R60/7、J&Pカスタム。(その4)

「気軽に乗れるようにしっかりと整備して、ボロボロにヤレた外観でカッコ良く仕上げたいッ!」というR60/7、たっぷりお時間はいただいていますが、少しずつ作業を進めています。

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まずは、まったく収まらないガソリンタンクの取り付け具合を修正します。どうやら、このフレームに溶接されたホーンの取り付け部が干渉しているようです。

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タンクの出っ張りが

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ココに当たります。

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左側のほうが強く当たってますね。

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とりあえず、叩く→仮組み→叩く→仮組み→・・・を繰り返し

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なんとか収まり具合が良くなってきましたが、今度は違うトコロが干渉しているッ!

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また、叩く→仮組み→叩く→仮組み→・・・を繰り返し

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ようやくしっかり収まるようになりました。

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ホーンを戻しても干渉しません。

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各部のクリアランスもしっかり確保できてます。やってやったぞッ!

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マウント部もビシッと修正し、この通り。

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フゥ、なんとか正しい位置に取り付けできるようになりました。バンザイ!

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でも、ベコベコの外観とは裏腹にタンクの中の状態は

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非常に良いんですよね。

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こんなゴミが入ってましたが。アハハ。

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タンクの中を洗浄しても

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この程度のゴミしか出てきませんし。これは良いタンクですね!

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ついでに、使用予定のテイルランプ、ウィンカーと

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ハーネスを取り外しておきました。

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で、外した部品を整理しておきます。当店はそんなに広くありませんので、そうしないと作業スペースがどんどん狭くなっちゃいますから・・・。

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ちなみに、元のタンクの中はかなり汚れてました。乾燥した地域にあった車輌ということなので、給油の度に砂埃が入っていたんでしょうか。

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防錆塗料が剥がれたカスもかなりの量ですし、

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フューエルコックにも粘土状のモノがたっぷり溜まってした。ま、コックは比較的新しい感じなので、O/Hすれば十分使えそうですが。

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ということで、金属加工屋さんにサブフレームの修正をお願いする前に、カスタム以外の整備&修理もできるトコロから進めていきます。ファイトー!

 

(続く)

 

ベコベコに歪んだタンクの取り付けも承っております。ご相談くださいッ!

西方(兵庫)から、フロントフォークのO/Hと。

昨年、シリンダーヘッドキャブレターのO/Hをご依頼くださったR65(2本サス)にお乗りのお客様、今度はフロントフォークのO/Hをご依頼にッ!あと、リアサスペンションの点検&ブッシュ交換もッ!有り難いことですッ!

すでにエンヂンの組み立てとキャブレターの取り付け&調整も終え、現在は慣らし運転を楽しまれているそうですが、やはり「何かがオカシイッ!」と感じられた足回りもしっかり整備しておきたいとのことで、部品をお送りいただきました。フロントフォークを外しているため車輌は不安定な状態らしく、「急ぎでオナシャス!」とのリクエスト。ウォー!急ぐぞー!

さっそく届いた荷物を確認します。

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オイルシールから滲んだ跡はありましたが

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インナーチューブの摺動部に気になる傷、錆はありませんでした。ホッ。

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そんでは、バラバラに分解して洗浄しましょー!

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オヨヨ。ダンパーロッドのピストンリグ、片側が3本のところ2本しかありません。内1本もちょっと歪んでいますので、これだとダンパーとしての機能が少し弱かったかもしれませんね。また、伸び切ったときの緩衝材になるブッシュもなくなっていました。

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ココのブッシュは劣化するとボロボロと崩れてなくなってしまいますので、2本サスのR65(とR45)だけでなく、/5や/6シリーズといった古い車輌やそれ以降のAte製キャリパーの付くタイプの車輌にお乗りで一度もO/Hされたことがない方は、是非、点検してみてください。センタースタンドを掛けてみて、フロントフォークが伸び切ったときにガコッと音がするようなら、まずココのブッシュが利いていないと思いますので。

作業に戻りまして、インナーチューブも片側の下端が荒く修正されていましたので

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少し磨いておきました。

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洗浄完了デス。

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ダンパーロッドを組み立ててピストンリングを取り付けたら、新品のブッシュも用意して

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インナーチューブに挿入します。動きもスムース、バッチリです。

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アウターチューブにインナーチューブを取り付けて、オイルシールを打ち込めば

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できました。良いんじゃないでしょうかッ!

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あ、お客様が取り外し方がよく分からなかったというフォークトップのキャップ、こんな感じになっています。キャップを押し込んでC-リングで留めているんですが、参考になるでしょうか。ちなみに、モノサスのフロントフォークと同じ取り付け方です。

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交換した部品です。

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歪んでいたピストンリング、こんな感じでした。

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続きまして、リアサスペンションです。

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パッと見、オイル滲みもなさそうです。手で押してみた感じ、ダンパーも利いています。

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ブッシュは上側も

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下側も、ゴムが劣化してひび割れていますね。

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てことで、分解してダンパーの状態を確認します。

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縮むときはスッと、伸びるときはググッと抵抗があり、しっかりダンパーが利いてます。これならまだまだお使いいただけると思います。つか、伸ばすときヘンな声が出そうなほど重かったです。(恥じらい)

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(動画でご覧いただけます。)

汚れと錆を落としてキレイにし

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ブッシュを交換して組み立てれば、作業終~了~。

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ということで、この度はフロントフォークのO/Hとリアサスペンションの点検&ブッシュ交換のご依頼、有り難うございましたッ!これで本来の足回りの状態に戻ったハズですので、まずはこの状態で乗り心地や挙動を確かめていただければと思います。もし違和感があるようでしたら、またあらためてご相談ください。良いご報告をお待ちしておりますッ!

 

遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/Hを承っております。ご相談くださいッ!

