R100RS、プッシュロッドチューブからのオイル漏れの修理と。

ベン・ジョンソンばりのスタートダッシュで始まった2017年も、気が付けば2月が終わりそうなわけですが、まーだ1月分の作業報告が残っておりました。オホホ。早くしないと忘れちゃいますのでズババッとご報告させていただきますと、「とにかくッ!オイル漏れがッ!気になるのですッ!」とメールでお問い合わせくださった初めてのお客様が、ソッコーでご来店にッ!しもたー。また安易に引き受けてしもたー。からの、有り難いことですッ!でも、しもたー。

 

こちらのお客様、2年くらい前にこのR100RSを入手されたときから

プッシュロッドチューブの根元からのオイル滲みに悩まされてきたそうなんですが

いよいよ滲みから漏れに変わってきたらしく、停めているときにできるオイル溜まりにガマンできなくなってしまったとのこと。購入時から施されていたというオイル漏れへの対処を見れば、過去にもけっこうな漏れがあったことが想像できますねー。

ウホ!オイルパンにまでハッキリと滴るオイルがッ!こりゃ、手強そう・・・。

てことで、さっそく作業に取り掛かります。まずはタイミングチェーンカヴァーを固定するボルトがオイルと砂?で埋まってしまっているエンヂン前側からスタートです。

案の定、オルタネーターとイグニッショントリガーの両方からオイルが漏れていましたので、オイルシールとO-リングをビシッと交換します。

ローターコイルのオイルシールとの接触面も良好ですし、これで漏れはバッチリ止まると思います。おっし、エンヂン前側はOKでしょう、たぶん。いや、きっと!

続きまして、本題のプッシュロッドチューブの根元からのオイル漏れの修理へとまいります。今回はご予算の都合でオイルシールのみの交換になりますので、シリンダーとシリンダーヘッドをごっそり取り外して・・・

って、ロッカーアームのベアリングが破損しとるー。ガビーン。

気にしてると先に進めませんので、とりあえず作業を続行します。

ウッ、こりゃヒドイ汚れや・・・。ハッ!こんなときは・・・あの呪文!

「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン、ピカピカになーれー」

ウヒ!ピカピカになったー!もういっちょ!

「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン、ピカピカになーれー」

ウヒョ!こっちもピカピカー!

なんてことができたら、どれほど楽かッ!アッコちゃん・・・その鏡、ちょうだい・・・。

kanben

などという茶番はさておき、エンヂンもキレイになりましたので、羽根つき餃子みたいになってたオイルシールとシリンダーのO-リングを交換しまして

ズババッと元に戻します。写真を取り忘れましたが、タペットの状態は良好でしたのでご安心を。

結局、ロッカーアームのベアリングは左右のシリンダーヘッドのIN側、EX側の4箇所で破損していましたので、交換させていただいております。

それと、ロッカーアームの動作には問題はありませんでしたが、シャフトに焼けた跡があるのがちょっと気になりました。ココに熱的な負荷が掛かることはないハズなんですが、過去に何があったんでしょうか・・・?うーん、謎です。

ロッカーアームを取り付けて、ヴァルヴクリアランスもビシッと調整すれば・・・あともう少し!

どうか、ピタッと長~くオイル漏れが止まってくれますようにー。(祈り)

あ、スパークプラグの状態はアレでしたが、イリヂウムプラグだったためそのまま再使用しました。こちらはお客様の判断で交換していただければと思います。イリヂウムプラグは現代のインジェクション仕様の車輌には向いていますが、旧いキャブレター仕様の車輌にはイマイチ相性が良くないような気がしますので、交換する際は一般的なプラグで十分ではないかと。

あとは、キャブレターを元に戻すついでに

ココのラバースリーヴがカチカチだったので交換したり

イグゾウストパイプを固定するリングが片側だけ2ピースタイプ(写真左)だったので

フランヂナットに合わせて1ピースタイプに交換したり

サイドスタンドがガコンッ!とうるさいのでストッパーを取り付けたりすれば(チャリン♪)

できました。

おっと、もうこんな時間!妻が待つおウチに帰らなくっちゃ!

time

 

~翌日~

オイル漏れの修理も終わりましたので、残りのご依頼をズババッと進めます。操作が重いとおっしゃっていたスロットル周りをグリスアップしまして

スロットルケーブルの大きすぎる遊びを修正しつつ、キャブレターの同調もビシッと調整ッ!

