R65、フォークブーツの交換からの。

R65(2本サス)にお乗りの、モギーが足を向けて寝れない&当店のステマ担当のお客様、今回はフォークブーツの交換をご希望とのことでご来店くださいました。またまた有り難いことですッ!

注)
こちらの車輌、少し前に作業も終えていますので、以下の内容は書き溜めていた作業の予約投稿になります。現在進行中のように書いていますが、すでにモギーモータースは年末年始の休業モードに入っているッ!ご注意くださいッ!

 

前回ご依頼のオイルフィルターからのオイル噴出もすっかり治まったようなので、しばらくは走り回って楽しまれるのかと思っていましたが、先日納車したご友人のR80のフォークブーツを見ていたら

「自分のがショボく見えて、どうしてもッ!すぐにッ!交換したくなったッ!」

そうで、スッ飛んでいらっしゃいました。しかも、翌日はもう一人のご友人のR100RSと3台でツーリングに行くため、朝7時集合とのこと。やっとR80を納車できたと思ったら、まさかココにもワガママ・オーダーのお人がッ!いやん、逆にカコイイ・・・。

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あらかじめ連絡をいただいてはいましたが、閉店時間近くから始めるソッコー作業になりました。ウォー!急がねばー!

ということで、写真を撮るのもソコソコに作業を進めます。

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が、ついでにご依頼のちょっと固めのフォークスプリングへの交換も行おうとしたところ、どうもフォーク内部がアヤシイ感じがするので、急遽、O/Hすることに。ウォー!急がねばー!

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片側のダンパーロッドのピストンリングが、完全に錆と異物で固着しているッ!これではダンパーにならないッ!

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といった感じでドタバタと作業を進め、途中、お客様にフォークオイルを浴びせてしまうという大失態までやらかしつつ(本当に申し訳ありませんでした・・・)、ようやく完成と思ったら

kanben

なぜかフロントフォークの動きが渋いッ!フォークブーツの収まりもイマイチッ!時計の針は深夜○時を指しているッ!明日はツーリングッ!今夜はもう・・・ダメ・・・です・・・。ガクッ。

wait

 

~翌々日~

あまりの出来事に意気消沈していましたが、なんとか元気になってまいりましたので、原因を探ります。というか、作業した手順を思い返し、冷静になった頭で考えたらすぐに分かりました。

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原因は、後付けのフォークブレイス(スタビライザー)でした。このフォークブレイス、自然なフォークスパンに対してちょっと狭いんです。

フォークブレイスをフリーにしてアクスルシャフトのクランプボルトを緩めてみると、マスキングテープの目印とアウターチューブの距離は7mmちょっとですが

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フォークブレイスをフリーにする前は9mmちょっとありました。

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その差2mmですが、コレだけフォークスパンが先細りしていれば、そりゃフロントフォークの動きも渋くなるハズです。なぜこんなコトが分からなかった!俺のアホー!

てことで、フォークブレイスとアウターチューブの間にスペーサーを入れることにしました。これで、インナーチューブにストレスを掛けることもほぼなくなりますので、自然なフォークスパンのままストロークできるようになると思います。つか、なぜショートタイプのフェンダーを取り付けたときに気付かなかった!俺のアホ、アホー!

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やはり、焦って作業するのはダメですね。いつもと同じ手順で落ち着いて作業していればこのようなことにはならなかったかもしれません。時間を気にして作業を省略した結果がコレです・・・。本当に申し訳ありませんでした。

ということで、問題も解決し、時間も十分にありますので、続いて収まりの悪いフォークブーツの作業に取り掛かります。

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こちらのR65はフロント周りを/5っぽくカスタムされているため、リア用のウィンカーステイと自作のステイを組み合わせてウィンカーが取り付けられています。

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このステイはご友人が作られたモノですので、少し加工してそのまま使用します。具体的には、ブーツへの逃げを罫書いて削り、曲げを少し深くしました。

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ついでに、2本サスのR65の場合、回り止めと空気穴を兼ねるロールピンがフロントフォークをクランプするアンダーブラケットに打ち込めませんので、ピンを短く切断したモノをブーツに挿入しておきます。

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どうですかッ!

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ウィンカーの位置もビシッと決まっているッ!

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クリアランスも十分ですし、わずかな加工でご友人作のステイを活かすことができたと思います。やってやったぞッ!

