先日ご紹介した「何を言っているのか。」のR100RS、さっそく整備と修理を進めています。
ステムベアリングの点検と調整をしたことでようやく試乗もでき、車輌の状態が分かりましたので、いよいよ作業に取り掛かります。
まずはフロント周りを分解します。
クリームチーズ?
じゃ、なさそうですね。
定番のアウターレースの打痕ですが、荷重を強く受ける下側のほうがクッキリ出てますね。
外したステム周りを洗浄してピカピカにし、新しいベアリングにたっぷりグリスを塗りこんでおきます。
個人でもベアリング交換に挑戦される方はいるかと思いますが、アウターレースの取り外しはかなり苦労すると思います。モノサス以降は少し外しやすくなっていますが、2本サスの場合、ネックの取り付け部にほぼツライチのようにレースが収まっていて、ほとんど工具を引っ掛ける余地がありません。どうするッ!
大丈夫、当店ではオリヂナルの専用工具を用意していますので数分で取り外し可能です。バンザイ!
ちなみに、これがモノサスの取り付け部です。隙間が少し広いのが分かるでしょうか。これでも一般的なプーラーではかなり苦労しますが・・・。
てことで、ステム周りを取り付けます。うーん、ピカピカ!
取り外したステムベアリングです。下側(右)に比べると上側(左)の打痕はそうでもありませんが、一方にコレだけ強い打痕があるとどんなに調整してもハンドルを切る際にコクッという感触が微かに残ってしまいます。構造的に、グルグル回転するのではなく左右に行ったり来たりするだけですから、どうしても一番走行時間の中で長くなる直進状態の位置に強く打痕が現れてしまいます。
ステムベアリングの締め付け具合を調整してもハンドルが振れる原因は、この打痕によるベアリングのガタつきですので、ハンドルの振れが気になる方はディーラーまたは専門店にご相談ください。また、定期的なグリスアップで多少寿命を延ばすこともできますので、交換されたばかりの方は是非、定期的なメインテナンスもお忘れなく。もちろん、当店でも承っておりますッ!(さりげない宣伝)
ということで、続いてフロントフォークの組み立てです。しっかり洗浄し、在庫している再めっき済みのインナーチューブを使ってビシッと仕上げます。
オイル漏れや滲みがないように、こういうトコロもキレイに均します。
ただ、このサークリップは外すと元の位置に戻すのがちょっとムズカシイ・・・。
できました。このとき、忘れずにダストカヴァーやフォークブーツを取り付けておきます。RSやRTのブーツには左右の区別があるので、ソコも注意です。(経験者談)
スプリングは左右とも、キレイにして長さを点検しておきます。OKですね。
フロントフォークを車体に取り付け、フォークオイルを規定量注入したら、エア抜きを丁寧に行います。アウターチューブの下側からのオイル漏れ、滲みも一切なし。イエス!
再めっきされたインナーチューブに新しいオイルシール、これなら漏れることはないッ!
なんかノッてきたので、ブレーキ周りもO/Hしちゃいます。
マスターシリンダーのインレットポート、リターンポートの周りに結晶化したフルードが溜まってます。
ココも、シリンダーから漏れたフルードが固まって溜まってますね。
リザーヴタンクの中にも薄っすら結晶化したフルードが。
こんなトコロにも。
キャリパーも、ピストンを取り外したらエライことに!なってたので
バラバラに分解します。こりゃ、洗浄するのも大変そう。逆に燃えちゃうけど!(M気質)
そんなことより、なんでパッドにこんな細工を?ブレーキダスト対策なのかもしれませんが、細工した溝のせいでパッドが一部破損しちゃってます。これじゃ、パッドの寿命を短くするだけです。しかも、漏れたフォークオイルが染み込んでいて、ちょっとしっとりしてるー。
こりゃ、パッドは交換ですね。
で、すごく燃えたんで、すごくキレイになりました。
リターンポートもしっかり穴が通り、
キャリパーに溜まっていた茶色い物体もなくなりました。
リザーヴタンクもご覧の通り。
心配していたピストンには傷もなく、良好な状態でした。ホッ。
ついでに、スロットルホルダー周りも分解して洗浄します。燃えてますから。
ブレーキレヴァーのピヴォット部、古いグリスが固まっていることはよくありますが、ココにフルードのカスが溜まってるのは珍しいですね。
当然、ホルダー側もこの通り。
ゴシゴシ洗ってキレイにしたら
バババッとブレーキ周りを組み立てます。何しろ、燃えてますから。ウォー!
本来なら、マスターシリンダーのピストンカップやキャリパーのピストンシールは交換したいところなんですが、今回はご予算の都合で再利用しています。点検したところ大きな傷も変形もなかったからなんですが、試乗してみて漏れや滲みがあればすぐに交換させていただきます。もちろん、お客様が乗り始めて間もなく漏れるようであれば即交換になります。そうならないように丁寧に作業したつもりですが、こればかりはどうにもなりませんのでお許しを。
おそらく大丈夫だと思いますし、ダメでも次回の交換作業はずっと楽に、確実に作業できますのでご安心ください。それよりも、まだまだコストが掛かりそうな予感がして、そっちのほうが心配です・・・。
などと言い訳もソコソコに、組み立てたブレーキ周りを車体に取り付けます。まだまだ燃えてますから。ファイアー!
ハンドルバーの錆がちょっと気になるので、ササッと磨いておきます。
それと、ハンドルがセットバックされていて、ハンドルの取り付け角度も良くて非常に乗りやすかったんですが、メーターステイがRS用のままでちゃんと固定できていませんでしたので
たまたま在庫にあった中古良品と交換しました。
ジャーン!大丈夫、まだ燃えているッ!
キャリパーを取り付ける前に、ホウィールベアリングの状態も点検します。アウターレースに焼けた感じはありますが、嫌なゴロつきも傷もなく動作は良好なので、古いグリスを洗い落としたっぷりグリスアップしておきます。同じテーパーローラーベアリングでも、グルグル回転しているせいか、ステムとは持ちが違いますね。まだまだ頑張って~。
そして得られた、この躍動感ッ!どうですかッ!
と思ったら、何かがオカシイ。タイアがグニャグニャしているような・・・?
ガーン。ビードが上がり切っていないッ!
あのフロントが上下にフワフワした違和感の原因はコレだったのかもしれません。
危うく俺の中の炎が消えそうになりましたが、ビードをちゃんとハメるついでに、ちょっとズレてる軽点も合わせます。大丈夫、も少し燃えていけるッ!
できました。
うーん、だいぶ良くなったんじゃないでしょうかッ!ここまでやれば、もうあんな怖い思いをすることなく、安心して乗れるようになりますね。早く試乗して確かめたくなってきたー!
まだ燃えているッ!ファイィアァァー!
でもちょっと疲れたんで、今日はこのへんで。
次はガソリンタンクの洗浄とキャブレターのO/Hです。