慣らしと試乗を進めています。

先日、お世話になっている業者さんのトコロまで塗装の依頼に行く予定があったので、試乗も兼ねてR80で行ってみたんですが、ちょっとウィンカースウィッチの調子がオカシイ。左にスウィッチを入れると、位置によって正常に点滅したり、しなかったりします。おまけに、メーター上のインヂケーターの点滅動作も不安定になることがあり、このままでは納車できません。
やっぱり、実際に乗ってみないと現れない症状ってのがありますね。

てことで、さっそくウィンカースウィッチを修理します。
すでにハンドルに取り付けてしまっているのでちょっと作業しにくいですが、なんとか分解できました。

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接点の接触不良を疑ってたんですが、やっぱりココっぽいですね。

接点を磨いてキレイにし、ついでに各部の動作も確認して

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元通りに組み立てます。
プリントされたマークにヤレた感じはありますが、スウィッチ自体はカチッとした操作感があり、非常に良い状態です。

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インヂケーターの点滅動作も怪しかったので、ウィンカーリレイの端子も見直しておきました。

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バッチリです!安定して動作するようになりました。

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ついでに、せっかくキレイに仕上げたスターター(チョーク)レヴァーですが、やっぱり当店オリヂナルのスターターノブに交換することにします。
ご覧の通り、ETCのパイロットランプにケーブルが重なって、なんか気になるんですよね。

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それに、スターターケーブルを外すだけで

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エンヂンの上側もけっこうスッキリするんです。

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どうですかッ!このハンドル周りの軽快な感じッ!

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我ながら良いモノができたと思いますので、是非!

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それにしても、このR80はイイ!ですね。
これの新車に乗ったことはもちろんありませんが、まるで新車を思わせるカッチリした車体の印象と、滑らかで力強く回るエンヂンのフィーリング。何台も触ってきましたが、この車輌はかなり良い仕上がりだと思います。

早く慣らし&試乗を終わらせて、販売しなければ!

 

(続く)

 

ウィンカースウィッチの修理や、スターターノブのご注文も、承っておりますッ!

R65、フロントブレーキキャリパーのO/H。

R65(2本サス)にお乗りのお客様、トランスミッションの作業が終わったので、フロントブレーキキャリパーのO/Hです。

フロントブレーキのマスターシリンダー側はご自身で作業されたそうですが、キャリパー側はまだ手を付けていなかったらしく、最近、ちょっとブレーキの引き摺りが気になるとのこと。

まずはキャリパーを取り外し、

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分解して徹底的に洗浄します。洗浄前(上)と洗浄後(下)の違い、分かるでしょうか。
シールは交換し、錆び付いたボルトもキレイに磨いておきます。

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ピストンに錆があるので交換したいところですが、残念ながら部品の設定がないので入手できません。丁寧に錆を落として表面を均し、今回は再利用します。
でも、今後のことを考えると何か対策を考えなきゃいけませんね。

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ピストンの動きもかなりスムースになり、無事、キャリパーをO/Hできました。
長い時間試乗してみても、ブレーキフルードの漏れも滲みもありません。もちろん、引き摺りもまったくなし!

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心配だったストロークの小さいキックスターターも問題なく使用でき、というより、むしろ拍子抜けするくらいあっさりエンヂンが始動でき、クラッチの不具合もバッチリ直りました。
元々エンヂンの調子は良いR65ですが、今回は車体周りの整備もチョイチョイ施していますので、これで益々楽しく走り回れますね!

 

ブレーキのO/Hだけでなく、車体各部の点検と整備も、ご相談くださいッ!

R65、フライホウィール周りのオイル漏れ修理とトランスミッションの取り付け。

R65(2本サス)にお乗りのお客様、トランスミッションO/H作業の続きです。

トランスミッションのO/Hは終わりましたが、クラッチの不具合を改善するため、クラッチ周りも点検、整備します。
注意! クラッチやフライホウィール周りの整備には注意すべき点が多々あります。安易な作業はせず、正しい知識を持ったディーラーまたは専門店に任せましょう。

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クラッチ周りを取り外すと

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ダストがこんもり出てきました。

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クラッチ周りをキレイに清掃し、点検します。クラッチ板の状態も良く、厚みもまだ十分残っていました。あと40,000~50,000kmはもちそうです。プレッシャープレートにも異常な磨耗はなく、良好でした。

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ここまでの整備でクラッチの不具合が改善すれば良いのですが。

続いて、ココのオイル漏れを修理します。
この付近にオイルが漏れると、漏れたオイルとクラッチ板のダストが混ざって、こんな感じの頑固な汚れになりますね。インプットシャフトのオイルシール、オイルポンプカヴァーのO-リング、フライホウィールのオイルシール、このいずれかが劣化するとココにオイルが垂れてきます。
放っておいても良くはなりませんので、この辺にオイルが滲んだり漏れてきたら、トランスミッションのO/Hと一緒に作業しちゃいましょう。

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まずはフライホウィールを取り外し、

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クランクシャフトとの接続部を点検します。異常な磨耗も傷もなく、良好な状態でした。フランヂ部のO-リングはシール性が落ちてオイルが少し漏れ始めてるので、交換ですね。

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クランクケース側のオイルシールには滲みも漏れもありませんでした。このシールはちょっと高価なんで、交換せずに済んで良かったです。
今回のオイル漏れは、オイルポンプカヴァーのO-リングの劣化が原因てことですね。

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というわけで、オイルシールを保護して洗浄します。しかし、手強かった・・・。

どうですかッ!このピカピカ具合ッ!

