何を言っているのか。(その5)

先日ご紹介した「何を言っているのか。」のR100RS、さっそく整備と修理を進めています。

DSC_1103

 

前回に続き、今回はエンヂンの車検整備の作業を進めていきます。

と、その前に、行き先のない速度警告灯の配線を外すところからスタートです!

DSC_1744

ついでにメーターグラスもキレイにしておきました。これは、車検整備というよりも納車整備の作業になりますね。

DSC_1875

ずっと取り外したままだったヘッドライトも、レンズやリフレクターなんかをキレイに磨き上げます。踏んづけて壊しちゃう前に元に戻しておかないと、大変なことになりますからね。アハハ。(踏んづけません。)

DSC_1862

これは、車検前の点検で気になったときに車検整備の一環として行ってます。レンズの曇りで光量不足なんて、勘弁して欲しいですからね。

オォッ!透明感が戻っているッ!

DSC_1868

地味ですが、センタースタンドの先端のゴムが片方なくなっていたので、忘れる前に取り付けておきました。

DSC_1857

てことで、エンヂンのヴァルヴ周りの点検と調整に取り掛かります。

ロッカーアームを外したら、スリッパーとステムエンドの接触面を点検します。この車両は良好ですね。一安心です。
修正できる小さな虫食いならまだマシですが、修正できないほど深い傷がある場合は交換しなければなりません。放っておいても、悪化することはあっても良くなることはないですから。

DSC_1883

ロッカーアームのシャフトとニードルベアリングも点検します。特に、ニードルを保持しているケーヂは傷や亀裂、破損がないことを確認しておきます。こちらも問題なしですね。

DSC_1891

たまに起こるトラブルですが、このケーヂが破損することがあります。ケーヂが割れると、そこからニードルがポロポロ脱落してしまい、ガチャガチャと嫌な音を発するようになりますので、すぐに分かります。もしそうなった場合は、それ以上走行するのは止め、早めに修理してください。こんな感じだと、アウト~!です。

DSC_2492
亀裂
DSC_2408
破損

あとはヴァルヴクリアランスを規定値に調整すればOKです。ビシッと決まったッ!

DSC_1893

汚れたヘッドカヴァーも洗浄し、合わせ面をキレイに均して

DSC_1902

新しいガスケットとともに取り付ければ作業終了です。

DSC_1907

ヘッドカヴァーは、あらかじめシリンダーヘッドに仮組みして合わせ面の隙間を確認し、必要なら修正しておくと、取り付けたあとに「ウッ!オイルが漏れてきているッ!」なんてことがなくなります。あまりにも大きな隙間の場合は内燃機加工屋さんにお願いすることになりますが、ヘッドカヴァー側の軽微な歪みならなんとかなります。

で、エンヂンを始動できるようになったので、またイレギュラーな修理に取り掛かります。そう、1,500rpm以上でも消えないチャーヂランプをなんとかします。やってやるッ!

順番としては、チェックの簡単なレギュレーターから点検します。異常なしです。

DSC_2206

異常がないので、次にチェックの簡単なステーターを疑います。ココも異常なしです。

DSC_2213

今回のような症状の場合、ローターは関係ないと思いますが、ついでなので点検しておきます。

DSC_1909

中古良品と比べてみても、スリップリング間の抵抗値は正常みたいです。

DSC_1918

スリップリングとローターボディの絶縁不良があったので、

DSC_1922

コレが原因とは思えませんが、異常のない中古ローターと交換してみます。

DSC_1920

で、ローターとステーターを元に戻してみても、やはりまだチャーヂランプは消えません。
てことは、ダイオードボードが疑わしいですね。トホホ。

ダイオードボードを取り外し、ダイオードを点検してみると

DSC_1934

ビンゴ!です。6個の内の1個のダイオードが壊れてました。ちなみに、上が正常な中古良品、下が車輌についていたモノです。
てゆうか、取り外したダイオードボード、よく破断するゴム製マウントがもげちゃってるー。(中古のアルミ製ダイオードボードマウントがありましたので、交換しておきました。)

DSC_1931

というわけで、ダイオードボードを交換し、あらためて確認します。さて、どうかしら?

オォッ!チャーヂランプが消えているッ!

DSC_1948
(動画でご覧いただけます。)

充電電圧も14V付近まで上昇ッ!

DSC_1940
(動画でご覧いただけます。)

やってやったぞッ!

バァーン!

 

ということで、これでトランスミッションから前方の作業がすべて終わりました。残すはリア周りの作業のみですね。やっと終わりが見えてきました。もう一頑張りです。ゴー!俺、ゴー!

 

(続く)

 

疎かにされがちな車検整備はもちろん、チャーヂランプの不具合も、ご相談くださいッ!

もしも私が犬であったなら。

以前、当店オリヂナルのETCアンテナ用ステイを購入してくださったお客様が、今度はオイル交換に来てくださいましたッ!しかも、ついでにこれまた当店オリジナルのスターターノブの取り付けまでご所望とのことッ!ウレシイッ!

もしも私が犬であったならば、うれションしていただろうッ!
If I were a dog, I would uresyon!

0007

そして、もしもピアノが弾けたなら、思いのすべてを歌にして君に伝えることだろうッ!
And, if I could play the piano, I would tell you how I love you with my song!

0008

懐かしの仮定法過去、受験生だった頃を思い出しますねー。

 

てゆうか、犬でも西田敏行でもないんで、バイク屋としてビシッと作業させていただきます。

DSC_1987

黒く汚れてはいますが、この時代のキャブレター仕様の空冷エンヂンなら、これが普通ですね。定期的に交換されているだけあって、オイルにオカシナ混入物も見られません。

DSC_1988

写真を撮り忘れましたが、スターターノブの取り付けもビシッとできてます。アハハ!

DSC_1990

こちらの車輌、元はR80RTだそうで、外装を外して軽快な感じにカスタムされています。以前は別の車輌でレース活動も楽しまれていたとのことですが、現在はこのR80でツーリングにガンガン出掛けているそう。走りを楽しみたい方をも満足させてしまう2V-OHV、やっぱり何か魅力があるんでしょうね。そういえば、当店にも試乗できる販売車両があったような?(宣伝)

で、ふと目に付くのがコレ、タンクに貼り付けられたマップホルダー。アラやだ、さりげない!