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軽く試乗した感じ、フロントフォークの動きも良いですし、交換したちょっと硬めのスプリングも悪くなさそうでしたので、あとはお客様が気に入ってくれれば言うことなしです。

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で、作業中にも気になったセンタースタンドの傾きですが、同年代の奥のR45とR65と比べても、やっぱり角度がキツくなってます。R45(手前)は肉盛り溶接されているとはいえ、角度をもう少しなんとかできれば、センタースタンドを戻すのもだいぶ楽になりそうです。後付けのオイルパンスペーサーがあるのでちょっと厄介ですが、そのうちなんとかしたいですね。

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てことで、すっかりお待たせしてしまいましたが、作業終了です。

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この度は、ツーリング前夜に終えるはずの作業が間に合わず、大変申し訳ありませんでした。予想外の展開で時間が掛かったこともありますが、後日行ったフォークブーツの取り付け具合の修正作業を考えても、初めからちょっと無理があったかもしれません。作業の見込みが甘かったことで、せっかくのご依頼とご期待にお応えできず、本当に申し訳なく思っております。結果的には、今まで気付いていなかったフォークブレイスの問題も解決でき、お客様好みの足回りに見た目も動きも仕上がりましたが、やはり最初からこういう状態に向かって作業をしなければと反省しております。今後はこのようなことがないように努めますので、また何かありましたらご相談いただければと思います。こちらの不手際でご色々と迷惑をお掛けしてしまいましたが、今回もご依頼いただき、有り難うございました。

 

フォークブーツの取り付け、フロントフォークのO/H、フォークスプリングの交換等、諸々承っております。ご相談ください。

西方(兵庫)から、シリンダーヘッドO/H。(その3)

遠方からご依頼のあったシリンダーヘッドのO/H作業ですが、内燃機加工から上がってきましたので、残りの作業に取り掛かります。

まだまだお客様の少ない当店なのですが、どういうわけかここ数日は作業に追われておりまして、シリンダーヘッドが戻る前に終わらせるつもりだったシリンダーとピストンが手付かずのままという・・・。マズイッ!このままではお客様からお聞きしている組み立て作業予定日に間に合わないッ!

てことで、シリンダーとピストンから作業に取り掛かります。

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ピストンにはカーボンがたっぷりですが

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傷もなく、良好な状態です。

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プッシュロッドチューブの根元からオイルが滲んでいるので、洗浄後に軽く打ち込んでみます。これで滲みが止まれば良いんですが。

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と思ったら、簡単に打ち抜けてしまったッ!しかも、1本(右端)はリングがユルユルッ!

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なので、急遽、ステインレス製のチューブに交換させていただきました。ちょっと高くなってしまい、申し訳ないです・・・。できるだけキレイに洗浄しましたので、お許しを。

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シリンダーが冷えるのを待って、新しいピストンリングのクリアランスも点検します。すべて規定値の範囲内、バッチリです。

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で、ピストンをシリンダーに挿入して、こちらはOKです。

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続いて、傷のあったプッシュロッドを磨きます。

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深い傷は消せませんでしたが

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あまり磨いて細くするのもアレなので、このくらいに留めておきました。

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お客様が気にされていた曲がりもわずかに確認できましたが、修正するほどでもなさそうです。むしろ、アルミ製のロッドのコレを修正するほうが難しいです。中古良品が入手できるまでは、こちらをそのままお使いください。

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と、ようやく内燃機加工屋さんから戻ってきたシリンダーヘッドに取り掛かります。番号が書かれているのは、組み合わせを間違えないようにとの加工屋さんの配慮です。

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パッコンパッコンとヴァルヴを擦り合わせ、キレイに洗浄したら

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ヴァルヴを組み付けて完成です!イヤッホーイ!

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ヘッドカヴァーもピタッと合いますので、コレならオイル漏れもないですね。良いエンヂンになるんじゃないでしょうかッ!

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そして、梱包が・・・予想・・・以上に・・・大変!・・・でした。ギャー!

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ということで、なんとかお客様の作業予定日の前に発送することができました。作業が遅れてしまい申し訳ありませんでした。組み立て時のアドヴァイスもさせていただきますので、何かありましたら遠慮なくご連絡ください。これで、エンヂンとキャブレターの状態がリフレッシュできましたので、きっと元気なエンヂンに仕上がると思います。この度は複数の作業をご依頼くださり、有り難うございましたッ!しっかり組み上げていただき、良いご報告をお待ちしておりますッ!

 

クドいようですが、遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/Hを承っております。ご相談くださいッ!

西方(兵庫)から、シリンダーヘッドO/H。(その2)

遠方からご依頼のあったシリンダーヘッドのO/H作業ですが、内燃機加工から上がるまでの間にできる作業を進めます。

こちらのお客様がお乗りのR65(2本サス)、入手したときから「何かがオカシイッ!」と感じた理由の一つにキャブレターがあったそうです。メールでのやり取りの中でも確認していただきましたが、どうやら年式、車種違いのキャブレターが使用されているようでした。当初は現在付いているキャブレターをO/Hしてセッティングを確認&変更する予定だったのですが、都合良く中古品を入手できたとのことで、そちらも送っていただくことになりました。

てことで、届いたキャブレターを確認するところからスタートです。

今まで使用されていたキャブレターは、右が「64/32/354」、左が「64/32/307」と刻印されており、調べてみると左キャブレターはR65用ですが、右キャブレターはR80用でした。

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錆びや汚れといった状態も気になりますが、左右で型番がまったく違うのはマズイですね。車種や年式で内部のメインジェットやニードルジェット等の構成部品も異なりますから、そのまま組み合わせてしまうと左右でチグハグなセッティングになってしまい、結果、燃焼状態までチグハグになってしまいます。

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そして、こちらが後日送っていただいたキャブレターです。

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刻印は右「64/32/364」、左「64/32/363」となっています。BING製キャブレターの型番は下一桁が1番違いのセットになっていますので、こちらは同一車輌から取り外されたモノで間違いなさそうですね。調べてみても正確には分かりませんでしたが、R80(モノサス)辺りのような感じです。(後日、R100RS(モノサス)で使用されていることを確認しました。)

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スプリングが新しいので、比較的最近まで乗られていた車輌から外されたモノかもしれません。

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簡単に確認してみましたが、中の状態も悪くなさそうでしたので、こちらのキャブレターをO/Hすることにします。レッツラ・ゴー!