 

オマケ

お客様からの荷物の中に「食べられる緩衝材を入れときました!」と入っていたブツ、ちょっと変わったナッツ系のお菓子でした。さっそくポリポリしてみましたが、なんだかハトになった気分です。でも、なぜか・・・不思議と・・・力(チカラ)が湧いて・・・キター!こりゃ、仕事も捗るー!クルッポー!(ご馳走様でした!の意)

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オイルプレッシャーに注意、オイル交換。

販売するつもりで仕入れたのに、すっかり自分で楽しんじゃってる在庫車輌のR100RS(2本サス)ですが、最近、強くブレーキを掛けて停止するときにオイルプレッシャーの警告灯が一瞬点くようになってきましたので、エンヂンオイルを交換することにしました。

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注意! オイルプレッシャーの警告灯が一瞬点くようなことがあったら、すぐにオイルレヴェルゲーヂを確認してください。このような場合、オイルレヴェルがゲーヂの「min」マークを下回っていると思われます。オイルを交換するか注ぎ足すなどして、オイルレヴェルが「max」と「min」の間に収まるようにしてください。

 

当店に来たときは40,649kmでしたから、3,000kmくらい乗ったことになります。

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が、気になるのはオドメーターとトリップメーターのズレです。燃費を確認するために記録しているトリップメーターの合計だと4,000kmちょっとなので、かなりの差があることになります。うーん、そんなにズレるものかなぁ?今までオドとトリップのズレを意識したことはなかったんで、ちょっと確かめてみます。

てことで、オイルを抜きまして

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どのくらい残っていたか確認してみます。1.2リットルくらいですね。

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このR100RS(2本サス)はオイルクーラー付きの後期型なので、オイル量はモノサスのR100RSと同じ2.75リットルです。オイルフィルターに250mlほど残るので、およそ1.3リットル消費したことになります。BMWはオイル消費の限度を1リットル/1,000kmまでとしているので、3,000kmで1.3リットルなら400ml/1,000kmくらいになりますから、走行距離の割りには良いほうかもしれないですね。

で、オイル交換時の規定量(2.5リットル)のオイルを入れると、見事にゲーヂの「max」になりました。やりますね、BMW。ニクイ!

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と、オイルも交換しましたので、またしばらくはモギーの通勤バイク&代車として活躍することになりそうです。本当はビシッと整備して販売しなければならないんですが、この時期のR100RSのポカポカとした温かさといったら・・・手放したくないッ!でも、販売しないと・・・いや、やっぱりコイツは・・・しかし・・・ウォ~!悩ましいッ!

って、バカみたいですけど、そんなにバカじゃないですよ。オホホ。

 

オイル交換だけでなく、オイルフィルターの交換も承っております。ご来店くださいッ!

ドラマチック・サタデー。

昨日のことです。年内に納めるお仕事も無事に終え、

「もうお客様のご来店もなさそうだし、のんびりしちゃう?」

と、すっかり油断していた土曜日の午後。少し前にメールで今後の整備のご相談をいただいていたお客様が、突然ご来店になりました。ヤッべ、心の準備がッ!

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というのも、実はこの日、大学時代の数少ない友人の一人から「仕事が空いたんなら、ウチ来る?」との誘いがあったんですが、そこは意外と真面目なモギーです。

「いや、作業はないけどやっぱり店を空けらんないから、○○がコッチ来ない?」

と、逆に誘い返しまして、その友人が遊びに来てくれることになっていたんです。しかも、この友人はバイクに乗らなくなってしまったので、最寄りの駅まで迎えに行かなければならなかったんですが、正にそのタイミングでのご来店。たまたま土曜日は妻が手伝いに(遊びに)来てくれていましたので、頼んで迎えに行ってもらったんですが・・・

お客様 「アレ、○○くん?」
友人  「あ、□□?何してんの、こんなトコで?」

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なんとこの二人、中学時代のサッカー仲間だというッ!それも、10年?20年?振りの再会ッ!こんなトコロでッ!つか、写真誰ッ!

バァーン!

 

知らんがな。じゃなくて、コチラのお客様、学生時代はけっこうハデに活躍されていたそうで、初対面と思っていたモギーもその、お客様がお仲間と企画された「男女90人、夏のテニス合宿 in 軽井沢」という名のおバカ・イヴェントに参加していたという事実も判明。あのおバカ合宿に、このお客様も一枚噛んでいたとは・・・、その節は大変お世話になりました。あざーす!

 

という思いもよらない出来事があり、肝心の営業トーク(点検&ダメ出し)を忘れてしまいましたが、この度は同調調整やお持ち込みいただいたETCの取り付け作業をご依頼いただき、有り難うございましたッ!R80を入手されたばかりとのことですが、永く乗り続けられる良いバイクだと思いますので、何かお手伝いができることがありましたら、遠慮なくご相談ください。今後とも、宜しくお願い致しますッ!

 

こういう事があると、やはり「縁」というモノを感じざるを得ませんね。たまたまの選択が重なって起こる、偶然とも必然と言えない何か。過去の経験から「二度ある」と感じているモギー、また同じコトが起こりそうな予感がします。こりゃ、来年もブログのネタには困りそうにないですなぁ。クヒヒ。

 

同調調整やお持ち込みのETCの取り付け、意図しない再会まで、諸々承っております。ご来店くださいッ!

北方(福島)から、キャブレターO/H。

またまた遠方の方から、キャブレターのO/Hのご依頼です。有り難いことですッ!

こちらのお客様、R100のサイドカー仕様にお乗りだそうで、基本的にはそれほど調子は悪くないそうなんですが、エンヂンを始動してしばらく走行したあとに回転数が少し高めになることがあるようで、ご相談のメールをいただきました。で、ちょうどこれから冬になり数ヶ月乗れなくなるということで、メールでのやり取りからキャブレターのO/Hをされることに!ウホッ!

仕事だワッショイ!仕事だワッショイ!