DSC_1991

こちらはお客様のオリヂナルだそうで、これは試作品とのこと。

ペロッと開くとこんな感じです。アラやだ、ステキ!

DSC_1993

B5サイズくらいでしょうか。ツーリングマップやiPad的なモノがスッと収まる使い勝手の良さそうなこのマップホルダー、もう少し改良を加え、できれば製品化したいとのこと。アラやだ、欲しくなっちゃう!

確かに、市販されているマップホルダーってタンクバッグを兼ねているモノが多いですから、ちょっと大きくなりがちでタンクの上が嵩張りますよね。素材も全天候対応となれば化繊に頼るのがコスト的にも良いのは理解できますが、どうしても安っぽく見えてしまいます。
コレは全体が織りでできたコットン生地、パイピングは革で仕上げてあるので雰囲気もお洒落ですし、何よりマップホルダーに特化しているので薄くてシンプル!アラやだ、ホントだ!

この時代のBMWにも良く似合ってますが、このカラーリングなら、どこぞの赤いイタリアンバイクにもマッチしそうです。マグネット式なので、アルミタンクだと使用できませんが・・・。

0006

マップホルダー、製品化できたらまたオイル交換のついでにでも(ココ大事)、お知らせくださいッ!

てことで、ステマはこのくらいにして、この度はご来店いただき、有り難うございましたー。

 

エンヂンオイルの交換からスターターノブの取り付け、ちょっとしたステマまで、お任せくださいッ!

何を言っているのか。(その4)

先日ご紹介した「何を言っているのか。」のR100RS、さっそく整備と修理を進めています。

DSC_1103

 

ステムベアリングの交換、フロントフォークのO/H、そしてフロントブレーキのO/Hも終えましたので、引き続きキャブレターのO/Hとガソリンタンクの洗浄と作業を進めていきます。

まずはキャブレターの取り外しなんですが、なぜかホースバンドがなかったり

DSC_1582

片側だけフューエルホースが交換されていたりするので、あとで忘れずに対応することにします。

DSC_1584

で、キャブレターとスロットルケーブル、スターター(チョーク)ケーブルが外れました。

DSC_1587

スロットルケーブルの状態は良くないですね。切れかかってはいないものの、中のワイアに変なクセがついていて、このフリーな状態でもワイアの動きが非常に渋くなっています。特に、左側はケーブルのアウターエンドが外れてしまっていて、最初に点検したときの遊びの少なさの原因になっていました。これは交換しないとダメですね。

DSC_1589

ん?バタフライシャフトのホルダーがちょっと曲がってます。要修正ですね。

DSC_1614

バラバラに分解してみると、

DSC_1615

なぜか左キャブレターだけヒドく汚れ、腐食した感じです。

DSC_1620

フロートチャンバーも左だけ変な汚れ方をしています。

DSC_1625

内部の状態は比較的良さそうでしたが、メインジェットホルダーのO-リングがこびり付いて残っていました。ひょっとしたら、左側のコックが慢性的にガソリン漏れを起こしていて、車輌が不動だった間もフロートチャンバーにガソリンが少しずつ供給され続け、徐々に変質していくガソリンに侵されていたのかもしれません。

DSC_1629

ということで、徹底的に洗浄します。かなり良くなりそうな手応えを感じるッ!

DSC_1634

キャブレターボディの各通路やジェット類の穴ももちろんですが、フロートチャンバーにあるオーヴァーフローしたときのためのドレインパイプの穴の通りまでしっかり点検、清掃しました。

DSC_1637

あまりドレインパイプが詰まることはないと思いますが、このキャブレターは完全に塞がっていました。そのままにした場合、オーヴァーフローした際にガソリンの行き場がなくなり、一部はキャブレターから漏れ出しますが、多くはシリンダーヘッド側へ流出することになります。走行中であればプラグがカブる程度で済むかもしれませんが、長時間の停車となると予想できない量のガソリンがシリンダーヘッド内に浸入することになります。気付かずにそのままエンヂンを始動すれば、最悪の場合、ウォーターハンマーによりエンヂンに深刻なダメーヂを与えることも十分あり得ます。
不測の事態を避けるためにも、車輌から降りるときは必ずフューエルコックをOFFにする習慣を身に付けていただければと思います。

余談になりますが、ついでにフロートを固定するピンについても。
よく見ると、ピンには片側にギザギザの加工が施されています。なので、ピンを外すときは加工されていないほうから加工されている側へ、細い棒で打ち抜くようにしてください。そうすれば簡単に外れます。逆に打ち抜こうとすると、なかなか外せず、このように傷を付けることになります。
(ちょっと分かりにくいですが、右側が元々のギザギザに加工された側になります。)

DSC_1646

本題に戻り、O-リングやガスケットを交換して組み立てていきます。

DSC_1653

スロットルレヴァー、スターターレヴァーも正しく取り付けます。

DSC_1661

ダイアフラムがちょっとヘタってましたが、破れはありませんでしたので再利用しました。気軽に交換するにはちょっと高いんですよね・・・。

DSC_1664

スロットルバタフライもピタッと位置が合いました。曲がっていたバタフライシャフトホルダーも修正済み。

DSC_1669

どうですかッ!

DSC_1671

かなり良い状態に戻せたと思いますッ!(確信)

DSC_1672

せっかく上手くO/Hできたのに、インテイクマニフォウルドとの接続部のラバースリーヴがカチカチでは台無しです。ひび割れと変形がヒドいときは、迷わず交換しましょう。

DSC_1714

まだまだ認知度は低いですが、当店オリヂナルのスターターノブも取り付けて、キャブレターのO/Hは完了ですッ!
あ、ホースバンドとフューエルホースも忘れていませんよ。

DSC_1718

続いて、スロットルケーブルです。
状態の良い1本はそのままで、キャブレター側の2本を交換します。新品でも最初からワイアインジェクターでグリスアップ(注油)しておけば、持ちがグンと良くなると思います。あとは車検整備の度にグリスアップするだけで、そうそう動きが渋くなることも傷むこともないハズです。

DSC_1726

スロットルのギア部もグリスアップしてケーブルを取り付ければ、

DSC_1733

できました!