気にされていたフロントホウィールのベアリングも点検&クルクル軽~いことを確認ッ!異常なしィィィ!

ちょっとオイル汚れのあるドライブシャフトのブーツも・・・まだ大丈夫ッ!そうなので、とりあえずキレイにしてバンドを増し締めしておくゥゥゥ!

つか、ご予算の都合でまた今度ォォォ!とさせてくださいィィィ!ウゥゥリィィィ!

uuurrrryyy

ハイ、できました。

おっし、試乗に行ってこよう。

 

~数十分後~

お客様が気にされていたようなフロントタイアからのゴロゴロ?した感触もなく、フツーに走ることができていましたが、むしろ、ちょっとハンドルの切れ込みが強いのが気になりました。お伝えした通り、タイアのラウンド形状が三角形っぽく尖っているせいかと思いますので、次のタイア交換では別の銘柄を試してみても良いかもしれません。スリップサインもそろそろ交換時期に近付いていることを教えてくれていますし

製造年を見てもちょうど良いタイミングなんじゃないかと。ご検討くださいッ!

 

ということで、この度はプッシュロッドチューブからのオイル漏れの修理のご依頼、有り難うございましたッ!過去にテキトーな作業を施された香りが少~し致しますので、もうしばらく乗りながら様子を見ていただければと思います。もうちょっと良い状態に戻る余地がありそうですので。また何か気になることがありましたらお気軽にご相談ください。今後とも宜しくお願い致しますッ!

 

プッシュロッドチューブからのオイル漏れの修理や、重いスロットルの整備、ホウィールベアリングの点検等、諸々承っております。ご相談くださいッ!

やんちゃなR65、プッシュロッドチューブのオイルシールの交換と。

ついこの前アレやコレや作業させていただいたやんちゃなR65にお乗りのお客様、今回は「プッシュロッドチューブのトコロからオイルが漏れてるんだけど、直してもらえるかな?」とのことで、またしてもソッコーでご来店にッ!エッ?エッ?ダカラ チョット マッテ クダサーイッ!からの、有り難いことですッ!ワォ!ワォ!

 

おっ、フロントフェンダーが付いとるー!シートとタイアも変わっとるー!イカスー!

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などと、ハシャいでいても仕事になりませんので、さっさと作業に取り掛かります。

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シリンダーヘッドはO/Hしたばかりとのことでしたが、確かにカーボンの付着も少なくて状態は良好でした。グッド!

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で、シリンダーはといいますと・・・オイルシールがカッチカチで、一部欠けているッ!シールの向きもテキトーじゃあないかッ!ギャー!

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ま、コンロッドやカムシャフトなんかにも異常はありませんから、エンヂンとしては問題なしですね。余計な液体ガスケットのお掃除がアレですが・・・。

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おっし、頑張るぞー!

wait

 

~数時間後~

シリンダーを洗浄し、プッシュロッドチューブもステインレス製のモノに打ち換えました。オ~ゥ、ピカピカー!もちろん、オイルシールも純正新品をご用意しています。

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こちらのシリンダーはお客様のほうでブラストされているんですが、元のチューブを見ると、裏側まではメディアが当たり切っていないのが分かりますね。長い間、お疲れ様でしたー。

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ピストンとピストンリングもピカピカにしておきましたので、一気にズババッと組み立てます。

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お伝えした通り、タペットは4個とも表面に細かい深い傷がありましたので、新品に交換させていただきました。

