R100/7T、クラッチの点検とトランスミッションのO/H。(その2)

「昨日まで何ともなかったのに、急に半クラが上手くできないッ!なぜッ!」と、当店ブログを見てお問い合わせくださったお客様のR100/7T、引き続き作業を進めています。

 

昨日、トランスミッションのO/Hは終えましたので、今日はクラッチ周りの作業とオイル漏れの激しいフライホウィールの奥の点検&修理です。

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さっそくクラッチ周りを取り外します。

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プレッシャープレートに溜まったフリクションプレート(クラッチ板)が磨り減って出たダストの量がスゴイですね。走行距離が90,000kmを超えていることを考えればこれくらいはしょうがないと思いますが、このタイプのクラッチはダストの排出がイマイチなのかもしれません。2本サス後期やモノサスで使用されているクラッチはもっと排出しやすい形状のプレートとカヴァーに見えますので、改善されているんでしょうね。

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オイル漏れを確認するため、フライホウィールも取り外します。取り外す際にリングギアに付いた汚れが、このあとの清掃の大変さを物語っているッ!

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やっぱり、オイルポンプカヴァーのトコロからオイルが漏れてました。それにしても、この汚れは・・・。

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泣き言を言ってもキレイになりませんので、ジャブジャブ洗浄します。ウォー!

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元のオイルポンプカヴァーのO-リング(黒)、すっかりツブれて硬くなってました。これじゃ、漏れて当然ですね。

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エンヂン側もキレイにしたら、オイルポンプカヴァーとフライホウィールを戻します。写真では表現できませんが、すんごく苦労しているッ!

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フリクションプレートは厚さが5mmくらいまで減っていて(使用限度4.5mm)、また表面もイマイチな感じでしたので新品に交換します。ちなみに、新品の厚さは6mmです。

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しっかりセンターを出してクラッチを取り付けます。うーん、良いんじゃないでしょうかッ!

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トランスミッションを戻す前に、カヴァーやブレーキペダル、シフトペダルもキレイにしておきます。

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グリスは残っていますが、せっかくなのでしっかり整備したいですね。

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トランスミッションを戻しまして

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定番のスピードメーターの取り出し部のブーツも交換し、

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ピカピカになったブレーキペダルなんかも取り付ければ

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できました。イエス!

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と思ったら、お客様から「ブレーキもやっちゃってください。」とのご連絡がッ!作業が終わってホッと気を抜いてたのにー。でも、有り難いことですッ!

てことで、まずはリアブレーキのシューの交換から。

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ブレーキシューは当店取り扱いのEBC製です。ブレーキカムやアームはキレイにしてグリスアップします。

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ビシッと利くんじゃないでしょうかッ!

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続いてフロントブレーキです。Ate製キャリパーはちょっと変わってるんですよねー。

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こんな感じの部品構成になります。

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忘れちゃいけないのが堀北真希さんがしているO-リング。コレがピストン側のパッドに付きます。

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で、コレが外したブレーキパッド。ギリギリまで使い切ってます。イイですね~。ガンガン走られるだけじゃなく、こういうトコロもちゃんと気に掛けていると、トラブルは少なくなりますよね。

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パッドを交換し、お客様も気にしていたちょっと濁りのあるブレーキフルードも交換すれば

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作業終~了~。

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さっそく試乗してみると、クラッチの繋がり、切れ具合も良く、シフト操作もスコスコになりました!ついでに味わったミクニ製VMキャブレターも、スロー系がちょっと薄い感じでしたがセッティングもしっかり出ているようで、BINGとはまるで違う加速感で速かったです!作業しながら感じていましたが、しっかりと整備された良い車輌ですねー。

 

ということで、この度はトランスミッションやクラッチ周りに加え、ブレーキまで作業をご依頼いただき、有り難うございましたッ!これで、またしばらくはガンガン走れると思いますので、ちょっと寒いですがR100/7Tを存分にお楽しみくださいッ!今後とも、宜しくお願い致しますッ!