DSC_1738

やっぱり、スターターケーブルがないとスッキリするわぁ。ほんと、スッキリするわぁ。(宣伝)

にしても、このエアクリーナーの汚れ具合は・・・。もしかして、試乗したときのパワー不足の一因かな?中古のエアクリーナーで恐縮ですが、もう一度試乗できるようになったら交換して確かめてみます。

DSC_1724

キャブレターの作業が終わったので、お次はガソリンタンクです。

DSC_1592

ガソリンで数回共洗いして、こんだけのゴミと水が出てきました。内部の状態にもよりますが、防錆塗料が十分残っているようなら、洗浄だけで再コーティングはしないほうが良いと考えてます。どうも上手く再コーティングできる気がしないんですよね・・・。

DSC_1606

フューエルコックはL字タイプの新品に交換するつもりですが、外したストレートタイプのコックも分解、洗浄して修理用の部品にします。O/Hも可能ですが、部品代と工賃を考えると余りメリットがないことに最近気付きましたので・・・。

DSC_1676

分解ついでに状態も確認しておきます。
レンコンとも呼ばれるこのシール、穴の変形や磨耗がスゴイですね。こりゃ、コックが正しい位置でOFFにならないわけです。こうなると交換するしかありません。

DSC_1681

ストレートタイプのコックはご覧のようにストレーナーが小さいので、タンク内の防錆塗料が剥がれたカスが溜まってしまうと、ガソリンの流量不足につながります。

DSC_1690

コックのボディ内部にもけっこうカスが溜まってますね。

DSC_1704

てなわけで、交換するならストレーナーが大きいL字タイプのコックほうが良いと思います。タンクを外して置いておく際も、コチラのほうが床敷きにも置きやすいですし。

DSC_1705

おっし、漏れも滲みもなく取り付けできました!

と、ココまではイレギュラーな修理&整備がメインでしたが、ようやく一段落しましたので、引き続き通常の車検整備の作業を進めていきます。
元々、今回のご依頼は車検整備による車輌のリフレッシュが目的だったんです。なのに、予想外の不具合があちこちにあって、かなり寄り道した感じになってしまいました。また、当初予定していたご予算よりも作業が大幅に増えてしまい、なんだか申し訳ないことに・・・。その分、ビシッと整備しますので、期待してお待ちを!

 

てことで、いつもとはちょっと順番が違いますが、ハンドル周りの作業がほぼ終わっていることもあり、クラッチレヴァーとケーブルを先に片付けます。

レヴァーを取り外してケーブルエンドも外したら、ケーブルをワイアインジェクターでグリスアップします。ケーブルエンドはグリスが古くなってカチカチに固まっていてなかなか外れず、ワイアの動きもかなり渋かったです。このままの状態で使い続けていると、そのうちクラッチケーブルがブチッと断線しますので、クラッチレヴァーが重い、渋いと感じる方は早めの点検をオススメします。(経験者談)

DSC_1747

レヴァーやピヴォットボルトをキレイに洗浄し、

DSC_1749

レヴァーホルダーもキレイにしてグリスアップして組み付ければOKです。
アラ、軽~い!何、このレヴァー!(誇張表現)

DSC_1769

オイルも未交換の状態で入手されたそうなので、交換します。
抜いたオイルはエンヂン、トランスミッションともに真っ黒で、トランスミッションのドレインボルトにはこんもり鉄粉が付着してました。この程度ならまだ問題になりませんが、フィラーボルトやドレインボルトのガスケットは、サイズの合った純正部品を使って欲しいですね。

DSC_1755

オイルフィルターも履歴が不明なので交換しておきます。

DSC_1809

しっかりキレイにしてやるッ!

DSC_1811

しかし、このO-リングの変形っぷりときたら、断面が四角くなってます。おそらく長期間に渡り交換されてこなかったんだと思います。オイルクーラーの取り出し口がオイルで汚れているのも、O-リングのシール性が落ちていたからですね。

DSC_1853

間違って組まれたフィルターが意外と多いのでいつかまとめようと思っていますが、フィルターを挿入するキャニスターの口(クチ)がこのように切りっぱなしになっている場合、

DSC_1814

まずこのスペーサーを必ず入れてから

DSC_1816

O-リングを取り付け、

DSC_1818

オイルクーラー取り出し口(またはフィルターカヴァー)に紙製ガスケットを付けて

DSC_1826

取り付けます。

DSC_1835

2本サスのほとんどがキャニスターの口が切りっぱなしのモノですので、この組み合わせを基本にしてください。合わせ面をキレイに均して組めば、まず漏れることもありませんので。

また、2本サスのオイルレヴェルゲーヂを兼ねたこのフィラーボルトの金属製ガスケット、特に拘りがなければ当店ではO-リングに交換しています。個人的に長年使用した経験から、適当な材質のモノであれば長く使えますし、純正よりも漏れにくく、また締め込むのも緩めるのも容易になりますのでオススメです。

DSC_1836

もちろん、オイル交換する際にガスケットの当たり面をキレイに均しますので、純正のガスケットでも漏れにくくすることは可能です。

DSC_1845

トランスミッションも同様です。

DSC_1786

オイルを抜いている時間に、シフトペダルも清掃、グリスアップします。ホースで代用されているシフトペダルラバーも、ついでに交換しちゃいます。

DSC_1772

モノサスではO-リングが入れられているのであまりグリスの劣化はヒドくなりませんが、2本サスの場合、こんな感じでグリスが固くなって動きが渋くなっている車両は多いです。

DSC_1775

クラッチリリースアームも清掃、グリスアップします。この車輌ではモノサス以降に見られるピヴォット部にニードルベアリングを使用したタイプが使われていますが、ココのグリスが古くなってカチカチになって、このベアリングとスリーヴの動きが渋くなっている車輌も多いです。

DSC_1792

また、このタイプのリリースアームではゴム製のベローズがダストカヴァーとオイルシールを兼ねていますので、破れている場合は交換になります。この車輌では、ベローズがアームに接着されていて取り外すときに破れそうになりましたが、なんとか大丈夫そうです。フゥ。

外した部品を元通りにしっかりと取り付けて、オイルを忘れずに注入すればトランスミッション周りの作業は終了です。イエス!