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ということで、いつものようにバラバラに分解して

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ジャブジャブ、ゴシゴシ洗浄します。

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真鍮部品もピカピカにしておきます。

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で、ココからがちょっと大変です。車種ごとのキャブレターのセッティングの資料とお客様のR65の車台番号を基に、適合する(であろう)キャブレターの型番を調べそのセッティングになるように構成部品を変更します。今まで使用していた左キャブレター「64/32/307」がオリヂナルのような気もしますが、資料からは別の型番が適合していましたので、今回はそのセッティングを目指すことにしました。(「64/32/307」に近いセッティングですので、大きな問題はないと思います。)

ニードルジェットは「64/32/307」と一致しましたが、1つしかありませんでした。形状も少し違いますので、新品を2個使用します。

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メインジェットはどれも合いませんので、こちらも新品を使用します。

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ヴァキューム取り出し部のネジが傷んでいたので、ついでに新品に交換します。

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スロージェットは番手が合っていましたので、詰まりを確認して再使用しました。メインジェットホルダーやアトマイザー、パイロットスクリュー、フロート等は共通部品ですので、こちらも再使用になります。

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フロートチャンバーのホルダーは状態の良いモノを選びました。

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これで、キャブレターの下側はOKです。

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スターター(チョーク)ヴァルヴは、「64/32/307」と「64/32/354」のモノが4つ穴でしたので、そちらを選びました。(写真左)

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レヴァー、スプリング、ナット、ワッシャーも状態の良いモノを選んでいます。

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バタフライとバタフライシャフトは、メインボアとの相性を考えそのままの組み合わせにしました。ピシッと閉じているッ!

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ピストンヴァルヴも刻印に違いがありましたので、揃っている2つをそのまま使用しました。よく見比べてみましたが、大きな違いもなさそうでしたので。

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ジェットニードルも同じ理由で、そのまま再使用しています。

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ダイアフラムを固定するネジはめっきの色が違いましたので、些細なことですが揃えておきました。(意外と細かい男です。)

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ダイアフラムはお客様が交換したばかりとのことでしたので、そちらを使用しています。

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ピストンヴァルヴのリターンスプリングはピッチの細かいモノにしたかったのですが、1本しかありませんでしたので、2本とも新品にしました。

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ちなみに、左2本が後から送っていただいたモノで、右2本(チグハグ!)が今まで使用していたモノになります。一番左の1本を除き、どれもかなりヘタっていました。

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それと、トップカヴァーですが、中央のキャップがカタカタと遊んでいましたので、今までお使いだったモノを使用しました。

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と、いつもより手間は掛かりましたが、お客様のR65の年式に適したキャブレターに仕上がったんじゃないでしょうかッ!イエス!

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あ、こちらの部品取りと化したキャブレターは仮組みしてお返しします。決して面倒なわけじゃありませんよ。決してッ!

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以上、長くなりましたが、キャブレターのO/H作業のご報告でした。

 

今までお使いだったキャブレターのチグハグさを考えると、お客様が感じていた「何かがオカシイッ!」という疑問も当然だと思います。今回のO/Hとセッティング変更で本来の仕様にかなり近づけられたハズですので、次にR65に乗られるときはちょっと驚くくらいの変化があるかもしれませんね!エンヂンも腰上をO/Hしていますし、こりゃ期待できそう~。

さあ、次はシリンダーとピストンの洗浄に取り掛からねば!

 

(続く)

 

遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/Hを承っております。BING製キャブレターに関する質問も、ご相談くださいッ!

R65、オイル噴出の修理。

R65(2本サス)にお乗りの、モギーが足を向けて寝れない&当店のステマ担当のお客様、今度はトラブルでのご来店です。嫌な予感がします・・・。

先日のご相談でお話はお聞きしていましたが、何やら最近、エンヂン始動時に後付けのオイルフィルターからオイルが噴き出してしまうことがあるそうです。噴き出すのは決まって始動時で、そんなときはO-リングもプリッとハミ出てしまい、辺り一面にオイルの海が広がるとのこと。なるほど。つまり、バイクを降りて、「帆を上げろー!船を出せー!」ってことですね?