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オイルポンプ、オイルポンプカヴァーの状態も悪くないので、

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カヴァーをキレイに洗浄してO-リングを交換します。フライホウィールのO-リングも交換です。

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交換したO-リングをよく見ると、潰れて平らになってますね。こりゃ、漏れるハズです。

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オイルポンプカヴァーをしっかり取り付け、

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フライホウィールを元に戻したら、

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クラッチ周りも取り付けます。

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これでトランスミッションを取り付けられるんですが、その前にチョイチョイとやることが。

以前に交換したリアサスペンションのブッシュ、注文をミスった上側のブッシュが入荷したので

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ようやく交換できました。お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。

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ブレーキペダルのピヴォット部もまったくメインテナンスされてなかったので、

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キレイにしてグリスアップします。

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シフトペダル側も酷かったので、こちらもビシッとキレイにしてグリスアップしました。

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こういう部分をしっかりメインテナンスすると、渋かったり、固かったりしたブレーキやシフトのタッチがかなり良くなりますね。

スウィングアームのピヴォットベアリングも古くなってたんで、洗浄してたっぷりグリスアップしました。ベアリングの状態はあまり良くありませんが、これでもうしばらくは使えると思います。

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ドライヴシャフト連結部のブーツも、ひび割れや補修跡があるので交換です。

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お決まりのスピードメーターケーブルの防水ブーツと、傷んだソケットも交換します。

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で、こうなりました!

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作業を始めて三日目、今回はなんだかとっても時間が掛かりましたが、ようやくトランスミッションが車体に戻りました。ウレスィ~。

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エンヂンのトップカヴァーを戻す前に、ブローバイホースの取り出し部からオイルが滲んでたので、ホースのクランプをしっかり締めておきました。
ホースが劣化してくるとココからオイルが滲んできますので、気になる方はクランプを締め直してみると良いかもしれません。ホース自体がダメになっていると交換するしかありませんが、けっこう緩くなっている車輌は多いです。

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てことで、トランスミッションのO/Hとキックスターターの取り付けが終了。
グッジョブ、オレ!

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ただ、この年式のR65のステップは少し位置が高いようで、キックレヴァーを踏み込むとすぐにステップのゴムに当たります。ちょっとストロークが小さいのが気になりますが、上手くキックでエンヂン始動できるかな?

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さて、お次は追加作業のブレーキの整備です!

 

(続く)

 

フライホウィール周りのオイル漏れや、クラッチ周りの点検も、ご相談くださいッ!

R65、トランスミッションのO/Hとキックスターターの取り付け。

R65(2本サス)にお乗りのお客様、今度はトランスミッションのO/Hとキックスターターの取り付けと、フロントブレーキキャリパーO/Hのご依頼です。
またまたまた有り難いことですッ!

さっそく、トランスミッションを取り外します。

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長年の汚れで黒くなってますが、クラッチ板が磨耗して出たダストなので走行距離の多い車輌はどれもこんなもんです。インプットシャフトのオイルシールからのオイル漏れがないので、状態は悪くなさそうですね。

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トランスミッション上側も、

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下側もオイル汚れがたっぷりですが、こういう状態のほうが洗浄後にキレイになりますね。

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問題は・・・

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ココのオイル漏れです。トランスミッションを片付けたら修理ですね。

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抜いたオイルがけっこう汚れてるのが気になりますが、金属粉はありませんでした。

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ということで、いつものように分解です。

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ケースを洗浄し、

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古いガスケットを剥がします。コレ、手強いヤツや・・・。

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ドレインの穴やニュートラルスウィッチの取り付け穴なんかもシュシュッとキレイにしておきます。

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関連部品ももちろん洗浄して、

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ピカピカになりました!

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頑固に張り付いたガスケットも、ご覧の通り。

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続いて、分解した内部部品を確認します。

ギアの状態は良好だったので、ベアリングだけ交換です。
ベアリング自体もあまりガタつきはなかったんですが、当店では国産ベアリングを使用しているので純正部品に比べると価格は1/6程度、しかも信頼の国産、高品質ベアリングを選んでいますので、O/H時には問答無用で交換しちゃいます。

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シフトセレクターの状態も良いですね。定番のリターンスプリングだけ交換しておきます。

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シフトフォークにも問題はありませんでした。

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アウトプットフランヂの状態も良好です。ココが良いと安心します。ホッ。

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で、ココからが本番です。

今回、キックスターターを取り付けるので、インプットシャフトにキック用のギアを追加しなければなりません。
純正部品でギアは出るんですが、バックオーダーでなかなか入荷しないので、自分で使うつもりだった中古良品のインプットシャフトから取り外すことにしました。シャフトのセレーション部の長さが同じだったらそのままインプットシャフトごと入れ替えできたんですけど、同じ2本サス用でも年式によりビミョーに違いがあるんですね。