DSC_1802

以上、車検整備で行っている作業の一部を紹介して、本日は終~了~。

エンヂンオイルも交換したので、次も車検整備の作業、エンヂンのヴァルヴ周りの点検と調整をメインに進めていきます。ファイト、俺!

 

(続く)

 

キャブレターのO/Hやガソリンタンクの洗浄、オイル交換だけでなく、疎かにされがちな車検整備も、お任せくださいッ!

何を言っているのか。(その3)

先日ご紹介した「何を言っているのか。」のR100RS、さっそく整備と修理を進めています。

DSC_1103

 

ステムベアリングの点検と調整をしたことでようやく試乗もでき、車輌の状態が分かりましたので、いよいよ作業に取り掛かります。

まずはフロント周りを分解します。

DSC_1308

クリームチーズ?

DSC_1315

じゃ、なさそうですね。

DSC_1288

定番のアウターレースの打痕ですが、荷重を強く受ける下側のほうがクッキリ出てますね。

DSC_1295

外したステム周りを洗浄してピカピカにし、新しいベアリングにたっぷりグリスを塗りこんでおきます。

DSC_1326

個人でもベアリング交換に挑戦される方はいるかと思いますが、アウターレースの取り外しはかなり苦労すると思います。モノサス以降は少し外しやすくなっていますが、2本サスの場合、ネックの取り付け部にほぼツライチのようにレースが収まっていて、ほとんど工具を引っ掛ける余地がありません。どうするッ!

DSC_1319

大丈夫、当店ではオリヂナルの専用工具を用意していますので数分で取り外し可能です。バンザイ!

ちなみに、これがモノサスの取り付け部です。隙間が少し広いのが分かるでしょうか。これでも一般的なプーラーではかなり苦労しますが・・・。

DSC_0018

てことで、ステム周りを取り付けます。うーん、ピカピカ!

DSC_1329

取り外したステムベアリングです。下側(右)に比べると上側(左)の打痕はそうでもありませんが、一方にコレだけ強い打痕があるとどんなに調整してもハンドルを切る際にコクッという感触が微かに残ってしまいます。構造的に、グルグル回転するのではなく左右に行ったり来たりするだけですから、どうしても一番走行時間の中で長くなる直進状態の位置に強く打痕が現れてしまいます。

DSC_1480

ステムベアリングの締め付け具合を調整してもハンドルが振れる原因は、この打痕によるベアリングのガタつきですので、ハンドルの振れが気になる方はディーラーまたは専門店にご相談ください。また、定期的なグリスアップで多少寿命を延ばすこともできますので、交換されたばかりの方は是非、定期的なメインテナンスもお忘れなく。もちろん、当店でも承っておりますッ!(さりげない宣伝)

ということで、続いてフロントフォークの組み立てです。しっかり洗浄し、在庫している再めっき済みのインナーチューブを使ってビシッと仕上げます。

DSC_1340

オイル漏れや滲みがないように、こういうトコロもキレイに均します。

DSC_1344

ただ、このサークリップは外すと元の位置に戻すのがちょっとムズカシイ・・・。

DSC_1347

できました。このとき、忘れずにダストカヴァーやフォークブーツを取り付けておきます。RSやRTのブーツには左右の区別があるので、ソコも注意です。(経験者談)

DSC_1352

スプリングは左右とも、キレイにして長さを点検しておきます。OKですね。

DSC_1369

フロントフォークを車体に取り付け、フォークオイルを規定量注入したら、エア抜きを丁寧に行います。アウターチューブの下側からのオイル漏れ、滲みも一切なし。イエス!

DSC_1385

再めっきされたインナーチューブに新しいオイルシール、これなら漏れることはないッ!

DSC_1376

なんかノッてきたので、ブレーキ周りもO/Hしちゃいます。

DSC_1397

マスターシリンダーのインレットポート、リターンポートの周りに結晶化したフルードが溜まってます。

DSC_1400

ココも、シリンダーから漏れたフルードが固まって溜まってますね。

DSC_1404

リザーヴタンクの中にも薄っすら結晶化したフルードが。

DSC_1408

こんなトコロにも。

DSC_1412

キャリパーも、ピストンを取り外したらエライことに!なってたので

DSC_1428

バラバラに分解します。こりゃ、洗浄するのも大変そう。逆に燃えちゃうけど!(M気質)

DSC_1435

そんなことより、なんでパッドにこんな細工を?ブレーキダスト対策なのかもしれませんが、細工した溝のせいでパッドが一部破損しちゃってます。これじゃ、パッドの寿命を短くするだけです。しかも、漏れたフォークオイルが染み込んでいて、ちょっとしっとりしてるー。
こりゃ、パッドは交換ですね。

DSC_1416

で、すごく燃えたんで、すごくキレイになりました。

DSC_1437

リターンポートもしっかり穴が通り、

DSC_1445

キャリパーに溜まっていた茶色い物体もなくなりました。

DSC_1452

リザーヴタンクもご覧の通り。

DSC_1468

心配していたピストンには傷もなく、良好な状態でした。ホッ。

DSC_1475

ついでに、スロットルホルダー周りも分解して洗浄します。燃えてますから。

DSC_1486

ブレーキレヴァーのピヴォット部、古いグリスが固まっていることはよくありますが、ココにフルードのカスが溜まってるのは珍しいですね。

DSC_1487

当然、ホルダー側もこの通り。

DSC_1494

ゴシゴシ洗ってキレイにしたら

DSC_1499

バババッとブレーキ周りを組み立てます。何しろ、燃えてますから。ウォー!

DSC_1500

本来なら、マスターシリンダーのピストンカップやキャリパーのピストンシールは交換したいところなんですが、今回はご予算の都合で再利用しています。点検したところ大きな傷も変形もなかったからなんですが、試乗してみて漏れや滲みがあればすぐに交換させていただきます。もちろん、お客様が乗り始めて間もなく漏れるようであれば即交換になります。そうならないように丁寧に作業したつもりですが、こればかりはどうにもなりませんのでお許しを。
おそらく大丈夫だと思いますし、ダメでも次回の交換作業はずっと楽に、確実に作業できますのでご安心ください。それよりも、まだまだコストが掛かりそうな予感がして、そっちのほうが心配です・・・。

などと言い訳もソコソコに、組み立てたブレーキ周りを車体に取り付けます。まだまだ燃えてますから。ファイアー!

