何を言っているのか。(その3)

先日ご紹介した「何を言っているのか。」のR100RS、さっそく整備と修理を進めています。

DSC_1103

 

ステムベアリングの点検と調整をしたことでようやく試乗もでき、車輌の状態が分かりましたので、いよいよ作業に取り掛かります。

まずはフロント周りを分解します。

DSC_1308

クリームチーズ?

DSC_1315

じゃ、なさそうですね。

DSC_1288

定番のアウターレースの打痕ですが、荷重を強く受ける下側のほうがクッキリ出てますね。

DSC_1295

外したステム周りを洗浄してピカピカにし、新しいベアリングにたっぷりグリスを塗りこんでおきます。

DSC_1326

個人でもベアリング交換に挑戦される方はいるかと思いますが、アウターレースの取り外しはかなり苦労すると思います。モノサス以降は少し外しやすくなっていますが、2本サスの場合、ネックの取り付け部にほぼツライチのようにレースが収まっていて、ほとんど工具を引っ掛ける余地がありません。どうするッ!

DSC_1319

大丈夫、当店ではオリヂナルの専用工具を用意していますので数分で取り外し可能です。バンザイ!

ちなみに、これがモノサスの取り付け部です。隙間が少し広いのが分かるでしょうか。これでも一般的なプーラーではかなり苦労しますが・・・。

DSC_0018

てことで、ステム周りを取り付けます。うーん、ピカピカ!

DSC_1329

取り外したステムベアリングです。下側(右)に比べると上側(左)の打痕はそうでもありませんが、一方にコレだけ強い打痕があるとどんなに調整してもハンドルを切る際にコクッという感触が微かに残ってしまいます。構造的に、グルグル回転するのではなく左右に行ったり来たりするだけですから、どうしても一番走行時間の中で長くなる直進状態の位置に強く打痕が現れてしまいます。

DSC_1480

ステムベアリングの締め付け具合を調整してもハンドルが振れる原因は、この打痕によるベアリングのガタつきですので、ハンドルの振れが気になる方はディーラーまたは専門店にご相談ください。また、定期的なグリスアップで多少寿命を延ばすこともできますので、交換されたばかりの方は是非、定期的なメインテナンスもお忘れなく。もちろん、当店でも承っておりますッ!(さりげない宣伝)

ということで、続いてフロントフォークの組み立てです。しっかり洗浄し、在庫している再めっき済みのインナーチューブを使ってビシッと仕上げます。

DSC_1340

オイル漏れや滲みがないように、こういうトコロもキレイに均します。

DSC_1344

ただ、このサークリップは外すと元の位置に戻すのがちょっとムズカシイ・・・。

DSC_1347

できました。このとき、忘れずにダストカヴァーやフォークブーツを取り付けておきます。RSやRTのブーツには左右の区別があるので、ソコも注意です。(経験者談)

DSC_1352

スプリングは左右とも、キレイにして長さを点検しておきます。OKですね。

DSC_1369

フロントフォークを車体に取り付け、フォークオイルを規定量注入したら、エア抜きを丁寧に行います。アウターチューブの下側からのオイル漏れ、滲みも一切なし。イエス!

DSC_1385

再めっきされたインナーチューブに新しいオイルシール、これなら漏れることはないッ!

DSC_1376

なんかノッてきたので、ブレーキ周りもO/Hしちゃいます。

DSC_1397

マスターシリンダーのインレットポート、リターンポートの周りに結晶化したフルードが溜まってます。

DSC_1400

ココも、シリンダーから漏れたフルードが固まって溜まってますね。

DSC_1404

リザーヴタンクの中にも薄っすら結晶化したフルードが。

DSC_1408

こんなトコロにも。

DSC_1412

キャリパーも、ピストンを取り外したらエライことに!なってたので

DSC_1428

バラバラに分解します。こりゃ、洗浄するのも大変そう。逆に燃えちゃうけど!(M気質)

DSC_1435

そんなことより、なんでパッドにこんな細工を?ブレーキダスト対策なのかもしれませんが、細工した溝のせいでパッドが一部破損しちゃってます。これじゃ、パッドの寿命を短くするだけです。しかも、漏れたフォークオイルが染み込んでいて、ちょっとしっとりしてるー。
こりゃ、パッドは交換ですね。

DSC_1416

で、すごく燃えたんで、すごくキレイになりました。

DSC_1437

リターンポートもしっかり穴が通り、

DSC_1445

キャリパーに溜まっていた茶色い物体もなくなりました。

DSC_1452

リザーヴタンクもご覧の通り。

DSC_1468

心配していたピストンには傷もなく、良好な状態でした。ホッ。

DSC_1475

ついでに、スロットルホルダー周りも分解して洗浄します。燃えてますから。

DSC_1486

ブレーキレヴァーのピヴォット部、古いグリスが固まっていることはよくありますが、ココにフルードのカスが溜まってるのは珍しいですね。

DSC_1487

当然、ホルダー側もこの通り。

DSC_1494

ゴシゴシ洗ってキレイにしたら

DSC_1499

バババッとブレーキ周りを組み立てます。何しろ、燃えてますから。ウォー!

DSC_1500

本来なら、マスターシリンダーのピストンカップやキャリパーのピストンシールは交換したいところなんですが、今回はご予算の都合で再利用しています。点検したところ大きな傷も変形もなかったからなんですが、試乗してみて漏れや滲みがあればすぐに交換させていただきます。もちろん、お客様が乗り始めて間もなく漏れるようであれば即交換になります。そうならないように丁寧に作業したつもりですが、こればかりはどうにもなりませんのでお許しを。
おそらく大丈夫だと思いますし、ダメでも次回の交換作業はずっと楽に、確実に作業できますのでご安心ください。それよりも、まだまだコストが掛かりそうな予感がして、そっちのほうが心配です・・・。

などと言い訳もソコソコに、組み立てたブレーキ周りを車体に取り付けます。まだまだ燃えてますから。ファイアー!