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プッシュロッドも2本だけ表面に傷が付いていましたので、こちらもたまたまあった中古良品と交換しています。つか、「たまたま=当店の在庫車輌→部品取り車」という謎の方程式ですが・・・。(失意)

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シリンダーヘッドについては分解して洗浄するほどでもありませんでしたので

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前回の作業で気が付いた上下が逆になったヴァルヴスプリングだけ修正しておきました。

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ちなみに、コレが前回の状態です。

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あ、キャブレターとシリンダーヘッドを繋ぐインシュレーターもカチカチになっていましたので、ついでに交換させていただきました。(チャリン♪)

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ハイ、できました。

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と、これで終わりと思いきや、もう少し追加で作業のご依頼をいただいちゃいました。ウヒヒ!ヤッタネ、モギー!明日はホームランだ!(昭和のフレーズ)

 

(続く)

 

プッシュロッドチューブのオイルシールの交換や、ステインレス製プッシュロッドチューブへの交換も承っております。ご相談くださいッ!

R80、イレギュラーなお仕事。

少し前になりますが、R100RSにお乗りのお客様からのご依頼で、下請け的な?作業をいただいてしまいましたッ!なんともッ!有り難いことですッ!でも、ドキドキするー。

 

車輌はR80なんですが、鍵がないのに「ロックされたままになっていて、パニアケースが取り外せいッ!」という謎の仕様になっております。

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ブーッ!

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で、そのご依頼内容は「置いておくだけで、オイルがポタポタと垂れてくるッ!」という、こちらも謎の仕様となっているそうで、これを純正仕様に戻して欲しいとのこと。ふむふむ。

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確認してみると、プッシュロッドチューブからのオイル漏れが

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左右ともにかなり激しいようです。

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オイルフィルターのカヴァーも、かなりアヤシイ・・・。

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オイルが滴り落ちそうなオイルパンの様子を見れば

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ニュートラルスウィッチも交換しておきたくなりますね。

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ドライヴシャフトのブーツからもオイルが滲んでいるッ!ようです。

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てことで、オイルが漏れていそうな箇所は確認できましたので、さっそく作業に取り掛かります。ファイトー!オー!

まずはイグゾウストパイプを取り外します。フランヂナットもすんなり回り、ネジ山に傷みもありませんでした。

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ヘッドカヴァーを開け、ロッカーアームを取り外しまして

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スリッパーやベアリングを点検しておきます。状態は良好でした。グッド!

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プラグホールにオイル汚れがありましたが、プラグの締め付けが甘かったんだと思います。キレイに清掃しておきますので、様子を見てみてください。

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通常はシリンダーヘッドやシリンダー、ピストンまで分解しますが、今回はご予算の都合でそのままとなります。うーん、気になるー。

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シリンダーが抜けましたので

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タペットも点検しておきます。こちらもグッド!でした。さて、それではエンヂンをキレイにしますか。

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ガーン。まーた、こういう修理してー。もう!

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こびりついた液体ガスケットとオイル汚れを掃除していて、ふと思ったんですが、この手の修理跡って「ひょっとして、オイルシールを交換せずに液体ガスケットで漏れを止めようとしている?」んでしょうか。だとしたら、ココのシールは1個数百円ですし、今のところ注文すればすぐに入荷する部類の部品ですので、是非とも交換していただきたいですね。新品のシールであれば液体ガスケットを塗らなくても漏れることはありませんので。

ちなみに、O-リングにもガスケットが塗られていました。んもう!

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などと文句を言いながらも、しっかりキレイにしちゃいます♪(M気質)

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あ、カム山にも異常はありませんでした。またまたグッドです!

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して、シリンダー周りをゴッソリ元に戻し、ヴァルヴクリアランスをビシッと調整すれば

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できました。良いんじゃないでしょうかッ!