 

クラッチ周りの点検、修理だけでなく、ブレーキパッドとブレーキシューの交換も承っております。ご相談くださいッ!

R65、オイル噴出の修理。

R65(2本サス)にお乗りの、モギーが足を向けて寝れない&当店のステマ担当のお客様、今度はトラブルでのご来店です。嫌な予感がします・・・。

先日のご相談でお話はお聞きしていましたが、何やら最近、エンヂン始動時に後付けのオイルフィルターからオイルが噴き出してしまうことがあるそうです。噴き出すのは決まって始動時で、そんなときはO-リングもプリッとハミ出てしまい、辺り一面にオイルの海が広がるとのこと。なるほど。つまり、バイクを降りて、「帆を上げろー!船を出せー!」ってことですね?

はてさて、どうなりますか。

こちらのお客様がお使いになっているのは、Motoren-ISRAEL製のオイルパン用スペーサーです。オイル量を1リットル多くすることができ、油温も10~15°低く抑えることができるそう。フィルター交換も容易で、ブン回して走る方にはもってこいの製品なのですが・・・

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すでに3回もオイルを噴いてしまったことで、「ちょっと心が折れかけてます。トホホ。」とのご様子。直らなければ元に戻すことも考えたそうですが、このオイルパン用スペーサーを取り付けるときに「オイルフィルターを挿入するキャニスターを破壊して抜いているッ!後戻りはできないッ!」んだそうです。アチャー。

とりあえず、O-リングがハミ出してしまうとのことなので、「フィルターに付いているモノが弱いのカモ?」と考え、現物から寸法を採り

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耐油、耐熱、耐圧性に優れたO-リング(左)を手配して取り付けてみます。さあ、どうなのよ!

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アレアレ?ココはマレーシア?アレはマーライオンかしら?

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って、思いっ切り噴いているッ!

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~二日後~

作業場のお掃除も終わり、少し気持ちも落ち着いたので、あらためてオイルが噴いた原因を考えてみます。

お客様が使用しているフィルターのサイズは68mmで、コレはMotoren-ISRAELの指定サイズ通りです。ただ、同時に推奨している適合フィルターの品番は「WL7169」または「MANN W712/52」で、このフィルターを調べるとサイズは74mm相当となっています。

モギー刑事  「ひょっとして、サイズが小さいのか・・・?」

フィルター取り付け部を確認すると、確かに74mmのフィルターでないとO-リングがしっかり接触しないようです。

モギー刑事  「まさか、そんなコトだったのか!」

ということで、ワンサイズ大きなフィルター(左)を手配して取り付けてみます。さあ、どうなのよ!

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アレアレ、ココはイタリア?アレはナヴォーナ広場の噴水かしら?

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って、また思いっ切り噴いているッ!

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~二日後~

作業場のお掃除も終わり、少し気持ちも落ち着いたので、あらためてオイルが噴いた原因を考えてみます。(2回目)

オイルが噴出したフィルターをよく見ると、ハウジング自体が歪んでいるッ!のが分かります。この歪みのせいでできた隙間からO-リングがプリッとハミ出てしまい、オイルが噴出するようです。いつもお世話になっているモノタロウ・ブランドを悪く言うつもりはありませんが、完全に油圧に負けて変形してますので

モギー刑事  「ペロッ。このブツは・・・粗悪品だ!」

というモギー刑事の怒りもごもっともです。

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(動画でご覧いただけます。)

確かに、エンヂンが冷え切った状態からの始動時は油圧が高くなります。これは、まだオイルが固い(熱が入っていない)からで、数分の暖機運転で徐々に油圧は下がります。冬場はさらに冷えてオイルは固くなっていますが、それでも、調べてみるとオイルフィルターの耐圧性は工業規格で「1,500kPaに耐えること」となっていますし、2V-OHVエンヂンのオイルポンプの作動圧力はおよそ600kPaですから、どう考えてもフィルターから漏れたり、ましてやフィルター自体を変形させることはないハズなんですが・・・。
(現在の車で使用されている0W-30のような粘度の低いオイルなら、モノタロウ・ブランドのフィルターでも問題はないみたいです。事実、このお客様も夏場は大丈夫でしたし、モノタロウのユーザーの満足度もけっこう高いですし。)

てことで、またオイルフィルターを注文し、オイルも20W-50から10W-40へ変更することにしました。

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耐圧を謳うBOSCH製、しかもメイド・イン・ジャパン!当然、新品なので歪みもなくクルクル回ります。

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(動画でご覧いただけます。)

指定通り、O-リングが接触してから3/4回転締め込んだ状態で、ほぼクリアランスなしのこの状態ッ!コイツは期待できるッ!