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ちょっと面倒な作業ですが、無事、移植できました。

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しかし、もう3週間以上待ってますが、バックオーダーのときは本当に部品の入荷予定が読めませんね。部品が出るだけ有り難いんですが。

てことで、トランスミッションのケース側を組み立てて

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ビシッとシム調整しておきます。

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続いて、キックスターター用のカヴァーです。
こちらはオーナーがービックリ価格で入手されたモノ。純正部品で必要な部品を用意することも可能ですが、けっこうな金額になってしまいます。このカヴァー一式で¥○○,○○○とは、かなりラッキーですね。

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そのままでも使えそうな雰囲気ですが、しっかり分解して整備します。

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といっても、キックレヴァーの分解は意外と大変なんです。錆で固着してキックレヴァーの固定ボルトは抜けないし、キックレヴァーもシャフトもすんなり外れてはくれません。ほとんどの車輌がこんな感じだと思います。

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錆を落とし、オイルシールを交換し、グリスアップしてカヴァー組み立てます。
こんだけやっとけば次回の分解はかなり楽になりますね。

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組みあがったカヴァーを取り付けで、トランスミッションの完成です!
何回か組み直すという苦労の甲斐あって、シャフトはクルクル軽く回り、キックレヴァーもスコンスコンになりました。イエスッ!

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さらに、クラッチリリース周りもやっつけちゃいます。

今回のキックスターターの取り付けを部品を待たずに急いだのは、オーナーが訴えるクラッチの不具合を早く直したかったのが一番の理由です。具体的には、走行後20~30分もすると急にクラッチの繋がりが悪くなり、どう丁寧にやっても上手く半クラッチ操作ができないそうで、まるでロケットスタートのようになるとのこと。
実際に試乗してみると、確かに半クラッチで繋ぐのが難しく、非常に乗りにくい感じでした。しかもトランスミッションが温まってくると症状はより顕著になるみたいで、オーナーが訴える症状は自分が感じているよりももっと深刻そうでした。

そんなこともあり、クラッチリリース周りを丁寧に点検、清掃します。プッシュロッド、ピストン、ベアリングに異常は見られませんでしたが、

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フェルトリングはかなり痩せてました。こんなトコロが不具合の一因になるのかもしれませんね。

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新しいフェルトリングを付けたプッシュロッドをインプットシャフトに挿入するのに苦労したものの、クラッチリリースピストンまで組み付けてトランスミッションの作業は終了です。

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思いのほか時間が掛かりましたが、かなり良いトランスミッションが組めたんじゃないでしょうかッ!

 

(続く)

 

トランスミッションのO/Hだけでなく、キックスターターの取り付けも、ご相談くださいッ!

長期不動のR80、中古新規登録。

ちょっと前に仕入れた長期不動のR80、ようやく作業が終わったので、いよいよ登録に行ってきました!

今回は廃車された車輌を自分の名義で登録し直すので、住民票のある川崎市管轄の運輸局での登録作業でした。いわゆる中古新規登録というやつで、自動車検査証返納証明書で検査ラインを通し、新たに自動車検査証(車検証)を発行してもらう流れですね。

通常の車検と異なり、今回のように所有者が変わる場合には譲渡証明書や住民票等、いつもより多い書類を用意する必要があるのでちょっと手間が掛かりますが、やることは車検とほぼ同じです。
しかも横浜と違って川崎の検査場はいつも空いてて、検査ラインは3本しかないものの待ち時間はほとんどなく、ストレスなしの好環境です。ムダに敷地が広い気がするのは、気のせいじゃないですね。

てことで、当店のトランスポーター、ホンダ・アクティ(M-HA1型)とパチリ。

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余談ですが、昔から欲しかったんですよね、丸目のアクティ。
古い車輌の割りにエンヂンの調子は良く、最高速は100km/hくらいとトロ臭いんですが、エンヂンの回る感じは「さすがホンダッ!」ってニヤニヤしちゃうくらい楽しくて、ソッコーでメーターをタコメーター付きに交換しちゃったくらいです。ビンビン跳ねるタコメーター、ほんと、トロ臭いけどチョー楽しいんス。
あ、トロ臭いって言っても、マグロの臭いがするわけじゃないですよ。

で、検査ラインもソツなくこなし、無事に登録作業を終えました。
戻ってナンバープレートも取り付けたんで、これで晴れて公道を走らせることができます!ウレスィ~!

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まだ検査場内を少ししか走らせていませんが、かなり良い状態に仕上がりました!
さっそく明日から慣らし&テストライドを始め、近々、販売するつもりですので、興味がありましたらメールにてお問い合わせください!試乗も可能ですので、是非どうぞ。
自分で言うのもなんですが、こんなに調子良いR80になるとは・・・さすが、オレ。イエスッ!

 

もう少し続く?

 

中古新規登録の代行も、承っておりますッ!