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続いて、駆動系のオイル交換へとまいります。

トランスミッションのオイルと

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ドライヴシャフトのオイルは、ちょっと汚れて濁っていました。交換して正解!だったようです。ファイナルドライヴのオイルはキレイな感じでしたが、色が異なってました。交換時期が違ったんでしょうか。

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オイルが抜けるのを待つ間に、真っ黒に汚れたニュートラルスウィッチも取り外します。

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残念ながらトランスミッションの奥にもオイル汚れの跡がありましたので、オイルポンプカヴァー辺りからオイル滲みが発生しているようです。それほど酷くはなさそうですので、今後の課題としていただければ良いかと。

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その分、手の届くトコロだけでもビシッとキレイにしておきます。スウィッチも交換して、オイルもたっぷり入れておきました。(規定量)

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気になるオイルフィルターも点検&交換させていただきました。

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フゥ~。点検して良かったです。危険な紙製ガスケット(黒)が入ってました。

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オイル漏れもアレですが、この黒い紙製ガスケットはもっとアレです。何度も書いてるような気がしますが、モノサスの場合、このガスケットは不要ですのでご注意ください。実際に、モノサスにお乗りのお客様から「ガスケットを追加してみたら、油圧が低下して警告灯が点灯してしまったッ!」とのご報告もありましたので。2本サスの場合、基本的にこのガスケットを必要としますが、後期の車輌では不要なモノもあります。ご不明な場合はご相談ください。

と、その後もアレやコレやとチョイチョイ手を入れて、無事に作業終~了~。

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あ、パニアケースもなんとかピッキングして取り外すことができました。フフフ。

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ダメなら、こうするつもりでしたけど。オホホ。

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もちろん、作業後の確認も抜かりなしです。ナンバープレートがないため試乗できませんでしたが、エンヂンの始動性を確認したり同調を調整したりと、何度かエンヂンを回してアツアツにしてみてもオイルが垂れた跡はありませんので、オイル漏れはバッチリ直っているッ!のではないかッ!と存じます。

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ということで、今回はイレギュラーな作業のご依頼、有り難うございましたッ!直接お客様の顔が見えない仕事は責任の所在が曖昧になりそうなので積極的にお引き受けするものではありませんが、こうして頼っていただけるのは嬉しい限りです。今回作業させていただいた分については責任を持って対応致しますので、何かありましたら遠慮なくご連絡ください。2V-OHVのBMWしか扱えませんが、また何かお困りのときはご相談をッ!

 

下請け的なお仕事も(消極的に)承っております。ご相談くださいッ!

西方(兵庫)から、シリンダーヘッドO/H。(その3)

遠方からご依頼のあったシリンダーヘッドのO/H作業ですが、内燃機加工から上がってきましたので、残りの作業に取り掛かります。

まだまだお客様の少ない当店なのですが、どういうわけかここ数日は作業に追われておりまして、シリンダーヘッドが戻る前に終わらせるつもりだったシリンダーとピストンが手付かずのままという・・・。マズイッ!このままではお客様からお聞きしている組み立て作業予定日に間に合わないッ!

てことで、シリンダーとピストンから作業に取り掛かります。

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ピストンにはカーボンがたっぷりですが

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傷もなく、良好な状態です。

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プッシュロッドチューブの根元からオイルが滲んでいるので、洗浄後に軽く打ち込んでみます。これで滲みが止まれば良いんですが。

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と思ったら、簡単に打ち抜けてしまったッ!しかも、1本(右端)はリングがユルユルッ!