ハンドルバーの錆がちょっと気になるので、ササッと磨いておきます。

DSC_1511

それと、ハンドルがセットバックされていて、ハンドルの取り付け角度も良くて非常に乗りやすかったんですが、メーターステイがRS用のままでちゃんと固定できていませんでしたので

DSC_1264

たまたま在庫にあった中古良品と交換しました。

DSC_1517

ジャーン!大丈夫、まだ燃えているッ!

DSC_1529

キャリパーを取り付ける前に、ホウィールベアリングの状態も点検します。アウターレースに焼けた感じはありますが、嫌なゴロつきも傷もなく動作は良好なので、古いグリスを洗い落としたっぷりグリスアップしておきます。同じテーパーローラーベアリングでも、グルグル回転しているせいか、ステムとは持ちが違いますね。まだまだ頑張って~。

DSC_1536

そして得られた、この躍動感ッ!どうですかッ!

DSC_1544

と思ったら、何かがオカシイ。タイアがグニャグニャしているような・・・?

ガーン。ビードが上がり切っていないッ!

DSC_1551
(動画でご覧いただけます。)

あのフロントが上下にフワフワした違和感の原因はコレだったのかもしれません。

危うく俺の中の炎が消えそうになりましたが、ビードをちゃんとハメるついでに、ちょっとズレてる軽点も合わせます。大丈夫、も少し燃えていけるッ!

DSC_1555

できました。

DSC_1564
(動画でご覧いただけます。)

うーん、だいぶ良くなったんじゃないでしょうかッ!ここまでやれば、もうあんな怖い思いをすることなく、安心して乗れるようになりますね。早く試乗して確かめたくなってきたー!

まだ燃えているッ!ファイィアァァー!

でもちょっと疲れたんで、今日はこのへんで。
次はガソリンタンクの洗浄とキャブレターのO/Hです。

 

(続く)

 

ステムベアリングの交換やブレーキのO/H、ホウィールベアリングの点検から上がり切きらなかったビードの面倒まで、諸々承っておりますッ!

何を言っているのか。(その2)

先日ご紹介した「何を言っているのか。」のR100RS、さっそく整備と修理を進めています。

DSC_1103

 

まずは、前オーナーも認識していたというブレーキランプの不具合。前オーナー曰く、「リアのブレーキスウィッチが壊れていて、ブレーキランプが・・・」とのことでしたが、点検してみるとスウィッチに異常はありませんでした。ということは、フロント側のスウィッチかな?

でした。スウィッチが壊れていて、ブレーキレヴァーを握ってもONになりません。

DSC_1227

安くはありませんが、こればかりは交換しないとどうしようもないので、新品のスウィッチに交換です。

DSC_1229

これで直ったかなと思ったら、まだブレーキランプが点きませんッ!

配線に問題はなかったので、まさかの球切れを疑いましたが・・・

DSC_1230

シングル球のはずが、ダブル球にッ!

シングル球に交換したら

DSC_1233

あっさりブレーキランプが点灯するようになりました。んもう!

DSC_1238

続いて、怖いくらいに震えていたハンドルの振れを改善するため、ステムベアリングの締め付け具合を点検、調整してみます。

R100RSの場合、ステアリングダンパーのロッドが邪魔をしてステムナットを締められないのでけっこう大掛かりな作業になってしまいますが、ベアリングを交換する予定なのでココまで取り外してしまいます。

DSC_1250

で、前オーナーも認識していたというもう一つの不具合も点検。曰く、「フォークのオイルシールは交換したが、まだ漏れているのであらためて交換の必要が・・・」とのことでしたが、これはシール交換でどうこうできる状態じゃないような?

DSC_1255

インナーチューブの摺動部にこれだけ錆びと縦スジがあると、何回シールを交換しても漏れは直りません。お客様にはかなりの負担になってしまいますが、再めっき済みのインナーチューブに交換するしかななさそうです・・・。

DSC_1259

てことで、ステムベアリングを調整し、ステムナットをしっかり締め付け直しました。
ステムナット自体はしっかり締め付けてありましたが、アジャストナットがユルユルだったので、これでハンドルの振れはかなり改善するんじゃないでしょうか。

DSC_1264

ちょっと試乗してみます。正直、前回の試乗では良いトコロも、悪いトコロもまったく分かりませんでしたから。アハハ。

DSC_1265

オォッ!怖くなくなったッ!

ということで、簡単にインプレッションを。
ステムベアリングの締め付けを調整したおかげで、ハンドルの振れはほとんど気にならなくなりました。が、まだフロント周りが上下にフワフワする感じです。新品のタイアに騙されて空気圧の点検を怠ったせいもありましたが、適正な空気圧に調整してもやっぱり気になります。
それと、キャブレターのジェットの詰まりを直してエンヂンはだいぶ元気になりましたが、なんだかまだ少しパワーが足りない感じです。ほぼ同年式の当店在庫のR100RSと比べると、加速感がモッタリしていてチョット物足りません。スロットル操作が重いことも一因かもしれませんが、しっかり整備して再度確認する必要がありそうです。ただ、走行距離の割りに異音があまりないのが幸いです。
車体の状態は未整備車輌らしいヤレた印象ですが、とりあえず走る、曲がる、止まることは問題なくできていますので、こちらもしっかり整備すればグッと良くなりそうです。
何より、前オーナーが言っていたクラッチ板の滑りは、やっぱり確認できなかったのが大きいです。クラッチ板の交換となると、ついでにできる作業も色々と見つかって、その分コストが掛かってきますからね。
うーん、現状で把握できたトコロはこんな感じでしょうか。

 

おっし、そんじゃ作業に取り掛かりますか!あ、チャーヂランプを忘れてた・・・。

 

(続く)

 

ブレーキスウィッチの交換からバルブの交換、ステムベアリングの点検&調整やフロントフォークの点検、試乗による点検とダメ出しまで、諸々ご相談くださいッ!

