またまた遠方の方から、今回はシリンダーヘッドのO/Hをメインに幾つかの作業のご依頼です。有り難いことですッ!
こちらのお客様、R65(2本サス)の後期型にお乗りだそうで、入手したときから「何かがオカシイッ!」とご自身で整備を進めていたそうですが、当店のブログを見て「ん?なんかちゃんとやってそうだし、いっちょ頼んでみるかッ!」とご連絡くださいました。何度かのメールのやり取りの末、ご自身でできる作業は進められたものの、やはりキッチリ直したいとのことで、部品をお送りいただくことになりました。
大物がキター!フィッシュ・オーン!
つか、ブログの宣伝効果、侮れませんなぁ。ククク。
てことで、さっそく釣果、じゃなくて届いた荷物を確認します。
オッ!マンボウかな?
って、シリンダーヘッド、シリンダー、ピストン、それとプッシュロッドですね。
燃焼室の状態はそれなりにカーボンの堆積がありますが
走行距離の多い車輌ならどれもこんなもんですね。
ヴァルヴも汚れてはいますが、ステムに嫌な傷も磨耗もありませんので、これなら再使用できます。ヴァルヴガイドのガタも気になったのは1箇所だけでした。
EX側のヴァルヴシートはカーボンを噛みやすいので荒れてても無理はないんですが、
気になるのは、IN側の吹き抜けたような跡ですね。ちゃんと閉じ切ってなかったんでしょうか。
反対側も同じような感じですが
状態は悪くありませんので、ヴァルヴフェイス研磨とシートカットで十分回復できそうです。
シリンダーもクロスハッチがしっかり残ってますので
これならピストンリングの交換だけで大丈夫そうですね。
ただ、プッシュロッドのこの傷は気になりますね・・・。
ということで、内燃機加工屋さんへ出すため、シリンダーヘッドとヴァルヴを洗浄します。
ココまでキレイにするだけでも、けっこう大変です。
おっし、準備OK。
で、シリンダーヘッドをO/Hに出す前に、プッシュロッドの傷を確認しておきます。
傷の位置を見ると、どうやらプッシュロッドチューブの下端で擦れたみたいです。
プッシュロッド中央の傷は、シリンダーヘッドとシリンダーの接合部辺りにあります。
プッシュロッドが通る穴を覗いてみても
キレイに通っています。
おそらく、過去に分解した際にガスケットの表裏を間違えて組んでしまい、そのときに傷が付いたんでしょう。正しく組んだガスケットに比べ
裏返して組んだガスケットの場合、穴が小さくなるのが分かると思います。
ガスケットは紙製で柔らかいのでプッシュロッド中央部にはあまり深い傷は付かなかったようですが、ガスケットのせいでストレスが掛かって曲がったロッドがプッシュロッドチューブの下端に接触したため、プッシュロッド下部には幅広な傷ができたんじゃないでしょうか。プッシュロッドは回転しながら上下に動きますから、ヴァルヴのリフト量を考えると納得です。
おそらく嫌な音がしてすぐに組み直したんだと思いますが、どうせならプッシュロッドも交換しておいて欲しかったですね。だって、まさか廃盤になってるとは・・・。
といったところで、シリンダーヘッドが内燃機加工屋さんから戻るまで、しばらく作業は中断になります。戻るまでの間にシリンダーとピストンの洗浄&点検も進めるつもりですが、少しバタバタしておりますので、作業再開までもうしばらくお待ちください。