はてさて、どうなりますか。

こちらのお客様がお使いになっているのは、Motoren-ISRAEL製のオイルパン用スペーサーです。オイル量を1リットル多くすることができ、油温も10~15°低く抑えることができるそう。フィルター交換も容易で、ブン回して走る方にはもってこいの製品なのですが・・・

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すでに3回もオイルを噴いてしまったことで、「ちょっと心が折れかけてます。トホホ。」とのご様子。直らなければ元に戻すことも考えたそうですが、このオイルパン用スペーサーを取り付けるときに「オイルフィルターを挿入するキャニスターを破壊して抜いているッ!後戻りはできないッ!」んだそうです。アチャー。

とりあえず、O-リングがハミ出してしまうとのことなので、「フィルターに付いているモノが弱いのカモ?」と考え、現物から寸法を採り

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耐油、耐熱、耐圧性に優れたO-リング(左)を手配して取り付けてみます。さあ、どうなのよ!

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アレアレ?ココはマレーシア?アレはマーライオンかしら?

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って、思いっ切り噴いているッ!

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~二日後~

作業場のお掃除も終わり、少し気持ちも落ち着いたので、あらためてオイルが噴いた原因を考えてみます。

お客様が使用しているフィルターのサイズは68mmで、コレはMotoren-ISRAELの指定サイズ通りです。ただ、同時に推奨している適合フィルターの品番は「WL7169」または「MANN W712/52」で、このフィルターを調べるとサイズは74mm相当となっています。

モギー刑事  「ひょっとして、サイズが小さいのか・・・?」

フィルター取り付け部を確認すると、確かに74mmのフィルターでないとO-リングがしっかり接触しないようです。

モギー刑事  「まさか、そんなコトだったのか!」

ということで、ワンサイズ大きなフィルター(左)を手配して取り付けてみます。さあ、どうなのよ!

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アレアレ、ココはイタリア?アレはナヴォーナ広場の噴水かしら?

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って、また思いっ切り噴いているッ!

kanben

~二日後~

作業場のお掃除も終わり、少し気持ちも落ち着いたので、あらためてオイルが噴いた原因を考えてみます。(2回目)

オイルが噴出したフィルターをよく見ると、ハウジング自体が歪んでいるッ!のが分かります。この歪みのせいでできた隙間からO-リングがプリッとハミ出てしまい、オイルが噴出するようです。いつもお世話になっているモノタロウ・ブランドを悪く言うつもりはありませんが、完全に油圧に負けて変形してますので

モギー刑事  「ペロッ。このブツは・・・粗悪品だ!」

というモギー刑事の怒りもごもっともです。

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(動画でご覧いただけます。)

確かに、エンヂンが冷え切った状態からの始動時は油圧が高くなります。これは、まだオイルが固い(熱が入っていない)からで、数分の暖機運転で徐々に油圧は下がります。冬場はさらに冷えてオイルは固くなっていますが、それでも、調べてみるとオイルフィルターの耐圧性は工業規格で「1,500kPaに耐えること」となっていますし、2V-OHVエンヂンのオイルポンプの作動圧力はおよそ600kPaですから、どう考えてもフィルターから漏れたり、ましてやフィルター自体を変形させることはないハズなんですが・・・。
(現在の車で使用されている0W-30のような粘度の低いオイルなら、モノタロウ・ブランドのフィルターでも問題はないみたいです。事実、このお客様も夏場は大丈夫でしたし、モノタロウのユーザーの満足度もけっこう高いですし。)

てことで、またオイルフィルターを注文し、オイルも20W-50から10W-40へ変更することにしました。

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耐圧を謳うBOSCH製、しかもメイド・イン・ジャパン!当然、新品なので歪みもなくクルクル回ります。

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(動画でご覧いただけます。)

指定通り、O-リングが接触してから3/4回転締め込んだ状態で、ほぼクリアランスなしのこの状態ッ!コイツは期待できるッ!

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2回のオイル噴出ですっかりビビってますが、あえてキンキンに冷えた深夜に始動テストを行います。さあ、どうなのよ!(もうどうにでもなれ)

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バッチリです!暖機もソコソコに回転をブォンブォン!上げても、まったく噴き出す気配も、漏れる気配もありません。バンザイ!

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後日分かったことですが、お客様からの情報によるとMotoren-ISRAELでもこのトラブルは認識していたようで、現在販売されている新型のオイルパン用スペーサーにはリリーフヴァルヴが追加されているとのこと。そりゃないぜー。

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ちなみに、コレがお客様がお使いの旧型のモノです。

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単品でリリーフヴァルヴの提供もあるそうですが、価格は€75.00だそうです。現在(2015/12/11)のレートで約¥10,000ですから、ちょっとお高いですね。しかも、そもそもMotoren-ISRAELの設計ミスだと思うんですが、シレっと「元々エンヂンに内蔵されているリリーフヴァルヴが適切な油圧で作動しないからO-リングがハミ出る」みたいな説明をしていますので、旧型のユーザーには優しくない対応になってます。
もし同型のオイルパン用スペーサーをお使いの方がいましたら、オイルフィルターの選択には十分ご注意ください。それと、冬場は始動後の暖機運転を少しのんびり行っていただき、心配ならオイルの粘度も下げておくことをオススメします。

と、ただのフィルター交換のつもりが時間ばかりが掛かる結果になってしまい、また、フィルターが赤くなってちょっとハズカシイ感じになってしまいましたが、これで安心していつものようにブン回せると思います。この度も当店をご利用いただき、有り難うございましたッ!