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なので、急遽、ステインレス製のチューブに交換させていただきました。ちょっと高くなってしまい、申し訳ないです・・・。できるだけキレイに洗浄しましたので、お許しを。

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シリンダーが冷えるのを待って、新しいピストンリングのクリアランスも点検します。すべて規定値の範囲内、バッチリです。

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で、ピストンをシリンダーに挿入して、こちらはOKです。

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続いて、傷のあったプッシュロッドを磨きます。

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深い傷は消せませんでしたが

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あまり磨いて細くするのもアレなので、このくらいに留めておきました。

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お客様が気にされていた曲がりもわずかに確認できましたが、修正するほどでもなさそうです。むしろ、アルミ製のロッドのコレを修正するほうが難しいです。中古良品が入手できるまでは、こちらをそのままお使いください。

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と、ようやく内燃機加工屋さんから戻ってきたシリンダーヘッドに取り掛かります。番号が書かれているのは、組み合わせを間違えないようにとの加工屋さんの配慮です。

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パッコンパッコンとヴァルヴを擦り合わせ、キレイに洗浄したら

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ヴァルヴを組み付けて完成です!イヤッホーイ!

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ヘッドカヴァーもピタッと合いますので、コレならオイル漏れもないですね。良いエンヂンになるんじゃないでしょうかッ!

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そして、梱包が・・・予想・・・以上に・・・大変!・・・でした。ギャー!

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ということで、なんとかお客様の作業予定日の前に発送することができました。作業が遅れてしまい申し訳ありませんでした。組み立て時のアドヴァイスもさせていただきますので、何かありましたら遠慮なくご連絡ください。これで、エンヂンとキャブレターの状態がリフレッシュできましたので、きっと元気なエンヂンに仕上がると思います。この度は複数の作業をご依頼くださり、有り難うございましたッ!しっかり組み上げていただき、良いご報告をお待ちしておりますッ!

 

クドいようですが、遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/Hを承っております。ご相談くださいッ!

R100RS、オイル漏れ修理と始動不良の点検。

以前に当店オリヂナルのETC用アンテナステイをお買い上げいただいたお客様、たまたまお近くにお住まいとのことで、今回はプッシュロッドチューブからのオイル漏れの修理をご依頼いただきました。有り難うございますッ!

で、ご来店をお待ちしていたところ、出発直前にセルモーターが回らなくなり、エンヂンが始動できなくなってしまったとのご連絡。結局、当店のトランスポーターで引き上げることになりました。近いことが幸い?しましたが、お客様にとっては嬉しくないトラブルですね。

おっ、アンテナステイもキレイに収まってます。ウレスィ~!

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さて、エンヂンが始動できなくなった原因を探りますか。

 

~数分後~

フューズの接触不良も疑わしかったんですが、原因はバッテリーの+ターミナルの接触不良でした。わずかなナットの緩みでも、セルモーターを回せなくなることがあるんです。端子の接触面をキレイに磨いてしっかり締め付けたら、ちゃんとセルモーターは回るようになりました。

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が、今度はセルモーターが空回りしてクランキングしてくれません・・・。どうも、ソレノイドスウィッチが上手く働いていないようで、アーマチュアコイルが虚しく回っているだけのよう。クランキングできないと火花も飛ばないので、タコメーターも動きません。

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(動画でご覧いただけます。)

てことで、お客様に了解を得て、セルモーターを修理することになりました。

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といっても、在庫しているマグネット剥離対策済みのハウジングに交換したO/H済みのValeo製セルモーターに取り替えるだけなんですが。

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ササッと交換したところ、無事にクランキングしてボボンッとエンヂンも掛かりましたッ!
これで、ようやくプッシュロッドチューブからのオイル漏れ修理に取り掛かれます。せっかくオイル漏れが直っても、エンヂンが掛からないようじゃ始動後の確認もできませんからね。

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ついでに、シートのヒンジ部が緩くなって外れやすかったので、紛失しているクリップの取り付けと同時に

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シートを開いたまま固定するためのブッシュも追加することになりました。

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シート表皮の一部に剥がれもあったので、エンヂンの修理の合間に接着しておきます。

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と、予定外の作業が続きましたが、いよいよプッシュロッドチューブのオイル漏れの修理です。