長期不動のR80、ニュートラルスウィッチの交換。

ちょっと前に仕入れた長期不動のR80、無事に登録も終え、販売に向け慣らしと試乗を進めています。

そこそこ試乗も繰り返し、かなり良い仕上がりになったことを確認できていましたが・・・

DSC_1077

ガーン。ニュートラルスウィッチからオイル漏れがッ!

てことで、さっそく交換します。まずはオイルを抜きまして
(当然ですが、オイルの状態は良好ですね。つか、もったいない・・・。)

DSC_1083

スウィッチにアクセスしやすいようにサイレンサーとコレクターボックスを取り外します。頑張って磨いたのでピカピカです。

DSC_1088

エンヂンをジャッキアップしておいて

DSC_1094

エンヂンマウントを抜きます。長期不動車だった割りには、錆びもなく良好でした。

DSC_1096

で、このスリーヴを取り外します。

DSC_1100

取り外したスリーヴを手に取ると、スウィッチから漏れたオイルでかなり濡れてました。
キレイにするついでに、スリーヴの両端面とエンヂン側の取り付け面もキレイに均しておきます。こうしておくと、取り付けるときに割りとすんなりスリーヴが収まります。

DSC_1103

手が入りにくい場所で作業しづらいんですが、コネクターを抜いてやればスウィッチを取り外せるようになります。

DSC_1115

コネクターも、とってもオイリーです。

DSC_1125

しくじった本人が言うのも非常にアレですが、純正のスウィッチは柔らかいアルミ製ボディなんで、ちょっと強く締めすぎたり、工具を上手く掛けられなかったりすると、樹脂との間に隙間を生じてしまい、ソコから漏れてきちゃうんですよね。端子の取り付け具合もちょっと繊細ですし。(言い訳&反省)

DSC_1087

新しいスウィッチを取り付け、オイル漏れしないようしっかり締め付けます。締め付けすぎを恐れるあまり、取り付けが甘くなって漏れるようでは本末転倒ですから。ドキドキ。

DSC_1130

英国のmoto-binsで取り扱っている対策品(真鍮製)ならこういうトラブルは起きにくいと思いますので、安心かもしれません。実際、自分の車輌でも5年ほど使用していますが、今のところ漏れや滲みもありませんから、数年で漏れてくる純正よりも長持ちしそうな気もします。
近々、仕入れてみようかしら。

0425

というわけで、スウィッチの交換もできたので、逆の手順で元に戻していきます。

スリーヴを取り付けて、エンヂンマウントボルトを通す穴をビシッと揃えたら

DSC_1140

エンヂンマウントボルトを挿入し、規定トルクでナットをしっかり締め付けます。

DSC_1149

これで作業は終了です。
またしばらく試乗してみて、オイル漏れがなくなっていれば良いんですが。

 

(続く)

 

よく漏れるニュートラルスウィッチの交換も、承っておりますッ!

R45、フロントブレーキのO/Hと灯火類の点検。

なかなか売り上げの伸びない兄の店を案じ、兄想いの優しい弟が「最近、BMWが気になんだけど!一年くらいで、カッコイイの仕上げてくんない?」などと右も左も分かってないようなコトを言ってくれたので、とりあえずあてがうことにしたR45、さっそく登録に向けて整備を開始しています。

エンヂンの整備と始動確認も終わったので、今日は引き摺りのキツかったフロントブレーキの整備に取り掛かります。

まずはキャリパーを分解して洗浄し、O/Hします。

DSC_0953

マスターシリンダーも取り外してO/Hしようとしたところ

DSC_0955

リザーヴタンクのキャップが外れないッ!
このキャップ、樹脂製のタンクに埋め込まれた雌ネジにボルトで固定されているため、雌ネジが空回りしちゃうとどうしようもありません。しかも、タンク単体の部品設定がありませんので、修理できない場合、マスターシリンダーごと交換になるようです・・・。

途方に暮れている暇はないので、在庫にあった角型タンクのマスターシリンダーをO/Hして取り付けることにしました。

DSC_0956

この頃のR45(とR65)はブレーキホースの取り回しが独特なので、取り付けにちょっと苦労しました。

DSC_0959

バッチリ!です。キャリパーの動きも良く、引き摺りもなくなりました。もちろん、ブレーキフルードの漏れも滲みもありませんッ!
ホウィールも軽~く回りましたので、ベアリングの状態も良さそうです。

DSC_0962

これなら、車検登録に持ち込んでも問題なしですね。

ということで、灯火類とホーンの点検をして作業終了と思いきや、ブレーキスウィッチが壊れてランプが点きっぱなしだったので、交換しました・・・。

DSC_0977

灯火類の点検のついでに、ヘッドライトレンズもピカピカに磨いておきます。

DSC_0990

レンズのシールが千切れていますが、けっこう多くの車輌でこうなります。長い間密着したゴムがレンズとリフレクターに張り付いてしまい、レンズを外すときに切れやすいんです。
常時在庫するようにしていますので、シールが傷んでいる方、ご注文くださいッ!サイズも大と小の2種類ありますので、ご注文の際は車種もお知らせ願います。

てことで、ヘッドライトもキレイになりました。ライトを点灯してみてもピカッー!と明るいので、光量不足で不合格になることはなさそうです。光軸はちょっと心配ですが・・・。

DSC_0994

これで、検査登録のための作業は完了です。24ヶ月点検の項目もすべてクリアできました。バンザイ!

それほど期間は長くないとはいえ、やはり不動車です。ココまでの作業だけでも、けっこうな時間と部品が必要になりました。
バイク屋なので問題が起きても逆に燃えますが、個人の方がこういう車輌を起こす場合、途中で諦めてしまうこともあるんじゃないかと思います。そしてまた長期間放置され、ますます状態の悪い不動車になり、最終的には部品取り車になってしまうのかも・・・。
もう生産されることのない車輌です。しっかり直せば甦らせられる車輌なら、なんとか起こして欲しいと思います。小さなコトでも構いません。できるだけのお手伝いを致しますので。

さてと、あとはちょっと車体をキレイにしてやれば、いよいよ登録です。やってやるッ!