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2回のオイル噴出ですっかりビビってますが、あえてキンキンに冷えた深夜に始動テストを行います。さあ、どうなのよ!(もうどうにでもなれ)

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バッチリです!暖機もソコソコに回転をブォンブォン!上げても、まったく噴き出す気配も、漏れる気配もありません。バンザイ!

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後日分かったことですが、お客様からの情報によるとMotoren-ISRAELでもこのトラブルは認識していたようで、現在販売されている新型のオイルパン用スペーサーにはリリーフヴァルヴが追加されているとのこと。そりゃないぜー。

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ちなみに、コレがお客様がお使いの旧型のモノです。

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単品でリリーフヴァルヴの提供もあるそうですが、価格は€75.00だそうです。現在(2015/12/11)のレートで約¥10,000ですから、ちょっとお高いですね。しかも、そもそもMotoren-ISRAELの設計ミスだと思うんですが、シレっと「元々エンヂンに内蔵されているリリーフヴァルヴが適切な油圧で作動しないからO-リングがハミ出る」みたいな説明をしていますので、旧型のユーザーには優しくない対応になってます。
もし同型のオイルパン用スペーサーをお使いの方がいましたら、オイルフィルターの選択には十分ご注意ください。それと、冬場は始動後の暖機運転を少しのんびり行っていただき、心配ならオイルの粘度も下げておくことをオススメします。

と、ただのフィルター交換のつもりが時間ばかりが掛かる結果になってしまい、また、フィルターが赤くなってちょっとハズカシイ感じになってしまいましたが、これで安心していつものようにブン回せると思います。この度も当店をご利用いただき、有り難うございましたッ!

後付けのオイルフィルターからピューとオイルが噴き出しちゃう方、ご相談くださいッ!

R100RS、始動困難ナリ。(その4)

たまたま当店ブログをご覧になり、整備の相談のご連絡をいただいていたお客様の始動困難なR100RS、整備と修理を進めています。

前回の捜査で主犯格の男を逮捕したモギー刑事ですが、事件の背後に潜む犯行グループの全容解明にはまだ至っていません。残る共犯者、協力者を挙げるため、今日も地道な捜査は続きます。

すでにエンヂンの始動不良については根本的な整備&修理が終わりましたが、もう少しご依頼の作業が残っていますので、引き続き作業を行います。

まずは、注文していたスロットルケーブルが入荷したので交換します。この頃の2本サスのR100RSのスロットルケーブル(2本引き)はムダに長く、こんな感じで変なクセがついてしまいます。グリスアップして動きは良くなりましたが、決して状態は良くありませんでした。

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せっかく交換するので、モノサスのR100RSと同じような長さ、取り回しになるケーブルに変更します。

こんな感じです。どうですかッ!

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モギー刑事  「なるほど、そんなコトがあったのか。」

さらに、ご予算の範囲内だったので、始動性向上のためのもう一手、セルモーターも交換させていただくことにしました。
これが、ちょっとくたびれたBosch製セルモーターでの始動の様子です。

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事  「オイ、ちょっと署まで来てもらおうか。」
セルモーター 「エッ、エッ、チョットマッテクダサーイ!」

これがValeo製セルモーターになると、こうなります。

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(動画でご覧いただけます。)

ハッキリ違いが分かると思います。まだそれほど寒くない時期の作業場内での比較ですが、これから冬本番になって屋外でのエンヂン始動ともなれば、違いはより顕著になります。もちろんBosch製セルモーターもメインテナンスすれば動作は改善すると思いますが、当店がValeo製セルモーターをオススメする理由、感じていただけたでしょうか。(良質な宣伝)

