これまでに遠方から何度も作業をご依頼くださったものの、「やっぱり、ちゃんと見てもらいたいッ!」とわざわざ兵庫から自走してご来店になったお客様のR65、納期は暖かくなる頃までなんですが、コツコツ進めております。
まだまだ寒い日が続いているッ!ような気がするッ!ワンワン。
などとトボけてみても、春は確実に近づいていますので、さっさと作業に取り掛かります。
まずはフロントフォークの点検から。以前に単体でO/Hさせていただいているんですが、右側だけインナーチューブがすんなりトップブリッヂとアンダーブラケットに入らないとのこと。インナーチューブのクランプ部は少しキツイくらいでも異常ではありませんが、確かに、抜く際に通常とは違う引っ掛かりがありました。これは・・・?
あらめて点検してみると、インナーチューブの上端が少し潰れているッ!簡単に測定してみても、直径が大きいトコロで36.01mm
小さいトコロで35.96mmと、0.05mm違います。本来の直径は35.92mm~35.95mmですから、おそらく抜くときに上端を叩き、抜いたあとに万力で挟むような作業をしたのではないかと思います。これじゃ、すんなり抜き差しできないハズです。
こうなると修正するのも大変ですので、当店在庫のR65からインナーチューブ(上)を取り外して交換することにします。幸い、状態はかなり良好でした。
アカン、在庫車が部品取り車になっていくー!
ついでに、ステムベアリングも点検します。
前オーナーが少し前に交換されいるとのことでしたが、アウターレースにはお馴染みの打痕がありました。しかも、下側(右)には打痕以外の嫌な傷が・・・。
ベアリングの収まりにも、なんか違和感があります。ん?ダストカヴァーが斜めになっているッ!これはッ!
ガーン。ボコボコになってるー。穴も開いてるー。
ベアリングを外すときにタガネで叩いて浮かせたんだと思いますが、この状態で再使用するのはどうなんでしょう。当然、アンダーブラケットにも傷はありましたが、こちらはキレイに均して凹凸をなくしておきましたので大丈夫です。ただ、ステムシャフトもアヤシイ気がしたので
お客様がご用意していたステム周りの部品から取り出して交換しています。お伝えした通り、アンダーブラケットの状態が良ければそのまま使用したかったんですが、表面の汚れと錆が根深く断念・・・。
で、こうなりました。ダストカヴァーが均等に接触しているのが分かるでしょうか。
色が変わってしまいますが、トップブリッヂも交換します。
変形したインナーチューブをグリグリ抜き差ししたせいで、消せない深い傷が付いていましたので。オゥ、ノォ~!
ということで、できました。
トップブリッヂもアンダーブラケットも、クランプ部は左右ともキレイに均しておきましたのでスルスルです。やってやったぞッ!
が、ホウィールを戻して何気なく転がしてみたところ、ちょっと振れているッ!ヤメて~!
ディスクに振れはありませんので、ホウィールが一部歪んでいるようです。
ご予算の都合もありますので、ホウィールについては試乗後にあらためて相談させてください。
と、思わぬ伏兵にお客様までヘコませてしまいましたが、気を取り直しブレーキ周りの作業を進めます。お客様が気にされていたブレーキの引き摺りですが、ブレーキレヴァーの戻りが悪かったので、マスターシリンダー側に原因があったのではないかと思います。
ご用意された新品に交換しますので、おそらくこれで直るかと。あ、ブレーキスウィッチのダストカヴァーも取り付けておきました。在庫に自信あり、モギーモータースです。フフフ。
キャリパーも分解して点検してみましたが、ピストンもすんなり抜けましたし、交換されたばかりのシールにも異常は見られませんでした。状態は良好だと思います。
使用しませんが、確認のためマスターシリンダーも分解&洗浄しておきました。案の定、マスターシリンダーのピストンの動きがかなり渋く、なかなか抜けませんでした。
キャリパーをしっかり洗浄し、ビシッと組み立てれば
作業終~了~。
長さを気にされていたブレーキホースですが、このあと取り回しを検討してから手配するので、次の作業時に交換します。やっぱり、もう少し短いほうが良いですよね。
というわけで、大掛かりな作業はほぼ終わりました。あともう少しです。ファイトー!オー!