後付けのオイルフィルターからピューとオイルが噴き出しちゃう方、ご相談くださいッ!

西方(兵庫)から、シリンダーヘッドO/H。

またまた遠方の方から、今回はシリンダーヘッドのO/Hをメインに幾つかの作業のご依頼です。有り難いことですッ!

こちらのお客様、R65(2本サス)の後期型にお乗りだそうで、入手したときから「何かがオカシイッ!」とご自身で整備を進めていたそうですが、当店のブログを見て「ん?なんかちゃんとやってそうだし、いっちょ頼んでみるかッ!」とご連絡くださいました。何度かのメールのやり取りの末、ご自身でできる作業は進められたものの、やはりキッチリ直したいとのことで、部品をお送りいただくことになりました。

大物がキター!フィッシュ・オーン!

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つか、ブログの宣伝効果、侮れませんなぁ。ククク。

てことで、さっそく釣果、じゃなくて届いた荷物を確認します。

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オッ!マンボウかな?

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って、シリンダーヘッド、シリンダー、ピストン、それとプッシュロッドですね。

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燃焼室の状態はそれなりにカーボンの堆積がありますが

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走行距離の多い車輌ならどれもこんなもんですね。

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ヴァルヴも汚れてはいますが、ステムに嫌な傷も磨耗もありませんので、これなら再使用できます。ヴァルヴガイドのガタも気になったのは1箇所だけでした。

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EX側のヴァルヴシートはカーボンを噛みやすいので荒れてても無理はないんですが、

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気になるのは、IN側の吹き抜けたような跡ですね。ちゃんと閉じ切ってなかったんでしょうか。

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反対側も同じような感じですが

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状態は悪くありませんので、ヴァルヴフェイス研磨とシートカットで十分回復できそうです。

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シリンダーもクロスハッチがしっかり残ってますので

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これならピストンリングの交換だけで大丈夫そうですね。

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ただ、プッシュロッドのこの傷は気になりますね・・・。

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ということで、内燃機加工屋さんへ出すため、シリンダーヘッドとヴァルヴを洗浄します。

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ココまでキレイにするだけでも、けっこう大変です。

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おっし、準備OK。

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で、シリンダーヘッドをO/Hに出す前に、プッシュロッドの傷を確認しておきます。

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傷の位置を見ると、どうやらプッシュロッドチューブの下端で擦れたみたいです。

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プッシュロッド中央の傷は、シリンダーヘッドとシリンダーの接合部辺りにあります。

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プッシュロッドが通る穴を覗いてみても

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キレイに通っています。

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おそらく、過去に分解した際にガスケットの表裏を間違えて組んでしまい、そのときに傷が付いたんでしょう。正しく組んだガスケットに比べ

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裏返して組んだガスケットの場合、穴が小さくなるのが分かると思います。

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ガスケットは紙製で柔らかいのでプッシュロッド中央部にはあまり深い傷は付かなかったようですが、ガスケットのせいでストレスが掛かって曲がったロッドがプッシュロッドチューブの下端に接触したため、プッシュロッド下部には幅広な傷ができたんじゃないでしょうか。プッシュロッドは回転しながら上下に動きますから、ヴァルヴのリフト量を考えると納得です。
おそらく嫌な音がしてすぐに組み直したんだと思いますが、どうせならプッシュロッドも交換しておいて欲しかったですね。だって、まさか廃盤になってるとは・・・。

といったところで、シリンダーヘッドが内燃機加工屋さんから戻るまで、しばらく作業は中断になります。戻るまでの間にシリンダーとピストンの洗浄&点検も進めるつもりですが、少しバタバタしておりますので、作業再開までもうしばらくお待ちください。

 

(続く)

 

遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/Hを承っております。ご相談くださいッ!

ハッピー・サンデー。

少しずつ作業のご相談をしてくださるお客様が増えてきてはおりますが、基本、そんなに来客もなく、「オイオイ、この店、大丈夫か?」と心配&同情で気を引く作戦を続行中のモギーモータース、モギです。

なので、いつもならポツンと一人、作業や雑務を鼻歌まじりでこなしているんですが(ウソ)、そんな日曜日に・・・

以前に勤めていたお店のお客様がご友人と一緒に遊びに来てくださいましたッ!ギャー!

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こちらのR75/6は納車整備を担当した車輌ですので、その後、調子良く走られていることは知っていましたが、こうしてまた会いに来てくださるとはッ!しかもオヤツまでッ!有り難いことですッ!