 

(続く)

 

不動車を登録できる状態まで起こしたい方、ご相談くださいッ!

R45、エンヂンの始動確認とキャブレターのO/H。

なかなか売り上げの伸びない兄の店を案じ、兄想いの優しい弟が「最近、BMWが気になんだけど!一年くらいで、カッコイイの仕上げてくんない?」などと右も左も分かってないようなコトを言ってくれたので、とりあえずあてがうことにしたR45、さっそく登録に向けて整備を開始しています。

まだ何も手をつけていませんが、1~2年前にエンヂンの始動を確認しているそうなので、まずは興味本位で新品のバッテリーに交換してエンヂンの始動を試してみます。インテイクマニフォウルドを覗いたところ、とりあえずオカシナことにはなってなさそうなので。

DSC_0784

完全に片肺ですッ!

イグニッションコイルを点検しても問題はなかったんですが、コイルがコンニチハしていた理由が

DSC_0766

分かりましたので(ステイが取れているッ!)

DSC_0791

ソッコーでダイナコイルに交換しました。

DSC_0798

で、原因はキャブレターにありましたので

DSC_0802

こちらもソッコーでO/Hします。

DSC_0816

ちなみに、右側キャブレターのスロージェットとメインジェットが完全に目詰まりしてました。各ジェットの通路をキレイに通したんで、これでエンヂンはすんなり掛かると思います。

DSC_0824

それと、試しにエンヂンを始動したとき、ちょっとセルモーターの回り具合が怪しかったので

DSC_0838

在庫しているO/H済みのValeo製セルモーターに交換しました。これで、ますます始動し易くなりますね。(セルモーターのO/Hについては、コチラで紹介しています。)

DSC_0840

また、ブローバイガスのホースにスポンヂ?のようなものが挿入されていたので、コレも取り除きました。

DSC_0833

取り外したカヴァーも、検査官の心証を良くするためキレイに洗浄しておきます。

DSC_0831

どうですかッ!

DSC_0845

キャブレターには、当然、当店オリヂナルのスターターノブがッ!

DSC_0847

なんかノッてきたので、この勢いでガソリンタンクも洗浄してやるッ!

バァーン!

 

水しか入ってませんでした。

DSC_0812

フゥ。何度かガソリンで共洗いして水分もゴミも取り除けたので、フューエルコックも分解、洗浄しておきます。このストレートタイプのコックはあまり好きじゃないので、L字タイプのモノに変更するつもりですが。フゥ。

DSC_0827

とりあえず、エンヂンを始動できそうな手応えは感じられたので、今日の作業はココまでです。

さあ、明日はエンヂンを整備して、いよいよ本格的な始動確認まで進めますよー。

 

(続く)

 

しつこいようですが、不動車を起こしたい方、ご相談くださいッ!

Valeo製セルモーターのO/Hと修理。

先日入庫したR100RSから取り外したValeo(ヴァレオ)製セルモーター、注文していた部品が入荷したので、在庫とするため修理&O/Hします。

DSC_0983

症状としては、スタータースウィッチを押すとセルモーターが回る音がしているのに、エンヂンが掛からないといったモノでした。タコメーターが動いていませんでしたので、クランキングできていない、つまりセルモーターがフライホウィールを回せていないと判断し、ソレノイドスウィッチの故障を疑いました。(クランキングしないと点火信号が発生しませんので、火花も飛ばず、タコメーターも動きません。)
ソレノイドスウィッチは、セルモーターのドライヴギアをフライホウィールに噛み合わせるという役割を(同時にドライヴギアを駆動すためのスウィッチという役割も)担っていますので、このような症状が出た場合、ソレノイドスウィッチに機械的、または電気的な故障が起こったと考えて間違いないと思います。

0033
(動画でご覧いただけます。)

実際に故障したセルモーターの症状を確認してみます。

DSC_0532
(動画でご覧いただけます。)

案の定、ソレノイドスウィッチが壊れてドライヴギアの飛び込み動作ができなくなっています。本来、ドライヴギアは飛び込んで(移動して)回転するのですが、飛び込まずに回転していますので、ソレノイドスウィッチ内部のコイルが断線しているようです。こうなると交換するしかありません。

てことで、セルモーターを分解します。

DSC_0678

純正のValeo製セルモーターはハウジングの内側にマグネットを接着しているだけなので、走行距離(始動回数)が多い車輌ではマグネットの剥離が起こりやすくなり、結果、エンヂンが始動できなくなるというトラブルにつながります。

DSC_0683

セルモーターにはかなり大きな電流が流れますので、それだけ熱を持つことになります。加えて、エンヂン上部に設置されているため、エンヂンが掛かっている間は常に高温に晒されていますから、接着剤が劣化してマグネットが剥がれるのも、ある意味、当然かもしれません。高年式の車輌では剥離対策が施されたValeo製セルモーターを使用しているモノもありますので、メーカー側でも認識、改善したのだと思います。

ちなみに、コレがマグネットが剥がれたモノになります。

DSC_0017

O/Hする際には剥離対策が施されたEME製マグネットハウジングに交換しますので、マグネット剥離の心配をすることなく長くValeo製セルモーターをお使いいただけます。

DSC_0703

マグネットが剥がれた状態でセルモーターを回すと、ギャギャギャー!という嫌な音がし、すぐに分かりますので、セルモーターから異音が発生したら早めに点検、修理することをオススメします。

余談ですが、エンヂンを掛けるときは、なるべく短時間で始動するコツを日々の始動の中で探るのが良いと思います。掛かるまで長くセルモーターを回すと、セルモーターにもバッテリーにも負担が掛かります。調子の良いエンヂンとキャブレターであれば、寒い時期以外はスターター(チョーク)要らずで始動できるハズです。
普段からスターターを使わないと始動できない場合は、まずはキャブレターの調整、同調を見直したり、O/Hするなどし、それでも改善しないようならシリンダーヘッドのO/Hも検討する時期に来ているのかもしれません。始動性の悪さが気になっている方、ご相談くださいッ!