で、交換するについでに

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エンヂン上部をキレイにし、ブローバイホースもしっかり締め付け直しました。

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ちょっとハーネスの長さが足りなかったので延長しています。

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ちなみに、元々付いていたナットはヒドイ状態でした。大きな電流が流れるので、わずかに緩みがあったのか、ワッシャーとくっ付いてしまってました。

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で、エンヂンのトップカヴァーを元に戻し、セルモーターの交換は終了です。

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モギー刑事  「これで、事件の本筋はあらかた片付いたな。」

しかし、捜査はまだまだ続きます。

お客様が過去に回そうとしたところ、「あ、コレはダメだ。」と諦めたフランヂナットを取り外さなければなりません。

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モギー刑事  「なんだか嫌な予感がするな・・・?」

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ひとまずオイルを抜きまして、ちょっと考えます。

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なんせ、この2本サスのR100RSの場合、イグゾウストパイプを外さないとオイルフィルターの交換ができません。(2本サス後期から外さずに交換できるようになってます。)

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モギー刑事  「この隙間じゃ、逃げようがないな。」

とりあえず回せる範囲でフランヂナットを緩め、イグゾウストパイプをコツコツ叩き、なんとか外すことができました。これでフィルターの交換もできます。ホッ。

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フィルターの交換と同時に、オイルクーラーの取り出し口周りをキレイにし、

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オイルプレッシャースウィッチの締め込みがちょっと甘いのか、取り付け部から滲んでましたので

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しっかり締め込んで、キレイにします。

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エンヂンの後側も確認します。ニュートラルスウィッチから漏れているようですが、量はそんなに多くなさそうです。むしろ、オイルパンのガスケットの濡れ具合を見ると、こちらのほうがアヤシイですね。

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オイルパンのボルトを増し締めし、キレイにして様子見です。
ココのボルトはあまり強く締め込みすぎると相手側のネジ穴をダメにしやすいので、増し締めはほどほどのトルクで行い、それでもオイル漏れが止まらない場合はガスケットを交換することをオススメします。

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と、オイル交換とエンヂンの清掃も終えたので、いよいよフランヂナットの取り外しです。

お客様が回すことを諦めた左側ですらこの状態なので、

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実際に回されて嫌な感触を味わった右側はご覧の通りです。ギャー!

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モギー刑事  「コ、コイツは・・・!」

ネジ山をシュッシュッと目立てしながら、フランヂナットを付けては外しを繰り返し、アンチシーズを塗り込んで、どうにかフランヂナットがクルクル回るようになりました。アンチシーズを塗ってないと少し引っ掛かりが残りますが、ココまで締め込めるようになれば次回の取り外しはきっと容易だと思います。

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てことで、イグゾウストパイプを取り付けて、しっかりフランヂナットを締め付けます。せっかくネジ山を修正したのに、ビビッてやんわり締め付けては意味がありません。ドキドキ。

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モギー刑事  「フゥ、てこずらせやがって。」

これで一段落かなと思いましたが、やっぱり甘くないッ!

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モギー刑事  「オイオイ、一体どうなっているんだ!」

さっそくオイルクーラーの取り出し部から、ちょっとオイルが垂れてきています。バンジョーボルトのガスケットからも垂れているので、まとめて増し締めしておきました。キレイにすると漏れや滲みのある場所を特定しやすくなりますので、やはり清掃は大事ですね。トホホ。

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さらに、インヂケーターの幾つかのランプが点いたり点かなかったりするので、その点検&修理も。症状からおおよその見当は付いてますので、配線図とにらめっこして疑わしいスターターリレイの接続を点検します。

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リレイを取り外すと、端子に汚れと錆びがありました。

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モギー刑事  「ウッ、こりゃヒドイ・・・!」

キレイに磨きます。

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が、端子をキレイにしたことで症状が悪化ッ!

