R100RS、始動困難ナリ。(その3)

たまたま当店ブログをご覧になり、整備の相談のご連絡をいただいていたお客様の始動困難なR100RS、整備と修理を進めています。

前回の捜査では犯人逮捕への手がかりすら掴めませんでしたが、捜査対象は確実に絞られてきました。もう少し聞き込みを行い、事件の背後に潜む犯行グループを一網打尽にする日も近そうです。犯人のメボシは付いています。しかし、確実に逮捕するに十分な証拠を揃えるため、地道な捜査は続きます。

これまでの作業で「良い圧縮、良い点火」の点検&整備が終わりましたので、残るは「良い混合気」の確認です。試しに、当店在庫のR100RSからO/H済みのキャブレターを取り外し、交換してみます。

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フツーに掛かって、フツーに吹け上がるじゃん・・・。

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事 「犯人は、この街にいるッ!」

てことで、キャブレターをO/Hします。ついでに、せっかくご注文いただいた当店オリヂナルのスターターノブが干渉するので、後付けのフューエルフィルターを取り外し

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カチカチに固くなったホースも交換しておきます。

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このラバースリーヴもカチカチになってましたので、交換になります。

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お客様のほうでもO-リングやガスケットは交換されたそうですが、症状は改善しなかったようです。パッと見、確かに問題があるようには思えませんでした。

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モギー刑事 「どうした、顔色が悪いぞ?まさか、クスリか?」
ダイアフラム「見ての通り(フニャフニャ)、ただの疲れっすよ。やだなぁ。」

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ダイアフラムも張りがなくなっていましたので、中古良品に交換しておきます。ダイアフラムの張りはピストンヴァルヴの動き(反応)に直接関係してきますので、あまりにもヘタっている場合は交換することをオススメします。

モギー刑事 「最近、何か変わったことは?」
バタフライ 「シャフトのヤツ、ちょっと様子が変(動きが渋い)なんすよ。」
モギー刑事 「!」

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バタフライシャフトのO-リングが劣化しているのか、かなり動きが渋いです。これだけ渋いとスロットルの戻りにも影響しそうですので、やはりO/Hして正解でした。

モギー刑事 「あの回転のゆっくりした下降具合の原因は、コイツか・・・?」

ということで、バラバラに分解してキレイに洗浄し

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ビシッとO/Hしました。

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過去に内部の部品を交換されていないのだとしたら、ちょっと気になるトコロはありますが、これで症状に改善が見られるハズです。

捜査の途中ですが、スターター(チョーク)ケーブルの取り外しとフューエルホースの交換のついでに、お客様が気になっていたというエアクリーナーケースのこのズレも修正します。

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ガーン。ダブルナットにされてるー。しかも、まるで締まってないー。

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とりあえず、外したカヴァーとケースを

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洗浄してキレイにします。

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ブローバイホースの辺りから、けっこうオイルが漏れてますね。とりあえず、ホースクランプをしっかり締め付け直しておきます。

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漏れたオイルはココから垂れてきますので、気になる方は点検してみてください。

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トランスミッションの上部にややオイル混じりの砂埃が積もってましたので、キレイにしておきました。

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で、エアクリーナーケースをピシッと取り付け、しっかり固定します。

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エアクリーナーもかなりヤレてましたので、交換しておきました。無理に取り付けられたのか、金属のメッシュもめくれてましたので。

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タンクマウントラバーもかなりお疲れのご様子でしたので

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新品に交換します。

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また、ダイナコイルがしっかり固定できていませんでしたので、

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つか、フレーム側の取り付け部が割れているッ!

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ので、当店オリヂナルのステイに交換して、反対側に移設させていただきました。

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と、寄り道が長くなりましたが、O/Hしたキャブレターを取り付けて、いよいよエンヂンを始動します。捜査も大詰めです。

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ココで、モギー刑事が何かに気付きます。

モギー刑事 「オイ、オマエ何か知ってるな?」
ケーブル  「ギクッ!な、なんも知りませんて!」

にわかに現場がザワつき始めるッ!

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(動画でご覧いただけます。)

スロットルケーブルの動きが渋く、レヴァーがゆっくり戻ってました。ワイアインジェクターでグリスアップして汚れを取り除き、レヴァーの動きも軽くなったッ!

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事 「こんなトコロにも協力者が隠れていたのか・・・。」

しかし、まだ主犯格の男は尻尾を出しません。もう一度現場に戻り、聞き込みに走るモギー刑事。(ガックシ)

モギー刑事 「オマエもヤツらの仲間かッ?」
スプリング 「さぁ、知りませんよ。フフフ。」

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元々付いているピストンヴァルヴのリターンスプリング(左)は線径が細く、ピッチも細かいものでしたが、捜査資料によるとこの年式の車輌ではこれがスタンダードなセッティングのようです。試しに太いモノと交換してみても、症状が良くなる様子はありません。

モギー刑事 「クソッ、一体どうなってるんだ・・・。」
カヴァー  「どうかしたんすか、刑事さん?」

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このキャブレターは、トップカヴァー(右)のピストンヴァルヴ挿入部に穴がないタイプですが、穴付きのモノに交換してみても、やはり大きな変化は見られません。トップカヴァーの組み合わせにも変更は加えられていないようです。

ニードル  「刑事さん、なんか探しモノでもあるんすか?フヒヒ。」
モギー刑事 「うっさい、すっこんでろ!(逆ギレ)」

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ジェットニードル(下)のクリップ位置も、捜査資料ではこれがスタンダードセッティングとなっています。試しに変更してみますが、ココでも大きな変化は見られません。

こうして幾つか気になるトコロを確認してみましたが、アイドリング時の混合気の薄さと回転がゆっくり下降するという症状は消えません。そしてついに・・・

モギー刑事  「犯人は・・・オマエだッ!」
スロージェット「グッ、グゥ~。」

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元々付いていたスロージェット(左)を新品に交換したところ、あっさり解決しました。ジェットの番手もスタンダードセッティングの#45、パッと見、穴もキレイに通っていましたが、わずかに詰まりがあったようです。ネジ山の先の形状に違いはあるものの、新品と同じサイズまで穴を修正したところ、元のスロージェットでも症状は再発しませんでした。バンザイ!

犯人確保ッ!確保ッー!

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(動画でご覧いただけます。)

ということで、ようやくフツーのメーターの針の動きになりました。

実は、スロージェットがアヤシイことは初めから分かっていたんです。パイロットスクリューの戻しが異常に多かった時点で、スロー系に何かしら混合気を薄くさせる原因があるとニラんでました。しかし、そこは敏腕デカ、モギー刑事。丹念に証拠を積み上げてこその犯人逮捕が信条なのです。(おかげで、すんごく時間が掛かりました・・・。)

モギー刑事  「しかし、まだこれで終わりじゃない・・・。」

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左シリンダーヘッドカヴァーから少しオイルが垂れているッ!

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ので、増し締めします。トホホ。

エンヂンの後側からも、ちょっと垂れてますね。あとでエンヂンをキレイにしたら、漏れてる箇所を確認します。

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以上、やっとフツーにエンヂンを始動でき、フツーに回転が上昇/下降するところまで整備&修理が終わりました。残す作業もあと少しですが、意外と大変なモノになりそうです。

 

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

 

犯行グループの全容解明まで、捜査の手を緩めるつもりはないッ!決意を新たに現場へと戻って行く、モギー刑事なのであった・・・。

 

(続く)

 

キャブレターに起因する吹け上がりの悪さの点検&修理、動きの渋いスロットル操作の整備から、ダイナコイル用ステイの交換まで、お任せくださいッ!

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