ハンドルバーの錆がちょっと気になるので、ササッと磨いておきます。

DSC_1511

それと、ハンドルがセットバックされていて、ハンドルの取り付け角度も良くて非常に乗りやすかったんですが、メーターステイがRS用のままでちゃんと固定できていませんでしたので

DSC_1264

たまたま在庫にあった中古良品と交換しました。

DSC_1517

ジャーン!大丈夫、まだ燃えているッ!

DSC_1529

キャリパーを取り付ける前に、ホウィールベアリングの状態も点検します。アウターレースに焼けた感じはありますが、嫌なゴロつきも傷もなく動作は良好なので、古いグリスを洗い落としたっぷりグリスアップしておきます。同じテーパーローラーベアリングでも、グルグル回転しているせいか、ステムとは持ちが違いますね。まだまだ頑張って~。

DSC_1536

そして得られた、この躍動感ッ!どうですかッ!

DSC_1544

と思ったら、何かがオカシイ。タイアがグニャグニャしているような・・・?

ガーン。ビードが上がり切っていないッ!

DSC_1551
(動画でご覧いただけます。)

あのフロントが上下にフワフワした違和感の原因はコレだったのかもしれません。

危うく俺の中の炎が消えそうになりましたが、ビードをちゃんとハメるついでに、ちょっとズレてる軽点も合わせます。大丈夫、も少し燃えていけるッ!

DSC_1555

できました。

DSC_1564
(動画でご覧いただけます。)

うーん、だいぶ良くなったんじゃないでしょうかッ!ここまでやれば、もうあんな怖い思いをすることなく、安心して乗れるようになりますね。早く試乗して確かめたくなってきたー!

まだ燃えているッ!ファイィアァァー!

でもちょっと疲れたんで、今日はこのへんで。
次はガソリンタンクの洗浄とキャブレターのO/Hです。

 

(続く)

 

ステムベアリングの交換やブレーキのO/H、ホウィールベアリングの点検から上がり切きらなかったビードの面倒まで、諸々承っておりますッ!

何を言っているのか。(その2)

先日ご紹介した「何を言っているのか。」のR100RS、さっそく整備と修理を進めています。

DSC_1103

 

まずは、前オーナーも認識していたというブレーキランプの不具合。前オーナー曰く、「リアのブレーキスウィッチが壊れていて、ブレーキランプが・・・」とのことでしたが、点検してみるとスウィッチに異常はありませんでした。ということは、フロント側のスウィッチかな?

でした。スウィッチが壊れていて、ブレーキレヴァーを握ってもONになりません。

DSC_1227

安くはありませんが、こればかりは交換しないとどうしようもないので、新品のスウィッチに交換です。

DSC_1229

これで直ったかなと思ったら、まだブレーキランプが点きませんッ!

配線に問題はなかったので、まさかの球切れを疑いましたが・・・

DSC_1230

シングル球のはずが、ダブル球にッ!

シングル球に交換したら

DSC_1233

あっさりブレーキランプが点灯するようになりました。んもう!

DSC_1238

続いて、怖いくらいに震えていたハンドルの振れを改善するため、ステムベアリングの締め付け具合を点検、調整してみます。

R100RSの場合、ステアリングダンパーのロッドが邪魔をしてステムナットを締められないのでけっこう大掛かりな作業になってしまいますが、ベアリングを交換する予定なのでココまで取り外してしまいます。

DSC_1250

で、前オーナーも認識していたというもう一つの不具合も点検。曰く、「フォークのオイルシールは交換したが、まだ漏れているのであらためて交換の必要が・・・」とのことでしたが、これはシール交換でどうこうできる状態じゃないような?

DSC_1255

インナーチューブの摺動部にこれだけ錆びと縦スジがあると、何回シールを交換しても漏れは直りません。お客様にはかなりの負担になってしまいますが、再めっき済みのインナーチューブに交換するしかななさそうです・・・。

DSC_1259

てことで、ステムベアリングを調整し、ステムナットをしっかり締め付け直しました。
ステムナット自体はしっかり締め付けてありましたが、アジャストナットがユルユルだったので、これでハンドルの振れはかなり改善するんじゃないでしょうか。

DSC_1264

ちょっと試乗してみます。正直、前回の試乗では良いトコロも、悪いトコロもまったく分かりませんでしたから。アハハ。

DSC_1265

オォッ!怖くなくなったッ!

ということで、簡単にインプレッションを。
ステムベアリングの締め付けを調整したおかげで、ハンドルの振れはほとんど気にならなくなりました。が、まだフロント周りが上下にフワフワする感じです。新品のタイアに騙されて空気圧の点検を怠ったせいもありましたが、適正な空気圧に調整してもやっぱり気になります。
それと、キャブレターのジェットの詰まりを直してエンヂンはだいぶ元気になりましたが、なんだかまだ少しパワーが足りない感じです。ほぼ同年式の当店在庫のR100RSと比べると、加速感がモッタリしていてチョット物足りません。スロットル操作が重いことも一因かもしれませんが、しっかり整備して再度確認する必要がありそうです。ただ、走行距離の割りに異音があまりないのが幸いです。
車体の状態は未整備車輌らしいヤレた印象ですが、とりあえず走る、曲がる、止まることは問題なくできていますので、こちらもしっかり整備すればグッと良くなりそうです。
何より、前オーナーが言っていたクラッチ板の滑りは、やっぱり確認できなかったのが大きいです。クラッチ板の交換となると、ついでにできる作業も色々と見つかって、その分コストが掛かってきますからね。
うーん、現状で把握できたトコロはこんな感じでしょうか。

 

おっし、そんじゃ作業に取り掛かりますか!あ、チャーヂランプを忘れてた・・・。

 

(続く)

 

ブレーキスウィッチの交換からバルブの交換、ステムベアリングの点検&調整やフロントフォークの点検、試乗による点検とダメ出しまで、諸々ご相談くださいッ!