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と、テンションも上がってまいりましたので、さっそく届いた荷物を開梱します。

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パッと見、そんなに汚れもありませんし

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お客様の「走ってなんぼ」の言葉通り、よく乗られている車輌のキャブレターみたいです。

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バタフライも、右側も

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左側もしっかり閉じてますね。

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てことで、分解して点検します。

フロートチャンバー内にちょっとゴミが溜まってました。大きく見えるゴミも、小さなゴミが固まってできた破片のようです。オーヴァーフローを気にされてはいませんでしたので、おそらく長年の使用で少しずつ溜まったモノが、乗られない時期に固まって大きくなっていったのではないでしょうか。そんなに心配はなさそうですが、ガソリンタンク内を軽~く洗浄してみても良いかもしれません。

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キャブレター側も、中はかなりキレイでしたが

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メインジェットホルダーの奥にけっこうな量の異物が溜まってました。

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この穴の空いたアトマイザーと呼ばれる部品は、メインジェットを通ってニードルジェットとジェットニードルの隙間から吸い出されるガソリンに空気を混ぜて混合気を作り、その名の通り霧吹きのように働きますので、ココが異物で詰まり気味だったとすると、スロットルを大きく開けたときのメイン系の混合気がちょっと濃くなっていたと思います。

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推測ですが、キャブレターに導入されるブローバイガスとエアフィルターを通過してしまう小さなゴミが少しずつ溜まり、こんなふうになってしまうのではないかと。程度の差はあっても、長くO/Hされていないキャブレターでしたらこんな感じになっていますので、気になる方は点検してみてはいかがでしょうか。

ピストンヴァルヴやスターターなんかも汚れてはいますが、不動車のようなガンコな汚れじゃありません。これなら簡単に落ちそうです。やっぱり、よく乗られてる車輌は状態が良いですね。

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というわけで、バラバラに分解しましたので、ビシッと洗浄します。

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できました。

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真鍮部品もピカピカです。ジェット類の穴の通りも確認しています。

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メインジェットホルダーの奥もキレイになりました!

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これならOKですね。

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O-リングとガスケットを交換し、正しく組み立てます。油面調整もバッチリです。

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バタフライもビシッと閉じました。ヤッタネ!

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ピストンヴァルヴもダイアフラムの位置に注意して取り付けます。スコスコ動くことを確認ッ!

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ちなみに、こちらのキャブレター、トップカヴァーなんかを固定するネジがポジドライヴになってました。高年式の車輌によく見る気がしますが、ポジドライヴのネジにはポジドライヴ用のドライヴァーを使用したいですね。トルクの掛かり具合が全然違いますから。お持ちでない方、工具屋さんへゴー!ですよ。

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イイんじゃないでしょうかッ!

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そして、当店オリヂナルのスターターノブもご希望とのことッ!なんとも!ウレシイッ!

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ということで、ご相談のあった「エンヂンを始動してしばらく走行したあとに回転数が少し高めになる」という原因になりそうなスロー系の詰まり等は見受けられませんでしたが、今回、内部をキレイに洗浄したことで改善するかもしれません。あとは実際に取り付けて試乗していただき、症状が再発するかどうか確認していただければと思います。

この度は当店をご利用いただき、また色々とお気遣いまでしていただき、有り難うございましたッ!取り付け後のご報告、楽しみにしておりますッ!

つか、またしてもR65にお乗りのお客様が一枚噛んでいたようで、もう言葉になりません・・・。もし、ネット上で「自分はよく知りませんけど」みたいに装いながら当店のブログへ誘導したり、さりげなく「モギーモータースさんスカ?悪くないんじゃないでスカね。」みたいに話題をネジ込んでくる人がいたら、それは当店のステマ担当のお客様かもしれません。ご注意ください。(良い意味で)

遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、O/Hを承っております。ご連絡くださいッ!

R100RS、始動困難ナリ。(その4)

たまたま当店ブログをご覧になり、整備の相談のご連絡をいただいていたお客様の始動困難なR100RS、整備と修理を進めています。

前回の捜査で主犯格の男を逮捕したモギー刑事ですが、事件の背後に潜む犯行グループの全容解明にはまだ至っていません。残る共犯者、協力者を挙げるため、今日も地道な捜査は続きます。

すでにエンヂンの始動不良については根本的な整備&修理が終わりましたが、もう少しご依頼の作業が残っていますので、引き続き作業を行います。

まずは、注文していたスロットルケーブルが入荷したので交換します。この頃の2本サスのR100RSのスロットルケーブル(2本引き)はムダに長く、こんな感じで変なクセがついてしまいます。グリスアップして動きは良くなりましたが、決して状態は良くありませんでした。

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せっかく交換するので、モノサスのR100RSと同じような長さ、取り回しになるケーブルに変更します。

こんな感じです。どうですかッ!

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モギー刑事  「なるほど、そんなコトがあったのか。」

さらに、ご予算の範囲内だったので、始動性向上のためのもう一手、セルモーターも交換させていただくことにしました。
これが、ちょっとくたびれたBosch製セルモーターでの始動の様子です。

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事  「オイ、ちょっと署まで来てもらおうか。」
セルモーター 「エッ、エッ、チョットマッテクダサーイ!」

これがValeo製セルモーターになると、こうなります。

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(動画でご覧いただけます。)

ハッキリ違いが分かると思います。まだそれほど寒くない時期の作業場内での比較ですが、これから冬本番になって屋外でのエンヂン始動ともなれば、違いはより顕著になります。もちろんBosch製セルモーターもメインテナンスすれば動作は改善すると思いますが、当店がValeo製セルモーターをオススメする理由、感じていただけたでしょうか。(良質な宣伝)

で、交換するについでに

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エンヂン上部をキレイにし、ブローバイホースもしっかり締め付け直しました。

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ちょっとハーネスの長さが足りなかったので延長しています。

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ちなみに、元々付いていたナットはヒドイ状態でした。大きな電流が流れるので、わずかに緩みがあったのか、ワッシャーとくっ付いてしまってました。