ということで、EME製マグネットハウジングにキレイに清掃したアーマチュアコイルを取り付けます。もちろん、軸部はグリスアップしています。

DSC_0706

ブラシが減っている場合は交換します。

DSC_0692

ブラシホルダーとブラシを取り付けて、ブラシを押さえるスプリングをしっかりハメ込みます。

DSC_0708

新品のブラシに交換した場合、ブラシを押さえるスプリングの先端の位置が高くなるので、そのままだとカヴァーに干渉することがあります。カヴァーを仮組みして干渉しているようであれば、適当なスペーサーを入れます。M5のワッシャーでも構いません。

DSC_0006

カヴァーをしっかり固定すれば、アーマチュアコイル側はOKです。

DSC_0712

ドライヴギアを駆動する遊星ギアが収まっているところもカヴァーを外して清掃し、

DSC_0731

たっぷりグリスを入れておきます。

DSC_0737

通常のO/Hではココまでの作業になりますが、今回はソレノイドスウィッチも交換になりますので、もう一手間掛かります。

故障したソレノイドスウィッチ(右)と比べると、各部の材質が変更されているようです。

DSC_0970

ピストン(可動鉄心)のリンク部の材質が樹脂になっているのが気になりますが、それほど大きな力は掛からないので大丈夫なのでしょう。古いピストンと組み合わせても動作しますので、ピストンだけ再利用するのも良いかもしれませんね。

DSC_0982

各部を清掃、グリスアップしてソレノイドスウィッチを取り付けます。
ピストンが移動するとドライヴギアが飛び込む仕組みが分かると思います。

DSC_0972

で、先に準備しておいたアーマチュアコイルを取り付け、動作テストをします。

DSC_0975
(動画でご覧いただけます。)

バッチリ!ですね。これで、O/H&修理は終了です。

ココまで直すとそれなりにコストは掛かりますが、それでも新品のセルモーターを購入するよりは安く修理できます。マグネット剥離の心配のない新品を購入しても、数万キロでグリスアップ、ブラシ交換くらいのメインテナンスは必要になりますので、むやみに交換せずに整備、修理して使うのもアリなのではないでしょうか。

BOSCH(ボッシュ)製セルモーターは故障知らずの優れものですが、モーターを駆動するのに必要な電流が大きいため、バッテリーが弱ってくると途端に始動が困難になるという欠点があります。それに比べると、VALEO製のセルモーターはBOSCH製のモノよりも消費電流が小さく、トルクも大きいので、ちょっとバッテリーが弱ったくらいでは始動困難になることもありませんので、マグネット剥離さえなければ、確実にBOSCH製のモノより良いモーターだと思います。こういう対策部品があるのは本当に有り難いことですね。

 

遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/H&修理を承っております。ご相談くださいッ!

北方(埼玉)から、トランスミッションのO/H。

ちょっと遠方のお客様からトランスミッションのO/Hのご依頼です。
走行距離57,000kmほどの車輌(R100RS、モノサス)を入手されたばかりだそうですが、外観がかなりヤレた感じだったらしく、当初は外装を再塗装してエンヂンをキレイに磨き、フレームも錆びたトコロを塗り直して乗り出すつもりが、手を付け始めたら車輌がバラバラになっていたッ!とのこと。
そんな折に当店のブログでO/Hのサービスを知り、これを機にトランスミッションもO/Hすることにしたそうです。有り難いことですッ!

さっそく、届いたトランスミッションを確認します。

DSC_1011

ニュートラルスウィッチとドレインボルト付近にオイル汚れがありますが、

DSC_1039

このぐらいの汚れは普通ですね。

DSC_1040

エンヂンに取り付ける側のオイル汚れがちょっと強い気もしますが、インプットシャフトのシールからの漏れはなさそうなので、おそらくオイルポンプカヴァー辺りのオイル漏れが原因でしょうか。

DSC_1035

分解前にインプットシャフトの回り具合を確認。

DSC_1028
(動画でご覧いただけます。)

アウトプットシャフトの回り具合も確認し、作業後、この状態と同じくらいクルクル回るようにします。やってやるッ!

DSC_1030
(動画でご覧いただけます。)

てことで、作業前の確認も終わったので、トランスミッションを分解していきます。

カヴァー下側のボルト、錆びもそうですが、ちょっと砂が詰まってることがよくあります。そのまま工具を突っ込んで回すとナメてしまうことがありますので、ちゃんとキレイにしてからボルトを回します。

DSC_1043

特殊工具を使ってアウトプットフランヂを取り外します。
シールとの接触部の状態も良好で、当たりが付いて光ってはいますが、爪が引っ掛かるようなこともありません。

DSC_1046

んで、取り外したカヴァー。カウンターシャフトのベアリングが収まるトコロにスラッヂが溜まっていますが、ココは構造上オイルが下に逃げないので、ある程度の距離を走った車輌であれば、どれもこんな感じだと思います。

DSC_1055

ケース内部のギア、シフトセレクターなんかを取り出したら

DSC_1063

オイルシールを取り除いてカヴァーとケースの洗浄です。
ケースの中も非常にキレイな状態でした。

DSC_1074

外したドレインボルトにも鉄粉がまったく付着していなかったので、お客様がお送りいただく前に清掃していないのだとしたら、前オーナーはしっかり乗って、しっかりオイル交換されていたのではないでしょうか。このトランスミッション、当たりだと思いますッ!

DSC_1174

こりゃ、気合が入りますね。(いつも入れてます。)

洗浄の際には、オイルフィラーの穴や

DSC_1087

オイルドレイン、ニュートラルスウィッチ取り付け部の穴もしっかり均してキレイにしておきます。車載の状態でも作業できますが、ケース単体でのほうがやりやすいですからね。

DSC_1096

どうでしょうかッ!