CBRに乗っているアノ人も絶賛。

HONDA CBR1000RR、世界のホンダが生んだスーパースポーツバイクのフラッグシップモデル。走ることを追求した、公道を走る戦闘機のようなマシン。いつか私も乗ってみたい・・・。

と思っていたら(ウソ)、3週間ほど前に車で遊びに来てくれた兄が、今日はCBR1000RRで来てくれました。

DSC_1566

お互いに独立して家庭を持つようになり、なかなか会う機会も作りにくくなりましたが、まだまだ売り上げの伸びない弟の店を案じてこうして会いに来てくれるのは、本当に嬉しいものです。
といっても、兄の目的は興味を覚え始めた2V-OHVのBMWの試乗なんですけどね。

てことで、販売予定のR80(モノサス)に試乗してもらいました。ドキドキ。

DSC_1240

で、近所の試乗できそうな道を30分ほど一緒に走り、店に戻って話を聞くと

「面白れぇよ、コレ!何、ビーエムってこんな面白れぇの?すげぇ軽りぃじゃん!」

と大喜び。ホッ。
修理や整備といったイジる方が好きな自分と違い、兄は走ることへの興味が強いタイプなので、かなり乗り味にはウルサイほうですが、

「いや、コレはコレで完成してんよ。なんかモタードみたいに振り回せそうな感じだよな!ウーン、面白れぇわ!」

とのこと。実際、峠に早朝に行って走り込んだりしてたみたいなので、走りのレヴェルはそれなりに高いよう。「昔、まだCBRを上手く乗りこなせてなかった頃、峠でどうしても追い越せなかったジジイ(ご年配の方)のビーエムが速かった理由がちょっと分かったわ!」と興奮気味に話してくれました。

ついでに、こっちのR100RS(2本サス)にも乗ってもらいました。まだ整備途中のためダメ出しされる気はしましたが、モノサスとの違いを知ってもらうには十分かと思いまして。

DSC_0022

すると、意外にも

「なんだよ、コッチも面白れぇじゃん!特に40km/hチョイくらいのエンヂンの感じは、こっちのほうが好きかもな!」

と、これまた大喜び。ただ、

「フロントはちゃんと曲がってく感じなのに、リアがなんか遅れてくるんだよ。昔悩んだCBRのときと同じ。こりゃ、リアのセッティングをさ、ちょっと・・・何?調整できねぇの?イヤ、アレをちょっとアレしてやれば全然乗りやすくなるぜ?何、分かんねぇの?バイク屋だろ?あと、ブレーキが利かねぇよな!」

と、お説教・・・。ダンパーが抜けてフワンフワンしてること、代わりのサスペンション(高価)が在庫にないこと、まだ整備途中であることを伝え納得してもらいましたが、

「でもコレ、リアサスやったら絶対もっと良くなるだろ。そしたら、アレ(R80)みたいにはなんねぇけど、もっと乗りやすくなるよ。なぁ?何、分かんねぇの?バイク屋だろ?」

と、アドヴァイス(叱責)も忘れない優しい兄。感謝です。

というわけで、まさか速さを重視する兄が、製造から30~40年経つような古いBMWをこんなに気に入ってくれるとは思いもしませんでした。また、ほとんどBMWに興味のなかったハズなのに、「コレ(R80)、絶対売れんだろ?金があったら俺も買って通勤に使いたいわ。」と言ってくれたことで、2V-OHVの魅力を再確認することもできました。試乗を楽しんだ兄だけでなく、自分にとっても非常に有意義な時間になりました。

こうなりゃ、しっかり整備して、高価なリアサスペンションも奢ってやって、あらためて試乗&サスペンションセッティングもお願いしようかな。ヨロスィク、兄さん!

 

CBR1000RRにお乗りの方や、2V-OHVのBMWにご興味のある方、お気軽に試乗にお越しくださいッ!

 

オマケ

ついでに、自分のもう一台の愛車であるドリーム50に乗ってもらったところ

dream50

「何、コレ?すげぇ面白れぇじゃんか!」と、これまた喜んでくれました。
ひょっとして、バイクなら何でも喜んでくれるんじゃ・・・?

長期不動のR80、ニュートラルスウィッチの交換。

ちょっと前に仕入れた長期不動のR80、無事に登録も終え、販売に向け慣らしと試乗を進めています。

そこそこ試乗も繰り返し、かなり良い仕上がりになったことを確認できていましたが・・・

DSC_1077

ガーン。ニュートラルスウィッチからオイル漏れがッ!

てことで、さっそく交換します。まずはオイルを抜きまして
(当然ですが、オイルの状態は良好ですね。つか、もったいない・・・。)

DSC_1083

スウィッチにアクセスしやすいようにサイレンサーとコレクターボックスを取り外します。頑張って磨いたのでピカピカです。

DSC_1088

エンヂンをジャッキアップしておいて

DSC_1094

エンヂンマウントを抜きます。長期不動車だった割りには、錆びもなく良好でした。

DSC_1096

で、このスリーヴを取り外します。

DSC_1100

取り外したスリーヴを手に取ると、スウィッチから漏れたオイルでかなり濡れてました。
キレイにするついでに、スリーヴの両端面とエンヂン側の取り付け面もキレイに均しておきます。こうしておくと、取り付けるときに割りとすんなりスリーヴが収まります。

DSC_1103

手が入りにくい場所で作業しづらいんですが、コネクターを抜いてやればスウィッチを取り外せるようになります。

DSC_1115

コネクターも、とってもオイリーです。

DSC_1125

しくじった本人が言うのも非常にアレですが、純正のスウィッチは柔らかいアルミ製ボディなんで、ちょっと強く締めすぎたり、工具を上手く掛けられなかったりすると、樹脂との間に隙間を生じてしまい、ソコから漏れてきちゃうんですよね。端子の取り付け具合もちょっと繊細ですし。(言い訳&反省)

DSC_1087

新しいスウィッチを取り付け、オイル漏れしないようしっかり締め付けます。締め付けすぎを恐れるあまり、取り付けが甘くなって漏れるようでは本末転倒ですから。ドキドキ。

DSC_1130

英国のmoto-binsで取り扱っている対策品(真鍮製)ならこういうトラブルは起きにくいと思いますので、安心かもしれません。実際、自分の車輌でも5年ほど使用していますが、今のところ漏れや滲みもありませんから、数年で漏れてくる純正よりも長持ちしそうな気もします。
近々、仕入れてみようかしら。

0425

というわけで、スウィッチの交換もできたので、逆の手順で元に戻していきます。

スリーヴを取り付けて、エンヂンマウントボルトを通す穴をビシッと揃えたら

DSC_1140

エンヂンマウントボルトを挿入し、規定トルクでナットをしっかり締め付けます。

DSC_1149

これで作業は終了です。
またしばらく試乗してみて、オイル漏れがなくなっていれば良いんですが。

 

(続く)

 

よく漏れるニュートラルスウィッチの交換も、承っておりますッ!