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で、エンヂンのトップカヴァーを元に戻し、セルモーターの交換は終了です。

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モギー刑事  「これで、事件の本筋はあらかた片付いたな。」

しかし、捜査はまだまだ続きます。

お客様が過去に回そうとしたところ、「あ、コレはダメだ。」と諦めたフランヂナットを取り外さなければなりません。

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モギー刑事  「なんだか嫌な予感がするな・・・?」

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ひとまずオイルを抜きまして、ちょっと考えます。

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なんせ、この2本サスのR100RSの場合、イグゾウストパイプを外さないとオイルフィルターの交換ができません。(2本サス後期から外さずに交換できるようになってます。)

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モギー刑事  「この隙間じゃ、逃げようがないな。」

とりあえず回せる範囲でフランヂナットを緩め、イグゾウストパイプをコツコツ叩き、なんとか外すことができました。これでフィルターの交換もできます。ホッ。

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フィルターの交換と同時に、オイルクーラーの取り出し口周りをキレイにし、

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オイルプレッシャースウィッチの締め込みがちょっと甘いのか、取り付け部から滲んでましたので

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しっかり締め込んで、キレイにします。

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エンヂンの後側も確認します。ニュートラルスウィッチから漏れているようですが、量はそんなに多くなさそうです。むしろ、オイルパンのガスケットの濡れ具合を見ると、こちらのほうがアヤシイですね。

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オイルパンのボルトを増し締めし、キレイにして様子見です。
ココのボルトはあまり強く締め込みすぎると相手側のネジ穴をダメにしやすいので、増し締めはほどほどのトルクで行い、それでもオイル漏れが止まらない場合はガスケットを交換することをオススメします。

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と、オイル交換とエンヂンの清掃も終えたので、いよいよフランヂナットの取り外しです。

お客様が回すことを諦めた左側ですらこの状態なので、

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実際に回されて嫌な感触を味わった右側はご覧の通りです。ギャー!

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モギー刑事  「コ、コイツは・・・!」

ネジ山をシュッシュッと目立てしながら、フランヂナットを付けては外しを繰り返し、アンチシーズを塗り込んで、どうにかフランヂナットがクルクル回るようになりました。アンチシーズを塗ってないと少し引っ掛かりが残りますが、ココまで締め込めるようになれば次回の取り外しはきっと容易だと思います。

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てことで、イグゾウストパイプを取り付けて、しっかりフランヂナットを締め付けます。せっかくネジ山を修正したのに、ビビッてやんわり締め付けては意味がありません。ドキドキ。

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モギー刑事  「フゥ、てこずらせやがって。」

これで一段落かなと思いましたが、やっぱり甘くないッ!

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モギー刑事  「オイオイ、一体どうなっているんだ!」

さっそくオイルクーラーの取り出し部から、ちょっとオイルが垂れてきています。バンジョーボルトのガスケットからも垂れているので、まとめて増し締めしておきました。キレイにすると漏れや滲みのある場所を特定しやすくなりますので、やはり清掃は大事ですね。トホホ。

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さらに、インヂケーターの幾つかのランプが点いたり点かなかったりするので、その点検&修理も。症状からおおよその見当は付いてますので、配線図とにらめっこして疑わしいスターターリレイの接続を点検します。

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リレイを取り外すと、端子に汚れと錆びがありました。

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モギー刑事  「ウッ、こりゃヒドイ・・・!」

キレイに磨きます。

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が、端子をキレイにしたことで症状が悪化ッ!

こうなりゃ、コネクターから端子(メス)も外し、まとめて相手してやるッ!

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ついでにオイルで汚れていたコネクターとハーネスもキレイにし、リレイをしっかり繋ぎ直しました。ちょっとブラついていたハーネスもまとめましたので、インヂケーターの点灯不良の原因がリレイ側にあったとすれば、これでOKになるハズです。

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メーターとメインハーネスのコネクターの接続も点検しておきましたので、これで症状が再発しなければ大丈夫かと思います。こちらでも試乗して確認してみますが、あまり長時間乗れるわけではありませんので、最終的にはお客様に確認していたくことになりそうです。再発した場合は、あらためてご相談ください。(納車した翌日、再発したとの連絡が入りました。ズコー。)

モギー刑事  「・・・。」

また、後付けのフューエルフィルターを取り外したことで、当店オリヂナルのスターターノブはあまり干渉しなくなりましたが、これでオーヴァーフローを誘発してしまっては台無しです。

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モギー刑事  「ストレートタイプのコックだと少し干渉する、と。」

左フューエルコックの取り付け向きも修正したかったので(このままでは修正できないほどナットが固着してました)

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コックを外してO/Hします。ガソリンタンク内部の状態も悪くないのでそんなに多くはないですが、防錆塗料が剥がれたカスがちょっと溜まってましたので、タンクも軽く洗浄しておきました。

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バラバラに分解し、ジャブジャブ、ゴシゴシ洗浄します。

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ガスケットとO-リングは状態が良くなかったので交換しました。

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ビシッと組み立てて、タンクにコックを取り付けます。おっし、滲みなし!

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このストレートタイプのコックの場合、上下に2箇所、ベイクライトのガスケットを使用しますが、上側は部品の供給がありますが下側はありませんので、再使用するとちょっとドキドキしますね。適当なサイズの代替品があれば良いんですが。

コックの向きも修正できました。やっぱり、このほうが落ち着くッ!

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モギー刑事  「よし、あとは捜査報告書をまとめるだけ、か。」

 

~翌日~

エンヂンの清掃と取り付けボルトの増し締めのおかげで、一晩置いてもオイルが垂れた跡はありませんでした。ヤッタネ!