こうなりゃ、コネクターから端子(メス)も外し、まとめて相手してやるッ!

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ついでにオイルで汚れていたコネクターとハーネスもキレイにし、リレイをしっかり繋ぎ直しました。ちょっとブラついていたハーネスもまとめましたので、インヂケーターの点灯不良の原因がリレイ側にあったとすれば、これでOKになるハズです。

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メーターとメインハーネスのコネクターの接続も点検しておきましたので、これで症状が再発しなければ大丈夫かと思います。こちらでも試乗して確認してみますが、あまり長時間乗れるわけではありませんので、最終的にはお客様に確認していたくことになりそうです。再発した場合は、あらためてご相談ください。(納車した翌日、再発したとの連絡が入りました。ズコー。)

モギー刑事  「・・・。」

また、後付けのフューエルフィルターを取り外したことで、当店オリヂナルのスターターノブはあまり干渉しなくなりましたが、これでオーヴァーフローを誘発してしまっては台無しです。

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モギー刑事  「ストレートタイプのコックだと少し干渉する、と。」

左フューエルコックの取り付け向きも修正したかったので(このままでは修正できないほどナットが固着してました)

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コックを外してO/Hします。ガソリンタンク内部の状態も悪くないのでそんなに多くはないですが、防錆塗料が剥がれたカスがちょっと溜まってましたので、タンクも軽く洗浄しておきました。

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バラバラに分解し、ジャブジャブ、ゴシゴシ洗浄します。

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ガスケットとO-リングは状態が良くなかったので交換しました。

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ビシッと組み立てて、タンクにコックを取り付けます。おっし、滲みなし!

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このストレートタイプのコックの場合、上下に2箇所、ベイクライトのガスケットを使用しますが、上側は部品の供給がありますが下側はありませんので、再使用するとちょっとドキドキしますね。適当なサイズの代替品があれば良いんですが。

コックの向きも修正できました。やっぱり、このほうが落ち着くッ!

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モギー刑事  「よし、あとは捜査報告書をまとめるだけ、か。」

 

~翌日~

エンヂンの清掃と取り付けボルトの増し締めのおかげで、一晩置いてもオイルが垂れた跡はありませんでした。ヤッタネ!

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が、オイルパンガスケットの辺りからさっそく滲んできています。ポタッとする寸前・・・。

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定番のプッシュロッドチューブの根元からはもちろんですが、オイルパンのガスケットは交換しないとダメみたいですね。今後の整備でご相談ください。

それから、ファイナルドライヴのブリーザーを塞いでいたシリコンガスケットは取り除いておきました。このタイプのケースは確かにオイルを噴きやすいですが、この出口を塞いでしまうと、ケースの内圧が高くなったときに他のオイルシールからオイルを噴いてしまうことになります。

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オイルの量が規定量であれば(このケースは250mlのところ300mlほど入ってました)、当店で使用しているオイルでココからオイルを噴くことはないと思います。冬場ほどオイルを噴きやすくなりますので、これからの季節、また気になるようでしたらあらためてご相談ください。

それと、試乗した際にカウルのガタつきが大きかったので確認したところ

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前側の下2箇所のボルトが脱落していましたので、しっかり取り付けておきました。(この前もこんなことがあったような?)

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モギー刑事  「よし、請求書、じゃなくて報告書も書けたぞ、と。」

ということで、すべての作業終~了~。

 

車体周りの整備は手を付けていませんが、試乗した感じブレーキもよく利きますし、ハンドルのブレもなく、車体の安定感も悪くありませんでした。ただ、お伝えした通り、トランスミッション以降の駆動系に少し違和感がありますので、また時期を見て点検&修理にお越しいただければと思います。
ともあれ、ようやくエンヂンの状態が元に戻りましたので、この冬は存分にR100RSの無敵のフルカウルを楽しんじゃってください。この度はご依頼いただき、有り難うございましたッ!