お二人は25年くらいのお付き合いだそうで、オフロードや林道、ロングツーリングなど、いろんなバイクを乗り継ぎながら何度も一緒に楽しまれてきたとのこと。お話の様子から、とにかくバイクが好きで、よく走るお二人なのが伝わってきます。間違いない、ザ・バイクバカや・・・。

で、ちょっとしたご相談なども受けながら雑談を楽しんでいたところ・・・

「やっぱり、またなんか調子が悪くなってきたんだけど!」と、今度は先日納車したR100RSにお乗りのお客様がッ!ギャー!

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とりあえず、その場で点検&調整&交換をしてもう一度様子を見ていただくことにしましたが、その作業の間、何やらお三人で楽しそうに談笑していらっしゃいました。ウォー!なんかバイク屋っぽくなってきたー!

じゃなくて、何度も足を運んでいただき、申し訳ありません。次の作業でビシッと調子良く走れるようにしますので、もう少しお付き合いください。

などとバタバタが落ち着いた頃、またもやR65とR100RSにお乗りのお客様がッ!ギャー!

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こちらは、作業のご相談(R65)と冷やかし(R100RS)でしたが、途切れることのない来客に思わず「アレレ?なんでか前がよく見えないや。」と、あやうく眼科に行く寸前でした。

おかげさまで、皆さんがお帰りになったあと、いつも以上にポツン感がハンパなかったです。ご来店、有り難うございましたッ!

 

決して寂しがり屋ではありませんが、ご来店、お待ちしておりますッ!

キック!キック!キック!

少し前の話になりますが、以前、キックスターターを取り付けさせていただいたR65にお乗りのお客様、今度はキックレヴァーの交換&加工にご来店くださいました。有り難いことですッ!

どうやら、キックレヴァーがステップに干渉しているのも気にせず

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「いやぁ~、嬉しくって何度もキックしちゃいましたよ!(ニヤリ)」とのことで、ステップを曲げてしまったそうです。ノォ~!

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で、ちょっと前に、曲がってしまったステップに干渉しないように旧型のストレートタイプのレヴァーに交換していました。(キックレヴァーの取り付けから日も経っていませんでしたので、車載のままレヴァーの交換ができました。グッジョブ、俺!)

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それでも、まだレヴァーの踏み込み部がステップのゴムに干渉するのが気になるということで、今回、踏み込み部をカットすることになりました。ついでに曲がったステップを交換し、ゴムも角型からより細身の丸型に変更します。

どうなのよッ!

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ドコにも干渉することなく、一気に踏み抜けるようになりました!イエス!

ただ、踏み抜いたときにフレームにガツン!とイキそうなので、ストッパー的なゴムも巻いてます。(もう少し硬質なゴムを探して、あとで交換します。)

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イイですね!ストロークも増えて掛けやすくなりそうですし、これなら遠慮なくガッツンガッツン何度でもキックできると思います。

つか、サッカーで鍛えた脚力に自信があること、まだまだ本気でキックしていないこと、そしてそれが事実であることは十分伝わりましたので、以後、ふんわりキックでお願いします。

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見てくださいッ!きっと、ステップも悲鳴を上げてましたよッ!(ある意味スゴイ)

それにしても、あらためてよく見ると、ガッツリ当たってるのが分かりますね。最初からこうしておけば良かったです、スミマセン・・・。

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てことで、少し前に行った作業の報告でした。

この度もご依頼いただき、有り難うございましたッ!それから、ご友人のR100RSの整備&修理、さらには新しいご友人の紹介までしていただき、重ねて有り難うございましたッ!こんなにお世話になってしまうと、もう足を向けて寝れません。今度、方角を教えてください。オナシャス!

 

キックスターターレヴァーを交換したい方、ステップを曲げるほどキックしちゃった方、ご相談くださいッ!

 

オマケ

こちらも少し前の作業になりますが、お客様が用意したショートタイプのフロントフェンダーの塗装も承りました。塗装はBMWの子持ちラインを描くことに慣れたペインターさんの仕事になりますので、当店はただの窓口になりますが、純正色(に近い色)での再塗装やオリヂナルパターンでの塗装にもお応えできます。塗装をお考えの方、整備や修理のついでにご相談ください。

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R65、フロントブレーキキャリパーのO/H。

R65(2本サス)にお乗りのお客様、トランスミッションの作業が終わったので、フロントブレーキキャリパーのO/Hです。

フロントブレーキのマスターシリンダー側はご自身で作業されたそうですが、キャリパー側はまだ手を付けていなかったらしく、最近、ちょっとブレーキの引き摺りが気になるとのこと。

まずはキャリパーを取り外し、

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分解して徹底的に洗浄します。洗浄前(上)と洗浄後(下)の違い、分かるでしょうか。
シールは交換し、錆び付いたボルトもキレイに磨いておきます。

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ピストンに錆があるので交換したいところですが、残念ながら部品の設定がないので入手できません。丁寧に錆を落として表面を均し、今回は再利用します。
でも、今後のことを考えると何か対策を考えなきゃいけませんね。

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ピストンの動きもかなりスムースになり、無事、キャリパーをO/Hできました。
長い時間試乗してみても、ブレーキフルードの漏れも滲みもありません。もちろん、引き摺りもまったくなし!