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が、オイルパンガスケットの辺りからさっそく滲んできています。ポタッとする寸前・・・。

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定番のプッシュロッドチューブの根元からはもちろんですが、オイルパンのガスケットは交換しないとダメみたいですね。今後の整備でご相談ください。

それから、ファイナルドライヴのブリーザーを塞いでいたシリコンガスケットは取り除いておきました。このタイプのケースは確かにオイルを噴きやすいですが、この出口を塞いでしまうと、ケースの内圧が高くなったときに他のオイルシールからオイルを噴いてしまうことになります。

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オイルの量が規定量であれば(このケースは250mlのところ300mlほど入ってました)、当店で使用しているオイルでココからオイルを噴くことはないと思います。冬場ほどオイルを噴きやすくなりますので、これからの季節、また気になるようでしたらあらためてご相談ください。

それと、試乗した際にカウルのガタつきが大きかったので確認したところ

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前側の下2箇所のボルトが脱落していましたので、しっかり取り付けておきました。(この前もこんなことがあったような?)

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モギー刑事  「よし、請求書、じゃなくて報告書も書けたぞ、と。」

ということで、すべての作業終~了~。

 

車体周りの整備は手を付けていませんが、試乗した感じブレーキもよく利きますし、ハンドルのブレもなく、車体の安定感も悪くありませんでした。ただ、お伝えした通り、トランスミッション以降の駆動系に少し違和感がありますので、また時期を見て点検&修理にお越しいただければと思います。
ともあれ、ようやくエンヂンの状態が元に戻りましたので、この冬は存分にR100RSの無敵のフルカウルを楽しんじゃってください。この度はご依頼いただき、有り難うございましたッ!

 

こうして事件は無事?に解決。しかし、まだこの世の中には不届きなヤツ(不調車輌)がいるッ!すぐに次の事件(お仕事)が(を)待っている、モギー刑事なのであった・・・。

新米刑事   「先輩、もうヤめてください!」
モギー刑事  「うっさい!もうちょっとアゴ触らせろっ、このヤロー!」

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(未完)

 

セルモーターの交換や、オイル交換、オイルフィルターの交換だけでなく、カジったフランヂナットの交換も、承っておりますッ!

R100RS、始動困難ナリ。(その3)

たまたま当店ブログをご覧になり、整備の相談のご連絡をいただいていたお客様の始動困難なR100RS、整備と修理を進めています。

前回の捜査では犯人逮捕への手がかりすら掴めませんでしたが、捜査対象は確実に絞られてきました。もう少し聞き込みを行い、事件の背後に潜む犯行グループを一網打尽にする日も近そうです。犯人のメボシは付いています。しかし、確実に逮捕するに十分な証拠を揃えるため、地道な捜査は続きます。

これまでの作業で「良い圧縮、良い点火」の点検&整備が終わりましたので、残るは「良い混合気」の確認です。試しに、当店在庫のR100RSからO/H済みのキャブレターを取り外し、交換してみます。

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フツーに掛かって、フツーに吹け上がるじゃん・・・。

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事 「犯人は、この街にいるッ!」

てことで、キャブレターをO/Hします。ついでに、せっかくご注文いただいた当店オリヂナルのスターターノブが干渉するので、後付けのフューエルフィルターを取り外し

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カチカチに固くなったホースも交換しておきます。

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このラバースリーヴもカチカチになってましたので、交換になります。

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お客様のほうでもO-リングやガスケットは交換されたそうですが、症状は改善しなかったようです。パッと見、確かに問題があるようには思えませんでした。

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モギー刑事 「どうした、顔色が悪いぞ?まさか、クスリか?」
ダイアフラム「見ての通り(フニャフニャ)、ただの疲れっすよ。やだなぁ。」

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ダイアフラムも張りがなくなっていましたので、中古良品に交換しておきます。ダイアフラムの張りはピストンヴァルヴの動き(反応)に直接関係してきますので、あまりにもヘタっている場合は交換することをオススメします。

モギー刑事 「最近、何か変わったことは?」
バタフライ 「シャフトのヤツ、ちょっと様子が変(動きが渋い)なんすよ。」
モギー刑事 「!」

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バタフライシャフトのO-リングが劣化しているのか、かなり動きが渋いです。これだけ渋いとスロットルの戻りにも影響しそうですので、やはりO/Hして正解でした。

モギー刑事 「あの回転のゆっくりした下降具合の原因は、コイツか・・・?」

ということで、バラバラに分解してキレイに洗浄し

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ビシッとO/Hしました。

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過去に内部の部品を交換されていないのだとしたら、ちょっと気になるトコロはありますが、これで症状に改善が見られるハズです。

捜査の途中ですが、スターター(チョーク)ケーブルの取り外しとフューエルホースの交換のついでに、お客様が気になっていたというエアクリーナーケースのこのズレも修正します。

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ガーン。ダブルナットにされてるー。しかも、まるで締まってないー。

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とりあえず、外したカヴァーとケースを

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洗浄してキレイにします。

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ブローバイホースの辺りから、けっこうオイルが漏れてますね。とりあえず、ホースクランプをしっかり締め付け直しておきます。

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漏れたオイルはココから垂れてきますので、気になる方は点検してみてください。

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トランスミッションの上部にややオイル混じりの砂埃が積もってましたので、キレイにしておきました。

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で、エアクリーナーケースをピシッと取り付け、しっかり固定します。

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エアクリーナーもかなりヤレてましたので、交換しておきました。無理に取り付けられたのか、金属のメッシュもめくれてましたので。

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タンクマウントラバーもかなりお疲れのご様子でしたので

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新品に交換します。

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また、ダイナコイルがしっかり固定できていませんでしたので、

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つか、フレーム側の取り付け部が割れているッ!

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ので、当店オリヂナルのステイに交換して、反対側に移設させていただきました。

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と、寄り道が長くなりましたが、O/Hしたキャブレターを取り付けて、いよいよエンヂンを始動します。捜査も大詰めです。

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ココで、モギー刑事が何かに気付きます。

モギー刑事 「オイ、オマエ何か知ってるな?」
ケーブル  「ギクッ!な、なんも知りませんて!」

にわかに現場がザワつき始めるッ!