R45、中古新規登録。

なかなか売り上げの伸びない兄の店を案じ、兄想いの優しい弟が「最近、BMWが気になんだけど!一年くらいで、カッコイイの仕上げてくんない?」などと右も左も分かってないようなコトを言ってくれたので、とりあえずあてがうことにしたR45、さっそく登録に向けて整備を開始しています。

必要最小限ではありましたが、車体の整備が終わりましたので、いよいよ登録です。

少しだけ車体を磨き、トランスポーターに積み込んで、いざ出発ッ!

DSC_1008

相変わらず、川崎の検査場は空いてます。第4ラウンドでの検査なのでさっさと車輌を降ろし、窓口に書類を提出、すぐにラインに突入です。

が、ここでハプニング。一度目の光軸で不合格になり軽トラまで戻ったところ、ちょっと前に知り合った整備士の方とまさかの再会ッ!お互い、たまたま今日、川崎に登録に来ていたのに、ドンピシャなタイミングとしか言いようがありませんッ!こういうコトがあると、縁ってモノを感じざるを得ませんね。○○さん、今度、遊びに来てくださいッ!

という驚きの出来事があり、ちょっとおしゃべりがすぎたせいで、光軸で引っ掛かっていた自分はそのあと冷や汗をかくことにッ!3回の検査で合格できず、慌てて再検査料¥1,300を払ってもう一度検査ラインに入り、合格したのが第4ラウンド終了の2分前ッ!
あそこでダメだったら、翌日また検査ラインに並ばなければいけなかったかと思うと、ホント、ギリギリの状況でした。

公的な機関はドコもそうですが、時間ピッタリに終了しますからね。この写真を撮ったときも、すっかりラインは閉まってましたし。いやー、危なかった。

DSC_1002

ま、結局、光軸はビシッと決まりましたし、心配していた名義変更もすんなりできて新しいナンバープレートもいただいたので、終わってみれば万事OKだったんですが。

これで、晴れてポンコツのR45も公道に復帰です。ひとまず作業は終了ですが、今後、少しずつ本格的な整備とカスタムを進めていきます。まだ場内を走っただけですけど、エンヂンの調子も車体の状態も、印象は悪くありませんでした。お世辞にも程度が良いとは言えない車輌ですが、逆にゴリゴリのカスタムにはもってこいだと思います。

弟よ、兄さんに任しとけッ!

 

(続く)

 

起こした不動車の検査登録も、ご相談くださいッ!

何を言っているのか。

い…いや…

体験したというよりは まったく理解を 超えていたのだが………

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「集めた部品から1台のバイクを仕上げるつもりでいたら いつのまにか 出来上がった1台のバイクが目の前にあった」

な… 何を言っているのか わからねーと思うが

おれも 何をされたのか わからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…

催眠術だとか超スピードだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ……

グググ
ジョジョの奇妙な冒険より

てことで、急遽、R65(2本サス)にお乗りのお客様からR100RSの整備のご依頼をいただきました。

DSC_1103

元々、集めた部品から1台仕上げるというお話は聞いていたんですが、まさかその前に1台購入されるとはッ!

確かに、これからの季節にはR100RSは最高の乗り物ですからね、分かります。
分かりますが、分かりますがッ、分かりますがッー!

DSC_1107

で、車輌の状態ですが、とりあえず車検を通しただけという感じらしいです。走行距離は47,600km。前オーナーによれば「幾つかの不具合は事前に分かっているので、そこだけ直せば安心して走れるようになる」とのことだそう。今後の計画もあり、お客様は「なるべく低予算で!オナシャス!」とおっしゃっていますから、応えないわけにはいきません。
触ってみないと分かりませんが、なんとかしましょう。やってやるッ!

てことで、さっそくエンヂンを始動してみますが、スロットルケーブルに遊びがまったくなく、タコメーターの回転の上がり方、下がり方がなんかオカシイ。アイドリングも1,500rpm以上になってます。

左側キャブレターのケーブルのアジャスターを見ると、完全に締め込まれているのにまだ遊びがないッ!

DSC_1092

通常、右側のアジャスターくらいの余裕があるハズなので、このくらいの遊びが作れないとなると

DSC_1102

スロットルのギアの噛み合いがズレてますよね、やっぱり。

DSC_1080

正しくは、こうです。

DSC_1087

チェーンの付いたギアとスロットル側のギアの合わせマーク(|)が一致してるのが分かるでしょうか。おそらく、カヴァーを閉じるときにギアがズレてしまったんだと思いますが、歯が一つズレただけでもケーブルの遊びに大きく影響しますので、注意が必要です。(経験者談)
この車輌のケーブルはパンパンに張っていましたから、アイドリング時でもスロットルがちょっと開いたままになってしまい、結果、回転数が高くなっていたんだと思います。

簡易的にキャブレターの同調を取って調整し、さあ、これで試乗に行けるかと思いきや、いざ走り出してみると、今度は上手く前に進みません。R100RS本来のトルクがまったくなく、まるで片肺になったときのようなパワー感。店を出て30mも行かないトコロでUターン、すぐに店に戻り点検します。

左右のシリンダーがしっかり熱くなっていますので、片肺じゃありません。こういうときは、点火時期が狂ってたりするもんなんですが

DSC_1160

点検してみると、ビシッと安定してました。回転数を上げると、最大進角のFマークまでしっかり進角もしています。となれば、次に疑うのはキャブレターです。

DSC_1176

ビンゴッ!片側のキャブレターのメインジェットが完全に塞がっているッ!