 

こうして事件は無事?に解決。しかし、まだこの世の中には不届きなヤツ(不調車輌)がいるッ!すぐに次の事件(お仕事)が(を)待っている、モギー刑事なのであった・・・。

新米刑事   「先輩、もうヤめてください!」
モギー刑事  「うっさい!もうちょっとアゴ触らせろっ、このヤロー!」

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(未完)

 

セルモーターの交換や、オイル交換、オイルフィルターの交換だけでなく、カジったフランヂナットの交換も、承っておりますッ!

R100RS、始動困難ナリ。(その3)

たまたま当店ブログをご覧になり、整備の相談のご連絡をいただいていたお客様の始動困難なR100RS、整備と修理を進めています。

前回の捜査では犯人逮捕への手がかりすら掴めませんでしたが、捜査対象は確実に絞られてきました。もう少し聞き込みを行い、事件の背後に潜む犯行グループを一網打尽にする日も近そうです。犯人のメボシは付いています。しかし、確実に逮捕するに十分な証拠を揃えるため、地道な捜査は続きます。

これまでの作業で「良い圧縮、良い点火」の点検&整備が終わりましたので、残るは「良い混合気」の確認です。試しに、当店在庫のR100RSからO/H済みのキャブレターを取り外し、交換してみます。

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フツーに掛かって、フツーに吹け上がるじゃん・・・。

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事 「犯人は、この街にいるッ!」

てことで、キャブレターをO/Hします。ついでに、せっかくご注文いただいた当店オリヂナルのスターターノブが干渉するので、後付けのフューエルフィルターを取り外し

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カチカチに固くなったホースも交換しておきます。

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このラバースリーヴもカチカチになってましたので、交換になります。

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お客様のほうでもO-リングやガスケットは交換されたそうですが、症状は改善しなかったようです。パッと見、確かに問題があるようには思えませんでした。

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モギー刑事 「どうした、顔色が悪いぞ?まさか、クスリか?」
ダイアフラム「見ての通り(フニャフニャ)、ただの疲れっすよ。やだなぁ。」

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ダイアフラムも張りがなくなっていましたので、中古良品に交換しておきます。ダイアフラムの張りはピストンヴァルヴの動き(反応)に直接関係してきますので、あまりにもヘタっている場合は交換することをオススメします。

モギー刑事 「最近、何か変わったことは?」
バタフライ 「シャフトのヤツ、ちょっと様子が変(動きが渋い)なんすよ。」
モギー刑事 「!」

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バタフライシャフトのO-リングが劣化しているのか、かなり動きが渋いです。これだけ渋いとスロットルの戻りにも影響しそうですので、やはりO/Hして正解でした。

モギー刑事 「あの回転のゆっくりした下降具合の原因は、コイツか・・・?」

ということで、バラバラに分解してキレイに洗浄し

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ビシッとO/Hしました。

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過去に内部の部品を交換されていないのだとしたら、ちょっと気になるトコロはありますが、これで症状に改善が見られるハズです。

捜査の途中ですが、スターター(チョーク)ケーブルの取り外しとフューエルホースの交換のついでに、お客様が気になっていたというエアクリーナーケースのこのズレも修正します。

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ガーン。ダブルナットにされてるー。しかも、まるで締まってないー。

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とりあえず、外したカヴァーとケースを

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洗浄してキレイにします。

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ブローバイホースの辺りから、けっこうオイルが漏れてますね。とりあえず、ホースクランプをしっかり締め付け直しておきます。

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漏れたオイルはココから垂れてきますので、気になる方は点検してみてください。

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トランスミッションの上部にややオイル混じりの砂埃が積もってましたので、キレイにしておきました。

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で、エアクリーナーケースをピシッと取り付け、しっかり固定します。

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エアクリーナーもかなりヤレてましたので、交換しておきました。無理に取り付けられたのか、金属のメッシュもめくれてましたので。

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タンクマウントラバーもかなりお疲れのご様子でしたので

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新品に交換します。

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また、ダイナコイルがしっかり固定できていませんでしたので、

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つか、フレーム側の取り付け部が割れているッ!