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(動画でご覧いただけます。)

スロットルケーブルの動きが渋く、レヴァーがゆっくり戻ってました。ワイアインジェクターでグリスアップして汚れを取り除き、レヴァーの動きも軽くなったッ!

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(動画でご覧いただけます。)

モギー刑事 「こんなトコロにも協力者が隠れていたのか・・・。」

しかし、まだ主犯格の男は尻尾を出しません。もう一度現場に戻り、聞き込みに走るモギー刑事。(ガックシ)

モギー刑事 「オマエもヤツらの仲間かッ?」
スプリング 「さぁ、知りませんよ。フフフ。」

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元々付いているピストンヴァルヴのリターンスプリング(左)は線径が細く、ピッチも細かいものでしたが、捜査資料によるとこの年式の車輌ではこれがスタンダードなセッティングのようです。試しに太いモノと交換してみても、症状が良くなる様子はありません。

モギー刑事 「クソッ、一体どうなってるんだ・・・。」
カヴァー  「どうかしたんすか、刑事さん?」

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このキャブレターは、トップカヴァー(右)のピストンヴァルヴ挿入部に穴がないタイプですが、穴付きのモノに交換してみても、やはり大きな変化は見られません。トップカヴァーの組み合わせにも変更は加えられていないようです。

ニードル  「刑事さん、なんか探しモノでもあるんすか?フヒヒ。」
モギー刑事 「うっさい、すっこんでろ!(逆ギレ)」

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ジェットニードル(下)のクリップ位置も、捜査資料ではこれがスタンダードセッティングとなっています。試しに変更してみますが、ココでも大きな変化は見られません。

こうして幾つか気になるトコロを確認してみましたが、アイドリング時の混合気の薄さと回転がゆっくり下降するという症状は消えません。そしてついに・・・

モギー刑事  「犯人は・・・オマエだッ!」
スロージェット「グッ、グゥ~。」

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元々付いていたスロージェット(左)を新品に交換したところ、あっさり解決しました。ジェットの番手もスタンダードセッティングの#45、パッと見、穴もキレイに通っていましたが、わずかに詰まりがあったようです。ネジ山の先の形状に違いはあるものの、新品と同じサイズまで穴を修正したところ、元のスロージェットでも症状は再発しませんでした。バンザイ!

犯人確保ッ!確保ッー!

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(動画でご覧いただけます。)

ということで、ようやくフツーのメーターの針の動きになりました。

実は、スロージェットがアヤシイことは初めから分かっていたんです。パイロットスクリューの戻しが異常に多かった時点で、スロー系に何かしら混合気を薄くさせる原因があるとニラんでました。しかし、そこは敏腕デカ、モギー刑事。丹念に証拠を積み上げてこその犯人逮捕が信条なのです。(おかげで、すんごく時間が掛かりました・・・。)

モギー刑事  「しかし、まだこれで終わりじゃない・・・。」

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左シリンダーヘッドカヴァーから少しオイルが垂れているッ!

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ので、増し締めします。トホホ。

エンヂンの後側からも、ちょっと垂れてますね。あとでエンヂンをキレイにしたら、漏れてる箇所を確認します。

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以上、やっとフツーにエンヂンを始動でき、フツーに回転が上昇/下降するところまで整備&修理が終わりました。残す作業もあと少しですが、意外と大変なモノになりそうです。

 

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

 

犯行グループの全容解明まで、捜査の手を緩めるつもりはないッ!決意を新たに現場へと戻って行く、モギー刑事なのであった・・・。

 

(続く)

 

キャブレターに起因する吹け上がりの悪さの点検&修理、動きの渋いスロットル操作の整備から、ダイナコイル用ステイの交換まで、お任せくださいッ!

R100RS、始動困難ナリ。

たまたま当店ブログをご覧になり、整備の相談のご連絡をいただいていたお客様が、本当にご来店くださいました。有り難いことですッ!

症状としては、「とにかく始動が困難で、最近、特にエンヂンの掛かりが悪く、吹け上がり方もオカシイ」ということらしく、「自分の手には負えそうにないので、この際、しっかり診て欲しい」とのこと。実際に確認してみると、エンヂンが温まっているので始動はそれほど難しくはありませんでしたが、確かに回転の上昇、下降の様子がオカシイ。タコメーターの針の動きは、明らかに混合気が薄いときの症状ですが、どうもそれだけではないような感じです。

お客様がこちらのR100RSを所有されて5年ほど、オイルやブレーキ、タイアなどの消耗品はしっかり交換されてきたそうですが、他の整備についてはそれほど手を付けていなかったそうなので、各部の状態の確認も含めての作業になりました。ちょっと手強そうな予感もありますが、「バイク屋に頼むときは、自分でできない作業を頼むとき。請求書を見ても高いとは言いませんよ。ガハハ!」とのお言葉もいただき、俄然、ヤル気が出てまいりました。

 

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

 

いやん、カコイイ・・・。

ということで、お客様がお帰りになった後、さっそく冷えた状態からエンヂンの始動を確認してみます。

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(動画でご覧いただけます。)

まったく掛けられません。バイク屋ですから、エンヂンの始動にはそれなりに慣れているつもりですが、まったくダメです。何度セルモーターを回しても、掛けられる気がしません。一体、お客様はどうやってエンヂンを始動させていたんでしょうか?

とりあえず、簡単に確認できるところから点検します。

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すると、右キャブレターのスターター(チョーク)のケーブルの動きに、何か違和感が。

ガーン。レヴァーを操作してスターターを使用すると、その後、レヴァーを戻してもアウターケーブルが抜けてしまい

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スターターが利きっぱなしになっているッ!

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なので、スターターを指で直接操作して、ようやくエンヂンを始動させることができました。が、今度は

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(動画でご覧いただけます。)

まったく吹け上がりません。バイク屋ですから、スロットル操作にはそれなりに慣れているつもりですが、まったくダメです。何度スロットルを煽ってみても、吹け上がらせられる気がしません。一体、お客様はどうやってエンヂンを吹け上がらせていたんでしょうか?