DSC_1102

当たり面もご覧の通りッ!

DSC_1108

もちろん、カヴァーガスケットもキレイに剥がれているッ!

DSC_1104

 

バァーン!

 

スミマセン、ジョジョ世代なもので、取り乱してしまいました。

気を取り直して、ケース内部の部品の点検と部品交換です。
シフトセレクターを分解します。

DSC_1114

走行距離の多い車輌で折れることのあるリターンスプリング、このスプリングも擦れて光っているトコロが見受けられますね。コレが進行すると、痩せた部分が割れたり折れたりして、スプリングが破損した時のギアから変速できなくなってしまいます。

DSC_1124

出先でそんなことになれば、どうやって帰れというんでしょうか。しかも、それが1速だったりしたら・・・。不安になった方、是非、ご依頼をッ!(悪質な営業)

樹脂製のローラーは接触面に磨耗もなく、軸部のガタもなく良好でした。

DSC_1146

他の軸部や接触部にも異常は見られませんでしたので、シフトセレクターをキレイにし、元通りに組み立てます。このとき、2枚のギアの歯を正しく噛み合わせておかないと、まったく変速できなくなりますので、忘れずに確認しておきます。

DSC_1135

続いて、シフトフォークの確認です。異常な磨耗や焼けた跡もなく、非常に良好ですね。

DSC_1152

各シャフトのギアも点検します。こちらも大変良好で、歯にもドッグにも異常なしです。

DSC_1163

ブッシュのガタつきもありませんでした。
これだけ各部の状態が良いとシフトもスコスコ入りますし、ギア抜け、ギア鳴りも、よほど雑な操作をしなければまず起こらないと思います。

DSC_1190

ベアリングにもガタはあまりありませんでしたが、もちろん交換しておきます。

DSC_1197
(動画でご覧いただけます。)

それにしても、インプットシャフトのこのインナーレース、普通はもう少しシールとの接触部に強い当たりがあるもんなんですが、このレースにはそれがほとんどありません。
ひょっとしたら、以前にしっかりO/Hされているのかもしれません。前オーナーのメインテナンスも良かったんだと思います。俺の出番、要らなかったんじゃ?と思うほどです。アハハ。

DSC_1203

というわけで、各部の点検と交換も終わったので、トランスミッションを組み立てていきます。

ケースをしっかり温めて、シャフトとシフトセレクターを取り付けます。

DSC_1214

ケースが冷めるのを待って、シム調整を。ビシッと決まったッ!

DSC_1228

シム調整が終わったら、カヴァーをしっかり温めて取り付けます。シム調整も大事なんですが、このカヴァーの取り付け次第でシャフトの回り具合が軽くも重くもなりますので、ココが一番のポイントかもしれません。

DSC_1231

カヴァーが冷えるのをちょっと待って、インプットシャフトとアウトプットシャフトがクルクル回ることを確認したら、シールを挿入してアウトプットフランヂを取り付けます。
このフランヂの固定ナット、締め付けトルクが220±15N・mとなってますので、細マッチョ気取りの人(俺)にはちょっとキビシイです。あ~、もっと長いトルクレンチが欲すぃ~。

DSC_1252

お送りいただいた際にシフトレヴァーが外されていたので、手持ちの部品を取り付けて1速から5速までの変速を確認すれば

DSC_1239

できました。

DSC_1254

DSC_1264

インプットシャフトもッ!

DSC_1274
(動画でご覧いただけます。)

アウトプットシャフトもッ!

DSC_1271
(動画でご覧いただけます。)

クルクル軽いッ!

バァーン!

 

以上、無事に作業も終わりましたので、こんな感じで

DSC_1002

丁寧に梱包してお送り致しますので、もうしばらくお待ちください。

DSC_1006

あとは、実際に車体に取り付け、試乗していただいて、シフト操作まで確かめていただければOKですね。車輌のセミ・レストアのご報告も兼ねて、ご来店くださるのをお待ちしております。もちろん、ダメ出しのご連絡でも構いませんが・・・。(緊張)

この度は、トランスミッション単体での作業のご依頼、有り難うございましたッ!

 

今回は、元の状態が良かったため比較的楽な作業になりましたが、どのような状態だったとしても目指すゴールは同じですので、「なんか、トランスミッションから異音が聞こえるような・・・」、「最近、ギア鳴りが多くなってきたかも?」、「アララ、またギアが抜けたよッ!」なんて症状が出始めましたら、ちょっと部品代は多く掛かってしまいますが、O/Hを検討されて良い時期かもしれません。

 

遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/Hを承っております。ご連絡くださいッ!

R100RS、オイル漏れ修理と始動不良の点検。(その3)

オイル漏れ修理で入庫しているR100RS、破断していたダイオードボードのマウントが入荷しましたので、さっそく作業に取り掛かります。

使用するのは、輸入屋ビーマーさん取り扱いのアルミ製ダイオードボードマウントです。
せっかく交換するのであれば、破断することのある純正マウントよりもこちらのほうが良いと思います。実際、高年式の車輌ではリヂッドな固定方法に変更されている車輌もありますので、メーカー側でもフレキシブルなゴム製マウントよりトラブルが少ないと判断したのかなと。

DSC_1102

てなわけで、またセルモーターを外します。ズコー。

ダイオードボードマウントを交換するには、こちら側からもナットにアクセスしないといけないんです。場所も狭いので、手の大きな人(俺)にはちょっとキビシイ作業です・・・。

DSC_1100

で、取り外したマウントがこちら。
ボルト部がゴムから取れちゃってます。壊れてないマウントも、ゴムに歪みがありますね。お客様には負担になりましたが、早期発見できたことは、結果的には良かったのかなと思います。
また、アルミ製マウントに交換するとアース線は不要になりますので取り外しておきました。

DSC_1132

位置決めにちょっと苦戦しましたが、アルミ製マウントもしっかり取り付けできました。

DSC_1107

バッチリです。微動だにしませんッ!