まずはオイル漏れの状況を確認、洗浄から。お客様が気にされるだけあって、けっこう潤いの強いオイル漏れですね。

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トランスミッション側からのオイル漏れはまだ気にするほどではなさそうですが、

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プッシュロッドチューブから漏れたオイルがオイルパン後方まで伝ってます。オイル消費も、一般に許される1リットル/1,000kmよりも激しいそうなので、けっこうな漏れだったのかもしれません。

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クランクケースとタイミングチェーンカヴァー、オイルフィルターカヴァーの合わせ面からも滲みがありそうなんで、洗浄後、オイルパンと併せてボルトを増し締めしておくことにします。

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オイル漏れの状況も確認したので、シリンダーとピストンを取り外します。

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プッシュロッドチューブのオイルシールが硬くなって変形してます。こりゃ、漏れるわけですね。それに、チューブ自体にも少しずつ漏れたオイルがこんもり堆積してますので、こういう場合はステインレス製のチューブに交換することをオススメしています。

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ステインレス製チューブに交換する際は、チューブを抜く前に元のチューブの挿入具合を良く確認しておきます。

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ステインレス製チューブは同じ深さまで挿入できないこともありますが、なるべく近い深さまで挿入するための目安になりますので。

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また、チューブにあるリング部の位置も確認しておきます。
ステインレス製チューブのリングは圧入されているだけで移動できるので、ズレている場合は元のチューブに合わせます。

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ピストンの状態は良好なものの、カチカチのカーボンがピストントップにたっぷりこびり付いていたので

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シリンダーとともに、頑張ってピカピカにしましたッ!チューブも打ち換えて、眩しいッスね~。

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27,000kmの走行距離なんで、シリンダーのクロスハッチもまだまだクッキリ残ってますし、ピストンとのクリアランスもOKでした。ピストンリングも問題なしで、一安心です。

エンヂン側もキレイに洗浄し、カム山とタペットの接触面も点検します。

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左右ともに異常なしッ!

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オイルフィルターカヴァーの周りなんかもキレイにしておいたので、エンヂン始動後のオイル滲みも見つけやすいですね。どうか、滲ませんようにー。

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フロントカヴァーとトップカヴァーも外しているので、ついでに洗浄しておきました。

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んで、シリンダーとピストンを仮組みしておいて

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シリンダーヘッドも洗浄と点検を行います。

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燃焼室とヴァルヴにもカチカチのカーボンが溜まってますので、

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それなりにオイルを燃やしながら走ってたのかもしれません。オイル消費が激しい理由も理解できますね。

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ただ、まさか右シリンダーヘッドのインテイク側のヴァルヴとヴァルヴガイドに、こんなにガタつきがあるなんてッ!やめて~!

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こちらは、一番ガタつきのなかった左シリンダーヘッドのインテイク側です。
残り2箇所もそんなに酷くなかったので、本来ならそのまま組んでもまあ大丈夫かなという感じなんですが、右側インテイクのガタつきは許容範囲を大きく超えてます。このままだと、せっかくココまでバラして組み上げても、オイル下がりによるオイル消費は激しさを増すだけで、時期をあらためて作業するとなると、また同じ工賃をいただかなくてはなりません・・・。

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ということで、またまたお客様に了解を得て、ヴァルヴガイドを打ち換えさせていただくことになりました。なんだか予想外の作業が増えてしまい、申し訳ありません・・・。

幸い、ヴァルヴのステムに異常な磨耗がなかったので、ビシッとキレイに洗浄して内燃機加工屋さんに届けました。これでヴァルヴも交換なんてことになっていたら・・・、くわばらくわばら。

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2週間ほどでシリンダーヘッドが仕上がる予定ですので、それまでの間は外した部品と車体を保護して、作業待ちです。仕上がり次第、キッチリ組み上げますので、もうしばらくお待ちください。

 

(続く)

 

プッシュロッドチューブのオイル漏れや、シリンダーヘッドの点検とO/Hも、ご相談くださいッ!