うーん、何かが根本的にオカシイ。本当に俺に直せるのか・・・?

 

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

 

やってやるッ!

やはり、ココは基本の「良い混合気、良い圧縮、良い点火」に立ち返って、一つ一つ確認していくことにします。圧縮は、左右のシリンダーで同じような値がそれなりの数値で出ていましたので、問題なしと判断。となれば、お次は点火系です。

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マイナスネジが片方ないのも気になりますが、ポイントギャップはもっと気になります。何しろ、現状を確認しようにも0.10mmのシックネスゲーヂが入るかどうかといった具合で、しかもゲーヂが何かに当たってしっかり挿し込めないという。ポイントの動きを確認したいだけなのに、老眼の目を凝らしてもポイントが開閉しているのかすら分からない始末。

てことで、ユニットごと取り外し、分解します。

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犯人はコイツでした。

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一見、何食わぬ顔で

 

「今日の午後?何してたかって?ちゃんと開閉してましたよ、ホントっすよ。」

 

と言っているようでしたが、強引に口(クチ)を割らせたところ、大変なブツを隠し持っていることを白状しました。こりゃ、捜査の手(シックネスゲーヂ)が届かないハズです。

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敏腕デカ、モギー刑事の手により犯人も逮捕されましたので、ポイントを交換します。

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元通りに組み立てて、ポイントのユニットもキレイにしました。ポイントギャップはこの状態でも調整できますので、規定値0.40mm~0.50mmの範囲内にビシッと調整しておきます。コンデンサーはまだ新しいようなので、そのままにしておきました。

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オイルは漏れていませんでしたが、O-リングが潰れて変形していましたので、こちらも交換しておきます。

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いつものように、点火時期が確認しやすいようにホワイトペンで「S」マークを塗り、

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ポイントのユニットを元に戻してエンヂン始動!点火時期も調整!

どうなのよッ!

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(動画でご覧いただけます。)

始動性はかなり改善しましたが、今度は回転の下降具合の異常がより鮮明に・・・ということは、複数犯によるもの?事件はまだ続いているッ!

 

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

「請求書を見ても高いとは言いませんよ」

 

解決したかと思われたこの事件、まだ野放しの犯人がいることが判明。捜査範囲を拡げ、捜査費用も新たに計上し、引き続き犯人逮捕に向けて捜査を継続していきます。

 

(続く)

 

エンヂンの始動性の悪さにお困りの方、ご相談くださいッ!

北方(埼玉)から、ステムベアリングの交換と。

一週間ほど前になりますが、以前にトランスミッションのO/Hをご依頼いただいたお客様が、今回はステムベアリングの交換にご来店くださいました。またまた有り難いことですッ!

そもそも、走行距離57,000kmほどの車輌(R100RS、モノサス)を入手され、当初は外装を再塗装してエンヂンをキレイに磨き、フレームも錆びたトコロを塗り直して乗り出すつもりが、手を付け始めたら車輌がバラバラになっていたッ!とのことで、そのお手伝いの第二弾になります。

で、塗装済みのフレームをお持ち込みいただいたのですが、事前にベアリングのアウターレースを外されていなかったそうなので

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オリヂナルの専用工具を使ってグイグイ抜き、ステムベアリングを交換しました。再塗装されたばかりのフレームで緊張しますが、専用工具を使えばご覧の通り。アラ、簡単!

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ついでに、フロントフォークと幾つかの部品をお預かりして、後日、O/Hさせていただきました。

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まずは分解してキレイにし、各部の点検から。インナーチューブの状態は、やや擦れた跡と小さな傷が1箇所ありましたが、オイル漏れを引き起こすほどではなさそうでした。他の部品も状態は良好です。

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今回ご依頼いただいた理由はコレ、ダンパーロッドのガイドリング(ピストンリング)です。この紙製のガイドリング、個人でもフロントフォークのO/Hに挑戦される方はいるかと思いますが、新品への交換はかなり苦労すると思います。元々付いていたモノを再使用する場合でもインナーチューブへの挿入は難しいですが、張りのある新品の場合、挿入する際にガイドリングが広がってしまい、強引に組みつけようとすればリングを傷めてしまいます。どうするッ!

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大丈夫、当店ではオリヂナルの専用工具を用意していますので数分で挿入可能です。バンザイ!

ちなみにこのガイドリング、取り付けには向きがあります。写真のように凹部を下にするのが正解です。

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で、外した部品を順番通りに元に戻せばインナーチューブの組み立てはOKです。

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フロントフォークのアウターチューブも、オイルドレイン用の穴の周りや、アクスルシャフトの挿入部をキレイに均しておきます。

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このアウターチューブはフレーム同様に粉体塗装で塗り直されていますので、マスキングの隙間から入り込んだ塗料を落とすのにちょっと苦労しました。ココに塗料が残っていると、アクスルシャフトの挿入がキツくなったりしますので。

また、フォークトップのO-リングが潰れて変形していましたので、交換しておきました。
(このとき、片側のオイルフィラーボルトが固く締まっていることを確認したのですが、それが後にトラブルを起こすことに・・・。申し訳ありませんでした。)

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フロントフォークを組み立てて、フォークオイルを入れてエア抜きし、一晩置いて漏れがないことを確認します。オイルシール、ドレインボルト、アウターチューブの底からも漏れはありませんでした。

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さらに、お客様ご自身でキャブレターをO/Hされた際に、バタフライシャフトのネジ穴をダメにしてしまったそうなので、その交換と(写真では分かりにくいですが、片側のネジ穴がユルユルになっています)

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当店オリヂナルのスターターノブの取り付けもご依頼いただきました。有り難うございますッ!