DSC_1115

これで、ようやくフロントカヴァーを閉じることができます。

DSC_1118

セルモーターなんかも元通りにして、作業終了です。イエスッ!

DSC_1120

ガソリンタンクを固定するクリップがなかったのでお客様に問い合わせたところ、外して保管しているとのこと。このクリップがないと、段差に乗り上げたときにタンクがガコンッと浮く可能性がありますので、ご注意ください。
在庫もありますので、紛失されている方はご注文ください。1個¥80(税抜)になります。

DSC_1081

てことで、最終確認のため近所をグルッと一回り、試乗してみました。

良いんじゃないでしょうかッ!
エンヂンからの異音もなく、アイドリングも安定しています。社外品のサイレンサーのためエンヂンのフィーリングはノーマルと異なりますが、低速から響く太い排気音はなかなかシビレます。おそらく高回転まで回せばこのサイレンサーの魅力をもっと味わえそうなんですが、組んだばかりなのでブン回すわけにもいきません。(当然)

DSC_1136

さて、明日の朝まで置いてみて、オイル染みができてなければ良いんですが。

DSC_1138

予定外の作業が増えてしまいましたが、入庫前よりも良い状態に仕上がっていると思います。あとは実際にお客様に乗っていただいて、オイル漏れ、滲み、それと過大なオイル消費が直っていることを確認していただくだけですね。
週末のご来店、お待ちしておりますッ!

 

ダイオードボードの取り付け具合の点検や、ダイオードボードマウントの交換も、ご相談くださいッ!

R100RS、オイル漏れ修理と始動不良の点検。(その2)

オイル漏れ修理で入庫しているR100RS、内燃機加工屋さんからシリンダーヘッドが戻ってきましたので、作業再開です。

通常2週間のところ、数日早く仕上げてもらったので、こちらも頑張って作業に取り掛かります。レッツ・ゴー!

DSC_1026

打ち換えたヴァルヴガイド、ピカピカですね!
もちろん、指先で感じられるようなガタつきもほとんどありませんッ!

DSC_1031

今回、ヴァルヴフェイスを研磨してシートリングもカットし直してもらっているので、当たりは悪くないんですが

DSC_1034

ヴァルヴの擦り合わせを行い、確認しておきます。
しっかり閉じますように。(祈り)

DSC_1036

で、キレイに洗浄してシリンダーヘッドを組み立てます。ピカピカ~。

DSC_1038

シリンダーヘッドを組み付け、ヴァルヴクリアランスを調整すれば

DSC_1044

バッチリです。良い感じに組めたんじゃないでしょうかッ!

DSC_1041

それにしても、状態の良い車輌です。
ヘッドカヴァーを固定するスタッドボルトまでピカピカです。当然、ガスケットなしでカヴァーを乗せても、ピタッと面が合っちゃいます。これなら、オイル滲みすら起こりませんね。

DSC_1058

てことで、無事にエンヂンが元に戻りました。

DSC_1066

続いて排気系。シリンダーヘッドのネジ山もご覧の通りの良好な状態ですが、次回の取り外しを考え、しっかりアンチシーズを塗っておきます。

DSC_1071

できました。

DSC_1074

あとはキャブレターを戻せばエンヂン始動となるんですが・・・

DSC_1056

ピストンヴァルヴの汚れが気になったんで

DSC_1052

取り出して洗浄しちゃいました。

DSC_1079

といっても、汚れてはいるもののピストンヴァルヴの動きは悪くありませんでした。日常的に乗られている車輌ならあまり問題にはならないと思いますが、このまま汚れが付着していけばそのうち渋くなりますからね。あまり乗られない車輌だと、そのうち固着することもあります。なので、せっかくですのでスムースな動きに戻ってもらいました。

さらに、エンヂン洗浄中に気付いたオイルフィルターのガスケット。モノサス以降の車輌では、この紙製のガスケットは基本的に不要なんです。
おそらく、どこかのタイミングで使用され、その後のオーナーも同じように倣って使ってきたからだと思いますが、本来の白いO-リングによるシール性を損なうだけでなく、油圧の低下を招いたりしますので、ご注意ください。

DSC_0717

むしろ、モノサス以降のエンヂンの場合、この白いO-リングを嵌めたときのハミ出し具合をよく確認してください。指先で触ってO-リングがしっかりハミ出ていれば良し、取り付け面とツライチのようであればスペーサーを追加します。

DSC_0720

あとは、取り付け面をしっかり均してキレイにし、元通りに組めばOKです。

DSC_0728

というわけで、オイルも交換してエンヂン始動ッ!

DSC_1087
(動画でご覧いただけます。)

点火時期もビタッと安定していますッ!

DSC_1086

んが、フロントカヴァーを取り付けようとしたところ、ダイオードボードのマウントが破断してました・・・。

DSC_1091
(動画でご覧いただけます。)

在庫がないので慌てて注文、明日にも届く予定です。マウントが届き次第、交換して最終確認しますので、週末の納車には十分間に合うと思います。もうしばらくお待ちください。

 

(続く)

 

シリンダーヘッドのO/Hだけでなく、オイル交換やフィルター交換、不意のダイオードボードのドラブルなども、ご相談くださいッ!

R100RS、オイル漏れ修理と始動不良の点検。

以前に当店オリヂナルのETC用アンテナステイをお買い上げいただいたお客様、たまたまお近くにお住まいとのことで、今回はプッシュロッドチューブからのオイル漏れの修理をご依頼いただきました。有り難うございますッ!

で、ご来店をお待ちしていたところ、出発直前にセルモーターが回らなくなり、エンヂンが始動できなくなってしまったとのご連絡。結局、当店のトランスポーターで引き上げることになりました。近いことが幸い?しましたが、お客様にとっては嬉しくないトラブルですね。

おっ、アンテナステイもキレイに収まってます。ウレスィ~!