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心配だったストロークの小さいキックスターターも問題なく使用でき、というより、むしろ拍子抜けするくらいあっさりエンヂンが始動でき、クラッチの不具合もバッチリ直りました。
元々エンヂンの調子は良いR65ですが、今回は車体周りの整備もチョイチョイ施していますので、これで益々楽しく走り回れますね!

 

ブレーキのO/Hだけでなく、車体各部の点検と整備も、ご相談くださいッ!

R65、フライホウィール周りのオイル漏れ修理とトランスミッションの取り付け。

R65(2本サス)にお乗りのお客様、トランスミッションO/H作業の続きです。

トランスミッションのO/Hは終わりましたが、クラッチの不具合を改善するため、クラッチ周りも点検、整備します。
注意! クラッチやフライホウィール周りの整備には注意すべき点が多々あります。安易な作業はせず、正しい知識を持ったディーラーまたは専門店に任せましょう。

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クラッチ周りを取り外すと

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ダストがこんもり出てきました。

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クラッチ周りをキレイに清掃し、点検します。クラッチ板の状態も良く、厚みもまだ十分残っていました。あと40,000~50,000kmはもちそうです。プレッシャープレートにも異常な磨耗はなく、良好でした。

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ここまでの整備でクラッチの不具合が改善すれば良いのですが。

続いて、ココのオイル漏れを修理します。
この付近にオイルが漏れると、漏れたオイルとクラッチ板のダストが混ざって、こんな感じの頑固な汚れになりますね。インプットシャフトのオイルシール、オイルポンプカヴァーのO-リング、フライホウィールのオイルシール、このいずれかが劣化するとココにオイルが垂れてきます。
放っておいても良くはなりませんので、この辺にオイルが滲んだり漏れてきたら、トランスミッションのO/Hと一緒に作業しちゃいましょう。

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まずはフライホウィールを取り外し、

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クランクシャフトとの接続部を点検します。異常な磨耗も傷もなく、良好な状態でした。フランヂ部のO-リングはシール性が落ちてオイルが少し漏れ始めてるので、交換ですね。

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クランクケース側のオイルシールには滲みも漏れもありませんでした。このシールはちょっと高価なんで、交換せずに済んで良かったです。
今回のオイル漏れは、オイルポンプカヴァーのO-リングの劣化が原因てことですね。

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というわけで、オイルシールを保護して洗浄します。しかし、手強かった・・・。

どうですかッ!このピカピカ具合ッ!

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オイルポンプ、オイルポンプカヴァーの状態も悪くないので、

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カヴァーをキレイに洗浄してO-リングを交換します。フライホウィールのO-リングも交換です。

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交換したO-リングをよく見ると、潰れて平らになってますね。こりゃ、漏れるハズです。

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オイルポンプカヴァーをしっかり取り付け、

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フライホウィールを元に戻したら、

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クラッチ周りも取り付けます。

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これでトランスミッションを取り付けられるんですが、その前にチョイチョイとやることが。

以前に交換したリアサスペンションのブッシュ、注文をミスった上側のブッシュが入荷したので

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ようやく交換できました。お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。

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ブレーキペダルのピヴォット部もまったくメインテナンスされてなかったので、

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キレイにしてグリスアップします。

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シフトペダル側も酷かったので、こちらもビシッとキレイにしてグリスアップしました。

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こういう部分をしっかりメインテナンスすると、渋かったり、固かったりしたブレーキやシフトのタッチがかなり良くなりますね。

スウィングアームのピヴォットベアリングも古くなってたんで、洗浄してたっぷりグリスアップしました。ベアリングの状態はあまり良くありませんが、これでもうしばらくは使えると思います。

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ドライヴシャフト連結部のブーツも、ひび割れや補修跡があるので交換です。

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お決まりのスピードメーターケーブルの防水ブーツと、傷んだソケットも交換します。

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で、こうなりました!

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作業を始めて三日目、今回はなんだかとっても時間が掛かりましたが、ようやくトランスミッションが車体に戻りました。ウレスィ~。

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エンヂンのトップカヴァーを戻す前に、ブローバイホースの取り出し部からオイルが滲んでたので、ホースのクランプをしっかり締めておきました。
ホースが劣化してくるとココからオイルが滲んできますので、気になる方はクランプを締め直してみると良いかもしれません。ホース自体がダメになっていると交換するしかありませんが、けっこう緩くなっている車輌は多いです。

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てことで、トランスミッションのO/Hとキックスターターの取り付けが終了。
グッジョブ、オレ!

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ただ、この年式のR65のステップは少し位置が高いようで、キックレヴァーを踏み込むとすぐにステップのゴムに当たります。ちょっとストロークが小さいのが気になりますが、上手くキックでエンヂン始動できるかな?

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さて、お次は追加作業のブレーキの整備です!

 

(続く)

 

フライホウィール周りのオイル漏れや、クラッチ周りの点検も、ご相談くださいッ!