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その他、幾つかのご注文部品も用意し、一通りの作業を終えて梱包、発送したのですが、翌日、お客様からフロントフォークのオイル漏れのご連絡をいただいてしまいました。

こちらの思い込みで、片側のオイルフィラーボルトだけ確認して締まっていると判断し、結果、お客様に大変なご迷惑をお掛けしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。二度とこのようなことがないように努めますので、これに懲りず、またお手伝いさせていただければと思います。せっかくのご依頼にしっかりと応えられなかったこと、強く反省しております。本当に、申し訳ありませんでした。

 

遠方の方でも片道の送料をご負担いただければ、フロントフォークのO/Hや、キャブレターの修理も承っております。

何を言っているのか。(その6)

先日ご紹介した「何を言っているのか。」のR100RS、さっそく整備と修理を進めています。

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これまでの作業で、トランスミッションから前側の整備&修理が終わったので、リア周りの車検整備の作業を進めていきます。

と、またまたその前に、車検整備の項目としてオイル漏れの点検と清掃を入れていますので、エンヂンとトランスミッションの清掃を行います。

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オイルフィラーのガスケットをO-リングに交換しましたので、もうそんなに汚れることはないと思います。

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プッシュロッドチューブとオイルパンはまだ軽いオイル滲みのようなので、清掃して様子見です。

が、オイルプレッシャースウィッチからと思われるオイル汚れや

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ニュートラルスウィッチからのオイル漏れの跡がちょっと気になります。工場に置いている間、床にちょっとオイルが垂れるくらいだったのであまりヒドくはなさそうですが、このままだと漏れ具合がよく分からないので

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キレイにして、また試乗して確認することにします。

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予算の都合もありますし、また、すでにオイル交換も済ませていますので、そんなに漏れがヒドくなければ次のオイル交換に合わせてスウィッチの交換を検討ということでも良いと思いますが、気になるようであれば早めにオイル交換、スウィッチ交換しちゃいましょう。

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幸い、トランスミッションの奥のほうからの漏れはなさそうでした。ホッ。

ということで、ようやくリア周りの作業に取り掛かったんですが・・・、ドライヴシャフトのオイルが少ないッ!しかも、汚れているッ!

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ファイナルドライヴのオイルは色もキレイで、規定量に近い300mlくらい抜けましたので、ドライヴシャフト側だけオイル交換をサボっていたんでしょうか。うーん、ドライヴシャフトだけでも、ちょっと早めに次のオイル交換をしたいですね。

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ホウィールを外しているので、ファイナルドライヴのスプライン周りも点検します。スプラインの状態も悪くないですし、オイルシールからの漏れもないですね。

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オイルを抜いている間に、リアブレーキの作業を進めます。

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2本サスのリアディスクブレーキって、ホント、整備しにくいですよね。今回は、必要ならO/Hもというご依頼なのでココまで外しますが、車体に残したままだと本当にやりにくいです。オレっちの手が大きいせいもありますが。

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BMW特有?の、このクリップで固定するタイプのピン、嫌いじゃないなんですが(むしろ好き)、コレが錆びて固着しているとなかなか外せないんです。片側は折れて針金で固定されてるくらいですから。

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錆と古く固くなったグリスで苦労しましたが、無事に分解できました。

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マスターシリンダーのピストンを押すレヴァーとピヴォットピンも、この有様・・・。

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ただ、マスターシリンダーはシールからの漏れもなく、状態も良さそうでした。ココのシールはちょっと変わっているので、ダメなら交換するつもりでいましたが、コレならそのままでOKだと思います。ピストンのキットって、かなり高いんですよね。ウレシイッ!

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キャリパーも分解し、

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状態を確認します。錆びやカスがヒドかったフロントのキャリパーに比べ、なぜかとってもキレイでした。リア側だけ過去にO/Hされているのかもしれません。

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てことで、ジャブジャブ、ゴシゴシ洗浄します。

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ブレーキフルードが少ない期間が長かったのか、ダイアフラムのベローズが伸びてますが(重石を乗せてしばらく放置してみます)

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リザーヴタンク内はキレイです。

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古くなるとよく破れるこのダストカヴァーは、程度はイマイチですが中古があったので交換しておきます。

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ブレーキパッドは残量も十分で、変な細工もされていませんので、再使用します。

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しっかりグリスアップして組み立てて、車体に戻します。よく利くブレーキに戻りそうな予感。ムフフ。

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スウィングアームのピヴォット部も、グリスアップして締め付けトルクを点検します。

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そのままホウィールベアリングの点検といきたいところですが、あまりにもホウィールが汚れていたので

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手が入る範囲で頑張ってキレイにしました。ご依頼いただいたお客様のご友人が新しいオーナーになるのですが、初めてのBMW、しかも久しぶりのバイク(現在はスクーター)とのことなので、オマケの作業です。まだ汚れは残ってますが、オマケなのでお許しを!

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ホウィールベアリングもフロント同様、点検してグリスアップします。

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オイルを交換してからホウィールを取り付けて、ブレーキのエア抜きをすれば

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できました。イエス!

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しかし、この2本サスのリアブレーキは、ほんとエア抜きしにくいですね。作業中の姿勢はちょっとアクロバチックなので、このときばかりは「来客?ノー・サンキュー!」って言っちゃいそうです。

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あとは、シートロックのリリースボタンに

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樹脂製のキャップを取り付けて、

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ちょっと干渉するシートロックピンの位置を調整し

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リアフェンダーを元に戻せば

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本日の作業、終~了~。

まだ少しやることは残ってますが、車検整備で行っているリア周りの作業はこのような感じになります。通常、キャリパーの分解まではしませんが、キャリパーとピストンの清掃をしていて問題があれば、分解して点検も行うことになります。

さあ、あとは試乗して、外しているカウルを元に戻せば、いよいよ納車になります。もうちょっと!ゴー!俺、ゴー!ゴー!

 

(続く)

 

しつこいようですが、疎かにされがちな車検整備、ご相談くださいッ!