DSC_0674

さて、エンヂンが始動できなくなった原因を探りますか。

 

~数分後~

フューズの接触不良も疑わしかったんですが、原因はバッテリーの+ターミナルの接触不良でした。わずかなナットの緩みでも、セルモーターを回せなくなることがあるんです。端子の接触面をキレイに磨いてしっかり締め付けたら、ちゃんとセルモーターは回るようになりました。

DSC_0526

が、今度はセルモーターが空回りしてクランキングしてくれません・・・。どうも、ソレノイドスウィッチが上手く働いていないようで、アーマチュアコイルが虚しく回っているだけのよう。クランキングできないと火花も飛ばないので、タコメーターも動きません。

0033
(動画でご覧いただけます。)

てことで、お客様に了解を得て、セルモーターを修理することになりました。

DSC_0528

といっても、在庫しているマグネット剥離対策済みのハウジングに交換したO/H済みのValeo製セルモーターに取り替えるだけなんですが。

DSC_0532

ササッと交換したところ、無事にクランキングしてボボンッとエンヂンも掛かりましたッ!
これで、ようやくプッシュロッドチューブからのオイル漏れ修理に取り掛かれます。せっかくオイル漏れが直っても、エンヂンが掛からないようじゃ始動後の確認もできませんからね。

DSC_0533

ついでに、シートのヒンジ部が緩くなって外れやすかったので、紛失しているクリップの取り付けと同時に

DSC_0517

シートを開いたまま固定するためのブッシュも追加することになりました。

DSC_0518

シート表皮の一部に剥がれもあったので、エンヂンの修理の合間に接着しておきます。

DSC_0523

と、予定外の作業が続きましたが、いよいよプッシュロッドチューブのオイル漏れの修理です。

まずはオイル漏れの状況を確認、洗浄から。お客様が気にされるだけあって、けっこう潤いの強いオイル漏れですね。

DSC_0540

トランスミッション側からのオイル漏れはまだ気にするほどではなさそうですが、

DSC_0545

プッシュロッドチューブから漏れたオイルがオイルパン後方まで伝ってます。オイル消費も、一般に許される1リットル/1,000kmよりも激しいそうなので、けっこうな漏れだったのかもしれません。

DSC_0550

クランクケースとタイミングチェーンカヴァー、オイルフィルターカヴァーの合わせ面からも滲みがありそうなんで、洗浄後、オイルパンと併せてボルトを増し締めしておくことにします。

DSC_0537

オイル漏れの状況も確認したので、シリンダーとピストンを取り外します。

DSC_0556

プッシュロッドチューブのオイルシールが硬くなって変形してます。こりゃ、漏れるわけですね。それに、チューブ自体にも少しずつ漏れたオイルがこんもり堆積してますので、こういう場合はステインレス製のチューブに交換することをオススメしています。

DSC_0561

ステインレス製チューブに交換する際は、チューブを抜く前に元のチューブの挿入具合を良く確認しておきます。

DSC_0563

ステインレス製チューブは同じ深さまで挿入できないこともありますが、なるべく近い深さまで挿入するための目安になりますので。

DSC_0572

また、チューブにあるリング部の位置も確認しておきます。
ステインレス製チューブのリングは圧入されているだけで移動できるので、ズレている場合は元のチューブに合わせます。

DSC_0577

ピストンの状態は良好なものの、カチカチのカーボンがピストントップにたっぷりこびり付いていたので

DSC_0578

シリンダーとともに、頑張ってピカピカにしましたッ!チューブも打ち換えて、眩しいッスね~。

DSC_0583

27,000kmの走行距離なんで、シリンダーのクロスハッチもまだまだクッキリ残ってますし、ピストンとのクリアランスもOKでした。ピストンリングも問題なしで、一安心です。

エンヂン側もキレイに洗浄し、カム山とタペットの接触面も点検します。

DSC_0588

左右ともに異常なしッ!

DSC_0589

オイルフィルターカヴァーの周りなんかもキレイにしておいたので、エンヂン始動後のオイル滲みも見つけやすいですね。どうか、滲ませんようにー。

DSC_0593

フロントカヴァーとトップカヴァーも外しているので、ついでに洗浄しておきました。

DSC_0622

んで、シリンダーとピストンを仮組みしておいて

DSC_0607

シリンダーヘッドも洗浄と点検を行います。

DSC_0611

燃焼室とヴァルヴにもカチカチのカーボンが溜まってますので、

DSC_0617

それなりにオイルを燃やしながら走ってたのかもしれません。オイル消費が激しい理由も理解できますね。

DSC_0620

ただ、まさか右シリンダーヘッドのインテイク側のヴァルヴとヴァルヴガイドに、こんなにガタつきがあるなんてッ!やめて~!

DSC_0633

こちらは、一番ガタつきのなかった左シリンダーヘッドのインテイク側です。
残り2箇所もそんなに酷くなかったので、本来ならそのまま組んでもまあ大丈夫かなという感じなんですが、右側インテイクのガタつきは許容範囲を大きく超えてます。このままだと、せっかくココまでバラして組み上げても、オイル下がりによるオイル消費は激しさを増すだけで、時期をあらためて作業するとなると、また同じ工賃をいただかなくてはなりません・・・。

0030

ということで、またまたお客様に了解を得て、ヴァルヴガイドを打ち換えさせていただくことになりました。なんだか予想外の作業が増えてしまい、申し訳ありません・・・。

幸い、ヴァルヴのステムに異常な磨耗がなかったので、ビシッとキレイに洗浄して内燃機加工屋さんに届けました。これでヴァルヴも交換なんてことになっていたら・・・、くわばらくわばら。

DSC_0669

2週間ほどでシリンダーヘッドが仕上がる予定ですので、それまでの間は外した部品と車体を保護して、作業待ちです。仕上がり次第、キッチリ組み上げますので、もうしばらくお待ちください。

 

(続く)

 

プッシュロッドチューブのオイル漏れや、シリンダーヘッドの点検とO/Hも、ご相談くださいッ!