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ので、当店オリヂナルのステイに交換して、反対側に移設させていただきました。

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と、寄り道が長くなりましたが、O/Hしたキャブレターを取り付けて、いよいよエンヂンを始動します。捜査も大詰めです。

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ココで、モギー刑事が何かに気付きます。

モギー刑事 「オイ、オマエ何か知ってるな?」
ケーブル  「ギクッ!な、なんも知りませんて!」

にわかに現場がザワつき始めるッ!

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(動画でご覧いただけます。)

スロットルケーブルの動きが渋く、レヴァーがゆっくり戻ってました。ワイアインジェクターでグリスアップして汚れを取り除き、レヴァーの動きも軽くなったッ!

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事 「こんなトコロにも協力者が隠れていたのか・・・。」

しかし、まだ主犯格の男は尻尾を出しません。もう一度現場に戻り、聞き込みに走るモギー刑事。(ガックシ)

モギー刑事 「オマエもヤツらの仲間かッ?」
スプリング 「さぁ、知りませんよ。フフフ。」

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元々付いているピストンヴァルヴのリターンスプリング(左)は線径が細く、ピッチも細かいものでしたが、捜査資料によるとこの年式の車輌ではこれがスタンダードなセッティングのようです。試しに太いモノと交換してみても、症状が良くなる様子はありません。

モギー刑事 「クソッ、一体どうなってるんだ・・・。」
カヴァー  「どうかしたんすか、刑事さん?」

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このキャブレターは、トップカヴァー(右)のピストンヴァルヴ挿入部に穴がないタイプですが、穴付きのモノに交換してみても、やはり大きな変化は見られません。トップカヴァーの組み合わせにも変更は加えられていないようです。

ニードル  「刑事さん、なんか探しモノでもあるんすか?フヒヒ。」
モギー刑事 「うっさい、すっこんでろ!(逆ギレ)」

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ジェットニードル(下)のクリップ位置も、捜査資料ではこれがスタンダードセッティングとなっています。試しに変更してみますが、ココでも大きな変化は見られません。

こうして幾つか気になるトコロを確認してみましたが、アイドリング時の混合気の薄さと回転がゆっくり下降するという症状は消えません。そしてついに・・・

モギー刑事  「犯人は・・・オマエだッ!」
スロージェット「グッ、グゥ~。」

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元々付いていたスロージェット(左)を新品に交換したところ、あっさり解決しました。ジェットの番手もスタンダードセッティングの#45、パッと見、穴もキレイに通っていましたが、わずかに詰まりがあったようです。ネジ山の先の形状に違いはあるものの、新品と同じサイズまで穴を修正したところ、元のスロージェットでも症状は再発しませんでした。バンザイ!

犯人確保ッ!確保ッー!

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(動画でご覧いただけます。)

ということで、ようやくフツーのメーターの針の動きになりました。

実は、スロージェットがアヤシイことは初めから分かっていたんです。パイロットスクリューの戻しが異常に多かった時点で、スロー系に何かしら混合気を薄くさせる原因があるとニラんでました。しかし、そこは敏腕デカ、モギー刑事。丹念に証拠を積み上げてこその犯人逮捕が信条なのです。(おかげで、すんごく時間が掛かりました・・・。)

モギー刑事  「しかし、まだこれで終わりじゃない・・・。」

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左シリンダーヘッドカヴァーから少しオイルが垂れているッ!

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ので、増し締めします。トホホ。

エンヂンの後側からも、ちょっと垂れてますね。あとでエンヂンをキレイにしたら、漏れてる箇所を確認します。

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以上、やっとフツーにエンヂンを始動でき、フツーに回転が上昇/下降するところまで整備&修理が終わりました。残す作業もあと少しですが、意外と大変なモノになりそうです。

 

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

 

犯行グループの全容解明まで、捜査の手を緩めるつもりはないッ!決意を新たに現場へと戻って行く、モギー刑事なのであった・・・。

 

(続く)

 

キャブレターに起因する吹け上がりの悪さの点検&修理、動きの渋いスロットル操作の整備から、ダイナコイル用ステイの交換まで、お任せくださいッ!