R65、トランスミッションのO/Hとキックスターターの取り付け。

R65(2本サス)にお乗りのお客様、今度はトランスミッションのO/Hとキックスターターの取り付けと、フロントブレーキキャリパーO/Hのご依頼です。
またまたまた有り難いことですッ!

さっそく、トランスミッションを取り外します。

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長年の汚れで黒くなってますが、クラッチ板が磨耗して出たダストなので走行距離の多い車輌はどれもこんなもんです。インプットシャフトのオイルシールからのオイル漏れがないので、状態は悪くなさそうですね。

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トランスミッション上側も、

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下側もオイル汚れがたっぷりですが、こういう状態のほうが洗浄後にキレイになりますね。

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問題は・・・

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ココのオイル漏れです。トランスミッションを片付けたら修理ですね。

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抜いたオイルがけっこう汚れてるのが気になりますが、金属粉はありませんでした。

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ということで、いつものように分解です。

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ケースを洗浄し、

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古いガスケットを剥がします。コレ、手強いヤツや・・・。

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ドレインの穴やニュートラルスウィッチの取り付け穴なんかもシュシュッとキレイにしておきます。

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関連部品ももちろん洗浄して、

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ピカピカになりました!

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頑固に張り付いたガスケットも、ご覧の通り。

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続いて、分解した内部部品を確認します。

ギアの状態は良好だったので、ベアリングだけ交換です。
ベアリング自体もあまりガタつきはなかったんですが、当店では国産ベアリングを使用しているので純正部品に比べると価格は1/6程度、しかも信頼の国産、高品質ベアリングを選んでいますので、O/H時には問答無用で交換しちゃいます。

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シフトセレクターの状態も良いですね。定番のリターンスプリングだけ交換しておきます。

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シフトフォークにも問題はありませんでした。

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アウトプットフランヂの状態も良好です。ココが良いと安心します。ホッ。

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で、ココからが本番です。

今回、キックスターターを取り付けるので、インプットシャフトにキック用のギアを追加しなければなりません。
純正部品でギアは出るんですが、バックオーダーでなかなか入荷しないので、自分で使うつもりだった中古良品のインプットシャフトから取り外すことにしました。シャフトのセレーション部の長さが同じだったらそのままインプットシャフトごと入れ替えできたんですけど、同じ2本サス用でも年式によりビミョーに違いがあるんですね。

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ちょっと面倒な作業ですが、無事、移植できました。

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しかし、もう3週間以上待ってますが、バックオーダーのときは本当に部品の入荷予定が読めませんね。部品が出るだけ有り難いんですが。

てことで、トランスミッションのケース側を組み立てて

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ビシッとシム調整しておきます。

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続いて、キックスターター用のカヴァーです。
こちらはオーナーがービックリ価格で入手されたモノ。純正部品で必要な部品を用意することも可能ですが、けっこうな金額になってしまいます。このカヴァー一式で¥○○,○○○とは、かなりラッキーですね。

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そのままでも使えそうな雰囲気ですが、しっかり分解して整備します。

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といっても、キックレヴァーの分解は意外と大変なんです。錆で固着してキックレヴァーの固定ボルトは抜けないし、キックレヴァーもシャフトもすんなり外れてはくれません。ほとんどの車輌がこんな感じだと思います。

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錆を落とし、オイルシールを交換し、グリスアップしてカヴァー組み立てます。
こんだけやっとけば次回の分解はかなり楽になりますね。

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組みあがったカヴァーを取り付けで、トランスミッションの完成です!
何回か組み直すという苦労の甲斐あって、シャフトはクルクル軽く回り、キックレヴァーもスコンスコンになりました。イエスッ!

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さらに、クラッチリリース周りもやっつけちゃいます。

今回のキックスターターの取り付けを部品を待たずに急いだのは、オーナーが訴えるクラッチの不具合を早く直したかったのが一番の理由です。具体的には、走行後20~30分もすると急にクラッチの繋がりが悪くなり、どう丁寧にやっても上手く半クラッチ操作ができないそうで、まるでロケットスタートのようになるとのこと。
実際に試乗してみると、確かに半クラッチで繋ぐのが難しく、非常に乗りにくい感じでした。しかもトランスミッションが温まってくると症状はより顕著になるみたいで、オーナーが訴える症状は自分が感じているよりももっと深刻そうでした。

そんなこともあり、クラッチリリース周りを丁寧に点検、清掃します。プッシュロッド、ピストン、ベアリングに異常は見られませんでしたが、

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フェルトリングはかなり痩せてました。こんなトコロが不具合の一因になるのかもしれませんね。

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新しいフェルトリングを付けたプッシュロッドをインプットシャフトに挿入するのに苦労したものの、クラッチリリースピストンまで組み付けてトランスミッションの作業は終了です。

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思いのほか時間が掛かりましたが、かなり良いトランスミッションが組めたんじゃないでしょうかッ!

 

(続く)

 

トランスミッションのO/Hだけでなく、キックスターターの取り付けも、ご相談くださいッ!