DSC_1123

とりあえず、キレイにして目詰まりを直しました。

DSC_1134

スロージェットも、やはり片側がゴミで塞がり気味だったので

DSC_1189

キレイに穴が通るようにします。

DSC_1218

エンヂンを始動してみると、明らかに力強く回転が上昇しているッ!

DSC_1107
(動画でご覧いただけます。)

チャーヂランプが薄っすら点いたままになっているのが気になりますが、回転を上げたときの充電電圧は13V後半でしたので、とりあえずはOKということにしておきます。
それよりも、ひょっとすると前オーナーが言っていたという不具合箇所の一つ、クラッチ板の滑りというのはこのトルクのなさのことだったのかもしれません。正直、あんなトルクでクラッチ板を滑らせることはできませんから。だとすると、心配事が一つ消えたことになります。バンザイ!

ついでに、クラッチレヴァーの遊びもほとんどなかったので
(アジャスターは目一杯まで締めこまれています。)

DSC_1112

リリースアーム側のボルトを調整し、適度な遊びを作りました。

DSC_1119

さあ、これでもう一度試乗にッ!と思ったんですが、近所を少し走っただけで怖くて帰ってきてしまいました。とにかく、40~50km/hでハンドルがブルブル震えるッ!

今までにも何台かハンドルの振れは経験してきましたが、コレほどのブレは初めてです。40km/h付近から常にブルブル震えていて、いつ大きく振られるかと思うと怖くて走っていられません。お客様は自走でご来店くださったんですが、何もなくて本当に良かったと思うくらいです。

ただ、「低予算をご希望の割りに、けっこう大物やん・・・」と思わせたクラッチ板の滑りはなさそうなので、その分、ステムベアリングの整備やキャブレターから出てきた水とゴミへの対処、

DSC_1143

本来、この位置で止まるはずのガソリンが

DSC_1169

この位置じゃないと止まらないフューエルコックの交換等、別の作業に予算を当てられると思います。

DSC_1164

不安なく、しっかり乗り出せるように整備するとなると、当然それなりのコストがもう少し掛かってしまいますが、短い試乗ではあったものの車輌の状態はマズマズだと感じましたので(ハンドリングは論外でしたが)、良い買い物だったんじゃないかと思います。

ご友人とシェアされる車輌とのことですので、お二人が存分に楽しめるよう、予算に応じた整備をビシッとさせていただきます。ご安心&お任せくださいッ!

 

(続く)

 

「個人売買で中古車を買ったけど、コレってどうなのよ?」と愛車の状態に疑心暗鬼な方、試乗による点検とダメ出しも、承っておりますッ!

R45、フロントブレーキのO/Hと灯火類の点検。

なかなか売り上げの伸びない兄の店を案じ、兄想いの優しい弟が「最近、BMWが気になんだけど!一年くらいで、カッコイイの仕上げてくんない?」などと右も左も分かってないようなコトを言ってくれたので、とりあえずあてがうことにしたR45、さっそく登録に向けて整備を開始しています。

エンヂンの整備と始動確認も終わったので、今日は引き摺りのキツかったフロントブレーキの整備に取り掛かります。

まずはキャリパーを分解して洗浄し、O/Hします。

DSC_0953

マスターシリンダーも取り外してO/Hしようとしたところ

DSC_0955

リザーヴタンクのキャップが外れないッ!
このキャップ、樹脂製のタンクに埋め込まれた雌ネジにボルトで固定されているため、雌ネジが空回りしちゃうとどうしようもありません。しかも、タンク単体の部品設定がありませんので、修理できない場合、マスターシリンダーごと交換になるようです・・・。

途方に暮れている暇はないので、在庫にあった角型タンクのマスターシリンダーをO/Hして取り付けることにしました。

DSC_0956

この頃のR45(とR65)はブレーキホースの取り回しが独特なので、取り付けにちょっと苦労しました。

DSC_0959

バッチリ!です。キャリパーの動きも良く、引き摺りもなくなりました。もちろん、ブレーキフルードの漏れも滲みもありませんッ!
ホウィールも軽~く回りましたので、ベアリングの状態も良さそうです。

DSC_0962

これなら、車検登録に持ち込んでも問題なしですね。

ということで、灯火類とホーンの点検をして作業終了と思いきや、ブレーキスウィッチが壊れてランプが点きっぱなしだったので、交換しました・・・。

DSC_0977

灯火類の点検のついでに、ヘッドライトレンズもピカピカに磨いておきます。

DSC_0990

レンズのシールが千切れていますが、けっこう多くの車輌でこうなります。長い間密着したゴムがレンズとリフレクターに張り付いてしまい、レンズを外すときに切れやすいんです。
常時在庫するようにしていますので、シールが傷んでいる方、ご注文くださいッ!サイズも大と小の2種類ありますので、ご注文の際は車種もお知らせ願います。

てことで、ヘッドライトもキレイになりました。ライトを点灯してみてもピカッー!と明るいので、光量不足で不合格になることはなさそうです。光軸はちょっと心配ですが・・・。

DSC_0994

これで、検査登録のための作業は完了です。24ヶ月点検の項目もすべてクリアできました。バンザイ!

それほど期間は長くないとはいえ、やはり不動車です。ココまでの作業だけでも、けっこうな時間と部品が必要になりました。
バイク屋なので問題が起きても逆に燃えますが、個人の方がこういう車輌を起こす場合、途中で諦めてしまうこともあるんじゃないかと思います。そしてまた長期間放置され、ますます状態の悪い不動車になり、最終的には部品取り車になってしまうのかも・・・。
もう生産されることのない車輌です。しっかり直せば甦らせられる車輌なら、なんとか起こして欲しいと思います。小さなコトでも構いません。できるだけのお手伝いを致しますので。

さてと、あとはちょっと車体をキレイにしてやれば、いよいよ登録です。やってやるッ!

 

(続く)

 

不動車を登録できる状態まで起こしたい方、ご相談くださいッ!