R65(2本サス)にお乗りのお客様、今度はトランスミッションのO/Hとキックスターターの取り付けと、フロントブレーキキャリパーO/Hのご依頼です。
またまたまた有り難いことですッ!
さっそく、トランスミッションを取り外します。
長年の汚れで黒くなってますが、クラッチ板が磨耗して出たダストなので走行距離の多い車輌はどれもこんなもんです。インプットシャフトのオイルシールからのオイル漏れがないので、状態は悪くなさそうですね。
トランスミッション上側も、
下側もオイル汚れがたっぷりですが、こういう状態のほうが洗浄後にキレイになりますね。
問題は・・・
ココのオイル漏れです。トランスミッションを片付けたら修理ですね。
抜いたオイルがけっこう汚れてるのが気になりますが、金属粉はありませんでした。
ということで、いつものように分解です。
ケースを洗浄し、
古いガスケットを剥がします。コレ、手強いヤツや・・・。
ドレインの穴やニュートラルスウィッチの取り付け穴なんかもシュシュッとキレイにしておきます。
関連部品ももちろん洗浄して、
ピカピカになりました!
頑固に張り付いたガスケットも、ご覧の通り。
続いて、分解した内部部品を確認します。
ギアの状態は良好だったので、ベアリングだけ交換です。
ベアリング自体もあまりガタつきはなかったんですが、当店では国産ベアリングを使用しているので純正部品に比べると価格は1/6程度、しかも信頼の国産、高品質ベアリングを選んでいますので、O/H時には問答無用で交換しちゃいます。
シフトセレクターの状態も良いですね。定番のリターンスプリングだけ交換しておきます。
シフトフォークにも問題はありませんでした。
アウトプットフランヂの状態も良好です。ココが良いと安心します。ホッ。
で、ココからが本番です。
今回、キックスターターを取り付けるので、インプットシャフトにキック用のギアを追加しなければなりません。
純正部品でギアは出るんですが、バックオーダーでなかなか入荷しないので、自分で使うつもりだった中古良品のインプットシャフトから取り外すことにしました。シャフトのセレーション部の長さが同じだったらそのままインプットシャフトごと入れ替えできたんですけど、同じ2本サス用でも年式によりビミョーに違いがあるんですね。
ちょっと面倒な作業ですが、無事、移植できました。
しかし、もう3週間以上待ってますが、バックオーダーのときは本当に部品の入荷予定が読めませんね。部品が出るだけ有り難いんですが。
てことで、トランスミッションのケース側を組み立てて
ビシッとシム調整しておきます。
続いて、キックスターター用のカヴァーです。
こちらはオーナーがービックリ価格で入手されたモノ。純正部品で必要な部品を用意することも可能ですが、けっこうな金額になってしまいます。このカヴァー一式で¥○○,○○○とは、かなりラッキーですね。
そのままでも使えそうな雰囲気ですが、しっかり分解して整備します。
といっても、キックレヴァーの分解は意外と大変なんです。錆で固着してキックレヴァーの固定ボルトは抜けないし、キックレヴァーもシャフトもすんなり外れてはくれません。ほとんどの車輌がこんな感じだと思います。
錆を落とし、オイルシールを交換し、グリスアップしてカヴァー組み立てます。
こんだけやっとけば次回の分解はかなり楽になりますね。
組みあがったカヴァーを取り付けで、トランスミッションの完成です!
何回か組み直すという苦労の甲斐あって、シャフトはクルクル軽く回り、キックレヴァーもスコンスコンになりました。イエスッ!
さらに、クラッチリリース周りもやっつけちゃいます。
今回のキックスターターの取り付けを部品を待たずに急いだのは、オーナーが訴えるクラッチの不具合を早く直したかったのが一番の理由です。具体的には、走行後20~30分もすると急にクラッチの繋がりが悪くなり、どう丁寧にやっても上手く半クラッチ操作ができないそうで、まるでロケットスタートのようになるとのこと。
実際に試乗してみると、確かに半クラッチで繋ぐのが難しく、非常に乗りにくい感じでした。しかもトランスミッションが温まってくると症状はより顕著になるみたいで、オーナーが訴える症状は自分が感じているよりももっと深刻そうでした。
そんなこともあり、クラッチリリース周りを丁寧に点検、清掃します。プッシュロッド、ピストン、ベアリングに異常は見られませんでしたが、
フェルトリングはかなり痩せてました。こんなトコロが不具合の一因になるのかもしれませんね。
新しいフェルトリングを付けたプッシュロッドをインプットシャフトに挿入するのに苦労したものの、クラッチリリースピストンまで組み付けてトランスミッションの作業は終了です。
思いのほか時間が掛かりましたが、かなり良いトランスミッションが組めたんじゃないでしょうかッ!